原作:あずみきし『死役所』(新潮社バンチコミックス刊)
脚本:政池洋佑、三浦希紗
出演者:松岡昌宏、黒島結菜、清原翔、余貴美子、松本まりか、でんでん、ほか
放送期間:毎週水曜 深夜0時12分
制作:テレビ東京、ジェイ・ストーム、スタジオブルー
前回の振り返り
第7話では、イシ間(でんでん)の過去が明かされる重要回でしたね。
妻を亡くし、独り身で大工を営んでいたイシ間でしたが、弟夫婦が空襲で死んでしまい、戦争孤児となった姪っ子のミチ(田鍋梨々花)を引き取り、実の親子のように二人でささやかに暮らし始めます。
そんなある日、ミチはある兄弟に目をつけられ、強姦の被害にあってしまうのです。
その光景を目の当たりにしたイシ間は、正気を失いその兄弟を鍬で残虐的に殺してしまうのでした。
ミチはその事件以来ふさぎ込んでしまうのですが、それでも結婚相手を見つけることができ、幸せになれると思った矢先、遺体が見つかりイシ間は警察に捕まってしまいます。
しかしイシ間は、ミチに何が起こったのかは隠し通して死刑の判決を受けたのです。
イシ間は何よりミチの人生が1番だったので、犯した罪に後悔はありませんが、正しかったかは今も分かりません。
それでもまた同じことが起きれば、同じことをすると言うイシ間は、自分なりの答えを見つけているのでした。
やるせない気持ちが溢れる回でしたが、最後は老衰で死亡したミチと出会うことができ、イシ間の満面の笑顔が見られたことが救いでしたね。
さらにイシ間には成仏の辞令が出ましたので、シ役所での務めは終了です。
第8話では新しいお客様がシ役所に来るのですが、これがまた小さな子供…。
現代社会の闇を切り取る、重く辛い回となります。
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第8話は親子愛のやるせなさを感じる!あらすじと感想
ここから先はネタバレになります。問題ない方は読み進めてください。イシ間に成仏の辞令が届く
自分の罪をシ村に洗いざらい告白したイシ間は、もしも本当の娘のように愛していたミチがまた同じような状況になれば、再び人を殺すだろうと確信し、自分の犯した罪についてひとつの答えを出すのでした。
そんなイシ間に、シ村は届いていた一通の封筒差し出すのですが、そのなかには“49日以内に成仏すること”という辞令が書かれていたのです。
驚くイシ間は、その通知書を誰にも見られないよう慌てて自分のデスクに隠すのですが、そこへハヤシ(清原翔)がやって来てエロ本でも隠したのではないか疑います。
適当にごまかそうとするイシ間ですが、ニシ川(松本まりか)もやって来て、「私、分かっちゃたんですけど…」と怖い顔で詰め寄られます。
成仏の辞令が出たことがもうバレてしまったのかと焦るイシ間ですが、「実は他殺課って楽ですよね」と続き一安心。
ニシ川が働く自殺課には年間2万人の死者が訪れ、一方イシ間の働く他殺課は年間300人ほどと、その差は不公平ではないかと訴えるのでした。
死刑囚がシ役所の職員になるというルールは分かっていますが、どの課に配属されるかは謎で、イシ間はそれにも何か意味があるのではないかと言いますが、ニシ川はただ人数が足りないところに配属されるだけだと言い切ります。
しかしシ村は自ら総合案内という大変な職務を希望していて、それにはどんな意味があるのかと3人で考えるのでした。
他殺課に少女がやって来る
他殺課で新しいお客様を待つイシ間は、暇つぶしにシ村と世間話を始めます。
年間300人しか他殺されないなら、1日1人も来ないペースなので、そりゃ暇にもなりますよね(笑)
そんなところに、本日のお客様がやってきました。
1冊の絵本を抱えた彼女の名前は小野田凛(佐々木みゆ)。
“他殺”の意味もよく分からないほどの、幼い少女なのです。
この佐々木みゆちゃん、見覚えのある方も多いと思いますが、なんと『万引き家族』のじゅり役の女の子だったんですよ!
