原作:あずみきし『死役所』(新潮社バンチコミックス刊)
脚本:政池洋佑、三浦希紗
出演者:松岡昌宏、黒島結菜、清原翔、余貴美子、松本まりか、でんでん、ほか
放送期間:毎週水曜 深夜0時12分
制作:テレビ東京、ジェイ・ストーム、スタジオブルー
前回の振り返り
第9話ではシ村(松岡昌宏)の生前の回想シーンから始まり、妻の幸子(安達祐実)との出会いが描かれました。
本当に市役所の職員だったシ村は、ケガをしてしまったおばあさんを助け、わざわざ家まで送り届けます。
そこにいたのがおばあさんのひ孫で、売れない画家だった幸子です。
幸子に絵のモデルをお願いされたシ村は頻繁に幸子の家に通うようになり、絵を描くことを愛し誇りに思っている幸子に惹かれ徐々に仲を深めていくのですが、ある日おばあさんが死んでしまいます。
唯一の家族を失った幸子は失意のどん底でしたが、そばに寄り添ってくれていたシ村に「家族にならない?」とプロポーズし、二人は結婚するのです。
そんな幸せな回想シーンの後、シ役所には“加護の会”の信者だった寺井(柄本時生)がやってきます。
シ村が待ちに待った加護の会からのお客様ということで、いろいろ聞き出そうと自ら手続きを行うのですが、分かったのはたったの2つ。
教祖である蓮田栄山(吹越満)の圧倒的なカリスマ性。
そして幸子は加護の会の中で“特別な加護”を受け、現在も生きているということだけです。
最終話はさらにシ村の過去に踏み込み、幸子と加護の会との関わり、娘の美幸(松本笑花)の謎が分かっちゃいますよ!
そして忘れてはいけないイシ間(でんでん)の成仏という、怒涛の展開ですので、しっかりついて来てくださいね!
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最終話はシ村の心がジワリと染み出る!あらすじと感想
ここから先はネタバレになります。問題ない方は読み進めてください。イシ間の手続きが始まる
加護の会の信者である寺井を成仏させたシ村は、いよいよイシ間の手続きを行うためにやって来ます。
イシ間はシ役所での任期が満了し、成仏の辞令が出ているのです。
母親の虐待で亡くなった凛(佐々木みゆ)と一緒に成仏するため、シ村の仕事が終わるのを待っていたのでした。
死の意味も成仏の意味もいまいちよく分からず、無邪気にお絵かきなどをしている凜の姿を見つめるイシ間は、ふと「シ村さんの娘も同じくらいだったっけな」とこぼします。
いつも通り張りついた笑顔を見せるシ村でしたが、脳内は一気に過去へフラッシュバックし、妻の幸子と娘の美幸と、3人で食卓を囲んでいる映像が浮かび上がるのです。
娘の病
フラッシュバックした映像の中で、幸子は美幸にご飯を食べさせようとしています。
しかし美幸はそれを頑なに拒み、挙句幸子の仕事道具である絵の具をおいしそうに食べるのです。
娘が絵の具しか食べないという奇行に走ってしまったせいで、幸子は育児ノイローゼとなり、どんどん心を病んでいきます。
医者にも診せましたが、美味しいご飯を作らないのが悪いと言われ、このままの状態なら美幸は死ぬとも宣告されてしまいました。
シ村もどうしていいのか分からず困惑していたところ、幸子は近所の人から加護の会という宗教団体があることを教えてもらいます。
「心を解放してくれる」というフレーズに強く惹かれた幸子は、美幸の治療のために顔を出してみたいとシ村にお願いするのでした。
加護の会の門をくぐる
数日後、シ村は幸子と美幸の手を引き、加護の会の門をくぐりました。
見学させてほしいと言うと快く引き受けてくれ、“朝の集い”に参加することとなります。
そこでは信者みんなで朝食をとっていたのですが、アットホームで幸せそうに見える中、どこか不自然さも感じさせるのです。
シ村たちにもできたての朝食が配られますが、やはり美幸は口にしようとせず、それを信者たちは不思議がります。
気まずそうにしている幸子の元に教祖の蓮田がやってきて、「娘さんのことで悩んでいらっしゃるんですか?」と、ズバリ悩みを言い当てたのです。
これは言い当てるというより、洞察したという方が正しいのでしょうが、心にゆとりのない幸子は驚きの顔を見せ、美幸が病気であることを伝えます。
すると蓮田はありのままを受け入れ、病気を見るのではなく娘自身を見てあげるべきだと助言をするのです。
シ村はそれで病気が治るのかと詰め寄りますが、「愛してあげることですよ」と、もっともなことを言います。
蓮田の言葉はありがたいお言葉のように聞こええますが、実は当たり障りのない普通の言葉でしかなく、言い方などの雰囲気で人を飲み込んでしまうのです。
吹越さんの演技力のたまものとも言えます!
家に帰ってからも、幸子は蓮田の言葉をずっと考えていました。
やはり絵の具しか食べない美幸を前に、どうすればありのままを受け入れられるのか、愛してあげられるのかを模索するのですが、結局自分を責めてヒステリックに泣き叫んでしまうのです。
シ村はそんな幸子に優しく寄り添おうとしますが、すでに二人とも限界に達していました。
抱きしめ合って泣き崩れる二人、目の前には先が見えない闇しかないように思えていたのです。
洗脳の始まり
ある日、いつも通り市役所での仕事から帰って来たシ村は、机の上に置き手紙を見つけます。
そこには「もう一度美幸と加護の会へ行ってきます」と書かれていて、家には幸子と美幸の姿がありません。
シ村は家で二人の帰りを待ちますが、夜遅くなっても帰って来る気配はなく、嫌な予感がよぎり加護の会へ迎えに行くことにします。
シ村の嫌な予感は的中し、妻と娘を返して欲しいと言っても、蓮田は「修行中だから」と決して会わせようとはしないのです。
修行をしているということは、幸子は加護の会に入信することを決めたのでしょう。
そして1週間ほどで修業は終わるから待てとも言われ、シ村があきらめかけたとき、美幸が駆け寄ってくるのです。
幸子から預かっていると言う蓮田ですが、シ村は自分の子だと抱きしめ、そのまま美幸だけを連れ帰ることにしました。
家族とは
加護の会から逃げ返ってきたシ村は、美幸に幸子のことを問いただしますが、「おなかがすいた」という気の抜けた返答に我に返り、夕飯にすることとします。
もちろん美幸が食べるのは絵の具ですが、それを嬉しそうに美味しいと言って食べる姿は、食べているものが変なだけで美幸自身はおかしくないのでは?と思えてくるのです。
シ村は今までのことを振り返りながら、幸子は医者が言った“死”という言葉に振り回され過ぎてしまったのではないかと思い、もう一度家族みんなで話し合いたいと考えるのでした。
しかし幸子は1週間経っても帰っては来ず、家事が苦手なシ村の家は荒れ放題。
いよいよ痺れを切らせたシ村は再び加護の会を訪れ、蓮田に妻を返して欲しいと懇願します。
しかし蓮田は「それはできない」の一点張りで、怒りの頂点に達したシ村は思わず蓮田を殴ってしまいました。
我を忘れているシ村を落ち着かせた蓮田は、加護の会は紙切れ一枚の家族とは違い、心で結ばれた家族だと説明を始めます。
そして、幸子が家族になった今、シ村も家族なんだよと得意の懐柔を始めよとするのですが、幸子と美幸しか家族ではないと言い受け入れようとしないシ村。
蓮田は心にゆとりのない状態では会わすことはできないからと、懐柔をあきらめ追い帰す作戦に変更し、シ村を幸子から遠ざけたのでした。
娘の死
傷心のまま家へと帰ったシ村でしたが、そこにはもっと悲惨な現実が待っていました。
お腹を真っ赤に染めて庭に倒れている美幸。
現状を呑み込めないシ村はひたすら美幸の名前を叫ぶのですが、美幸が目を覚ますことはありませんでした。
殺人容疑で警察に連れて行かれたシ村は、ありのままを話すのですが信じてもらえず、子供に絵の具を食べさせ虐待した結果殺害した、と決めつけられてしまいました。
ずっと否定を続けたシ村でしたが、家族3人で幸せだったころを思い出し、「わたしがやりました」と、嘘の自供をしてしまうのです。
なんと美幸が誰にどのようにして殺されたのかの真相は明かされず、このままシ村の死刑が確定してしまうのです。
そして幸子の行方もはっきりしないまま、シ村は孤独に刑を迎えたのでした。
裏で加護の会が手を回していたのでしょうか?