子役はすぐに大きくなってしまって驚きますが、相変わらずの演技力に脱帽です。
早速手続きを始めるイシ間ですが、凛は自分が天国に行けるかが気になります。
悪いことをしていなければ基本的には天国に行けると優しく教えるイシ間ですが、凛は浮かない顔をして「じゃあ、天国にはいけないかも」と肩を落とすのです。
何か悪いことをしたのかと聞くと、いつも母親(前田亜季)のことを怒らせる悪い子だったと、生前の話を始めるのです。
虐待の気配
凛は保育園の先生だった黒川あかね(吉田志織)に憧れ、真似をするように園児たちに読み聞かせをしたり世話を焼く優しい女の子でした。
そんな凛をかわいく思うあかねでしたが、頭にフケが溜まっていたり、体のあちこちにあざがあるのが気になっています。
凛は肌身離さず『あしたのわたし』という絵本を持っていて、いつも保育園のお迎えに来るのが遅い母親を、音読をしながら待っているのでした。
母親のお迎えがあまりにも遅いときは電話をかけるですが、忘れていたということもしばしばで、あかねは凛の母親に問題があるのではと疑い始めます。
そのことを探ろうと凛に母親のことを聞くのですが、返答はいつも「お母さんはとっても優しいよ」という母親に対する好意ばかり。
このままでは埒が明かないと、あかねは凛の母に直接話を聞くため家を訪ねることにしました。
避けられなかった事件
凜が家に帰ってくると、母親は布団の中で寝ていました。
片付けも掃除も行き届いていないゴミ屋敷のような部屋で、凛は『あしたのわたし』の音読を始めるのですが、その声で目を覚ました母親はうるさいと罵倒し、ベランダに放り出してしまうのです。
凜はかじかむ手を温めながら、くしゃくしゃになった絵本を丁寧に伸ばし、また音読を始めます。
この絵本は、凛の誕生日に母親が買ってくれた唯一のプレゼントなのでした。
丁度そのとき、あかねが家にやって来て話を聞こうとするのですが、母親はまともに取り合わずに追い返してしまいます。
そして凜が告げ口したと疑い、罰として夜通しベランダに出されてしまうのです。
その夜は一段と冷え込み、チラチラと雪が舞い落ちてきました。
凜は寒さと戦いながら絵本を読み続け、「明日の私はお母さんと一緒。お母さん大好き」と言いながら息を引き取ります。
凛の葬儀の日、誰もが悲しみに暮れているのに、母親は人目をはばからずに恋人とイチャイチャして、挙句の果てには、お荷物が減ったから結婚してくれと催促しているのです。
その姿を目の当たりにしたあかねは、我慢ができずに母親の頬を思いきり叩いてしまうのでした。
「いつも母親を好きだと言う心の心優しい子だったのに」と言うあかねに、母親は「自分の物に何をしたって良いだろう」と掴みかかります。
そこへ警察がやって来て止めに入り、母親は凜の殺害容疑で逮捕されるのでした。
生まれ変われるのなら
話を聞き終わり、「お母さんにいじめられたんだね」と言うイシ間ですが、凛は首を横に振ります。
そして母親はすごく優しいと言い、頭をなでてくれたり、手も繋いでくれるし、好きなお弁当も買ってくれると、母親との良い思い出だけを並べるのです。
それを聞いたイシ間は涙が堪えられず、どうしてこんなことになってしまったのかと悔やみます。
シ村は凜に、成仏したらどんな自分に生まれ変わりたいかと聞き、その答えは「またお母さんの子供になりたい」となんとも切ないものなのでした。
イシ間はつくづく子供相手の成仏手続きは嫌だと思い、誰にでも平等に対応できるシ村のすごさを実感します。
そして凜の母親に対する愛情の深さにも感心するのですが、シ村はそれを「ただの洗脳だ」と言って切り捨てるのです。
イシ間は子供が欲しいと願う人間がいる一方、子供が邪魔だと思う人間もいる不条理さを嘆き、自分たちにできることはないのかと、シ村に問います。
シ村は、生まれるときも死ぬときもひとりなのが人間だから、せめて今だけは一緒にいてあげることではないかと言うのでした。
ついに待ち人来たる
凜はシ役所にいるお客様や職員に人生最後の朗読を披露し、拍手喝采をもらいます。
そんな姿を見たイシ間は再び涙を流し、凛に「一緒に成仏しないか?」と言うのです。
それを聞いた職員たちは驚きますが、イシ間は成仏の辞令が出たことを打ち明け、その手続きをシ村にお願いするのでした。
快諾したシ村でしたが、丁度そこへ“加護の会”の信者がお客様として現れるのです!