警察までも懐柔しているのだとしたら、相当ヤバイ宗教です。
成仏申請書の意味
シ村がひそかに過去を回想している中、イシ間は成仏のための書類を書き進めていました。
改めて自分の死を振り返ることに感慨深さを感じ、冷静に受け止めることができるようになると、手続きの必要性を実感します。
そしてイシ間は、死んだら会いたい人に会いに行くことはできないから待つだけであると、シ村に覚悟を促します。
まるで心を見透かされたかのようなシ村は、ただ「はい」とだけ言いますが、「あんたはすべてに納得して成仏できる」と、根拠のない予言をされ、呆れたように、けれど優しく笑うのでした。
胡散臭い蓮田の言葉より、感情任せのイシ間の言葉の方がよっぽどありがたいですね。
ハヤシの手
シ村がイシ間の成仏手続きを進めている中、凛の子守り役としてハヤシ(清原翔)が付き添っていました。
凜を素直にかわいいと思っているハヤシでしたが、手を繋ごうとしたとき思い切り振り払われてしまいます。
凜にとっては何の意味もないことだったのかもしれませんが、ハヤシはそのときに、振り払われたこの手は赤子を殺した手だということに気がつき、それが分かって嫌がられたのかと落ち込んでしまいます。
それでも無邪気に笑う凜を見れば、自然に頭を撫でたくなるのですが、自分を戒めてその手を引っ込めるハヤシ。
徐々に罪の重さを実感しているのですね。
そして、凜にとって最後の記憶が楽しいものになるようにと、とことん遊びに付き合ってあげるハヤシなのでした。
お気をつけて
いよいよすべての手続きが完了したイシ間は、凜を連れて成仏の扉へ向かいます。
そこにはシ役所の職員たちが集まり、イシ間を見送る準備をしていました。
ニシ川(松本まりか)はイシ間がずっと世話をしていた花を花束にし、「邪魔だから」とかわいくないことを言いながら渡します。
イシ間は嬉しそうに花束を受け取り、シ役所の職員は、ひとりでは死と向き合えない死者たちに寄り添うためにいるんだろう、という言葉を残し成仏の扉をくぐるのでした。
それぞれができること
職員たちはイシ間に言われた言葉を胸に、思い思いに死者との向き合い方について考えます。
ニシ川は自分たちは死者に何ができると思うかとシ村に尋ね、「笑って見送ることではないですか?」という返答に、シ村らしいつまらない答えだと言うのでした。
シ村は再び幸子との過去がフラッシュバックするのですが、そこにはもう幸せだったころのものしかなく、「幸子さん…」とこぼす顔は優しく笑っていながら、待つと覚悟を決めた顔でもありました。
そして平常運転に戻ったシ役所は、今日も死者を成仏の道へといざないます。
最終話を観た人のTwitterでの反応は?
それでは実際に、『死役所』の最終話を観た人たちの感想を見てみましょう。
#死役所
毎回まずまずおもしろく見てたけど、最後が不完全燃焼なんですが…結局娘は誰に殺されたのですか?
母親?
母親は加護の会に匿われてる?
市村は母親幸子が死んで死役所に来るのを待っている?で、合っていますか?