シ村は先にそちらを対応させてくれとお願いし、加護の会の信者に話しかけるところで今週は終わります。
いよいよ次週からは、謎多きシ村の過去が明かされます!
イシ間も無事に成仏できることとなり、ラストに向かってどのように進むのでしょうか?
第8話を観た人のTwitterでの反応は?
それでは実際に、『死役所』の第8話を観た人たちの感想を見てみましょう。
どんなに周りが心を寄せても子供1人守れないって切ないよなと思った。見て気付いたけど1人良心を持った人を描いてくれる事でドラマとして見る事が出来るもんなんだと思った。ツラいシーンばかりでは心が千切れちゃう#死役所
— ばむちゃん🐼 (@aquapattha1) December 4, 2019
今回のツイートは、ほとんどが虐待についての見解でした。
子供が泣きわめいていたり、ヒステリックに怒っているお母さんを見ても、しつけかな?と、なかなか手を差し伸べにくいというのが虐待の難しいところです。
凜を気にかけている保育士さんがいたにも関わらず、こんな悲惨な事件となってしまいましたが、この保育士さんがいたことによって救われた部分もあり、もっとお節介に人と関わっていくべきだな、とも思わせてくれました。
救いようのない展開も多い『死役所』ですが、実はしっかりとフォローする人が配置されていて、自分の良心次第で希望を見つけることができるようになっています。
うーん、深いドラマです。
まとめ
でんでんが泣いていると、絶対もらい泣きしちゃう体質になってしまった私ですが、今週もかなりヘビーな回でした。
日本での親の虐待は年々増加の一途を辿り、それが原因で亡くなる子供は年間50人にも上るそうです。
確かにここ最近はニューでも多く取り上げられ、今年起きた悲惨な事件も記憶に新しいですよね。
親が子供に無償の愛を与えることができるのは当たり前ではない、ということを実感する回で、それでも子供にとっては親しかいないという現実がいたたまれないです。
しかし死後の世界ではもうどうすることもできず、「そばにいることが唯一してあげられること」というセリフがかなり感慨深いと思います。
今回の第8話は、不妊治療の末流産となってしまった赤ちゃんの回や、実の親子でないのに愛を注いでいたイシ間の回を覆してしまうという衝撃的さがあり、心に深く刻まれました。
そして次週はいよいよ、シ村の過去が明かされます。
加護の会とは一体何なのか、シ村の娘が死んだ理由とは、そうしてなぜシ村が罪を着せられたのか、ずーっと気になっていたもやもやが判明しますよ!
シ村の妻役には、安達祐実さんがキャスティングされているのも注目ポイントとなっていますので、ぜひお見逃しなく!
ドラマ『死役所』作品概要についてはこちら
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ドラマも映画も、魔法のドアです。楽しいとき、悲しいとき、現実世界からちょっとだけ抜け出したいそんなときに、いつだって私を連れ出してくれたエンターテインメントでした。気分に合わせたドラマや映画をご紹介できる案内人として、あなたに寄り添う素敵な情報をお届けします!
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