— crescent (@crescentgenu) December 18, 2019
死役所は共感の声が多いドラマでしたが、今回ばかりは賛否両論ありましたね。
やっぱりすべての謎をしっかり明かして欲しいと思う人も多く、ニシ川の過去が気になっている方も多いようでした。
ただ、すべての答え合わせをするとチープになってしまうこともあり、例えばシ村の気持ちは見ている側が十分に洞察できることで、余計な説明はせず、良い塩梅で謎を残したのでは?と思います。
まだ、ニシ川さんについてやシ村さんの今後についてだったり、まだ登場してない職員の話…その他にもいい話は沢山あるのでシーズン2見たいなぁ。イシ間さん居ないのは悲しいけど #死役所
— 餃子名人 (@gyozameizin) December 18, 2019
謎が残ったので、シーズン2に期待する声も多かったですねぇ。
私もぜひ見たいと思いますが、イシ間がいないのは痛い!
新たなシ役所職員で穴埋めができるとは思えないほど、かなり大きな存在だったんだと実感します(涙)
最終回まだな作品あるけど、今のところ1番良かったドラマ。
原作は既読だけど出来が良くて良い実写化だった。誰もが訪れる死について、このドラマは美化しすぎず綺麗事にもしない毎回のオチが良かった #死役所— 餃子名人 (@gyozameizin) December 18, 2019
最終回に賛否はつきものですので仕方がありませんが、『死役所』は他のドラマより“賛”が多かったのは確かでしょう。
マンガの実写化は難しいとされていますが、そのハードルを越えたところにまず感心しますし、1話40分という短い時間、しかもたった10話しか作れないという中で、ここまでまとめ上げたのは素晴らしすぎます!
本当に素敵なドラマに出会えて良かったと、心から思いますよ。
まとめ
終わってしまいましたねぇ…。
2週に渡って繰り広げられたシ村の過去でしたが、肝心なところは深掘りされず、美幸を殺したのは誰なのか、幸子はどこへ行ってしまい何をしているのか、加護の会の真相など、謎が残ったままの最終回でした。
というのも、原作でも現在シ村の過去が明かされ始めた段階のようで、結末まではたどり着いていないようなんですよね。
そのためぼやっとした終わり方になってしまったのですが、私は割と好きなラストでした。
加護の会という宗教や美幸の殺害を詳細に説明しても、シ村が冤罪で死刑になったことに変わりはなく、1番知りたかったのはシ村の気持ちです。
もちろん詳細を知ればより感情移入はしやすいですが、シ村を10話まで観てきたわけですから、十分人となりは分かっています。
その中で、シ村がシ役所の職員として働き続けている理由は、やはり最愛の妻にもう一度会いたいという純粋な気持ちでしかないのかな、と思わせてくれたので、ストーリ的にはしっかりまとまっていると思います。
杓子定規なシ村が自分の感情に身を任せて動いていたわけですから、ある意味すごい結末です。
そして何と言ってもシーズン2を期待させる終わり方でもあったので、これからさらにシ村について深掘りされたり、ニシ川の過去も明かされるのかなと想像すると、すでにワクワクしちゃってます。
死後の世界というファンタジーな設定でありながら、変に美化せず毎回現実味のある話を観せてくれた『死役所』。
無事にイシ間も成仏することができ、大きなくくりではハッピーエンドで終わって本当に良かったです。
来週から観られないと思うと悲しすぎますが、いよいよ我慢していたマンガを読み始めてみようかな!
死についてこんなに考えさせてくれたドラマは少なく、きっとずっと心に残るドラマになると思います。
ドラマ『死役所』作品概要についてはこちら
2019年秋ドラマ特集ページはこちら

ドラマも映画も、魔法のドアです。楽しいとき、悲しいとき、現実世界からちょっとだけ抜け出したいそんなときに、いつだって私を連れ出してくれたエンターテインメントでした。気分に合わせたドラマや映画をご紹介できる案内人として、あなたに寄り添う素敵な情報をお届けします!
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