原作:あずみきし『死役所』(新潮社バンチコミックス刊)
脚本:政池洋佑、三浦希紗
出演者:松岡昌宏、黒島結菜、清原翔、余貴美子、松本まりか、でんでん、ほか
放送期間:毎週水曜 深夜0時12分
制作:テレビ東京、ジェイ・ストーム、スタジオブルー
前回の振り返り
ひとりの女子中学生が、片思い中の彼の前でトラックに轢かれてむごい死に方をしてしまった第4話。
一生心に残ることが嬉しいと感じる人もいれば、惨めな姿で残るくらいなら忘れてくれた方が良いと感じる人もいる、という意見が分かれるテーマでしたね。
それでも、ピュアに人を好きになる気持ちは誰しも一緒で、それを思うとなんとも切ない話でした。
そして、成仏の期限が1日と迫っていたミチル(黒島結菜)も、成仏の道へ進めば天国へ行ける可能性があり、天国に行けば生まれ変われる可能性があることを知り、それに希望を託して成仏することができました。
ミチルとはここでお別れなわけですが、残されたシ役所の職員たちは、ちょっとウザかったミチルに意外と影響を受けていて、新たな展開へと進む予感がしています。
シ村(松岡昌宏)が娘を殺したという罪は冤罪だと分かり、どうして成仏せずにシ役所で働いているのか、そもそもどうして冤罪をかけられてしまったのか、など新たな謎が浮上。
さらにハヤシ(清原翔)は自分の罪を償いたいと、シ村に相談を持ちかけて…。
第5話では、ハヤシの過去がババンと判明です!
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第5話は壮絶なハヤシの過去に絶句!あらすじと感想
ここから先はネタバレになります。問題ない方は読み進めてください。罪の意識を感じ始めたハヤシ
前回、ミチルは成仏する前に職員たちのファイルを盗み見て、それぞれの人生史を知ることとなりました。
ハヤシの殺人理由も知ったミチルでしたが、それに対してハヤシはあっけらかんとしていて、罪の意識がまるでないよう。
そんなハヤシにミチルは、「お姉さんのことも後悔していないの?」と言い残したのです。
ハヤシには理花(土居志央梨)という姉が一人いるのですが、ハヤシが犯した罪のせいで“殺人犯の姉”となってしまっています。
そのことを改めて実感したハヤシは反省をしたいと思うようになり、しかしその方法が分からないためシ村に相談することに。
シ村はハヤシをシ役所の職員ではなく、ひとりのお客様として扱い、まずは過去を振り返るよう勧めます。
歯車が狂いだす高校2年生
ハヤシは早くに母親を亡くしてはいますが、高校に入るころまでは大きな問題もなく、剣道を教えてくれる大好きな祖父(伊藤洋三郎)と恋心を抱いている幼馴染のまりあ(岡野真也)と、楽しい毎日を送っていました。
ただ、祖父と仲良くなるごとに父親(草野康太)とは疎遠になり、3年間も口をきいていません。
そのことくらいが唯一の悩みでしたが、家では優しい姉の理花もいて、気に留めないようにしていました。
しかし、祖父が急に倒れ亡くなったことから、ハヤシの歯車は狂い出したのです。
ハヤシの出生に隠された秘密
祖父が亡くなり落胆する家族でしたが、父親は酒を飲んだくれてヤケになっています。
そして祖父の仏壇をめちゃめちゃにし、ハヤシに向かって
「死んだな、お前のおやじ」
と言うのです。
その言葉の意味が分からないハヤシですが、母親と祖父はそういう関係にあり、その間にできたのがハヤシだったのです。
父親はハヤシが中学生のころに母親からの手紙を見つけ、ハヤシの出生の秘密を知り、それから口をきかなくなっていたのでした。
多感な時期にこの事実を知るなんてむごすぎる…いや、いつ聞いてもショッキングなことなのは変わりませんね。
ハヤシはこの事実をどう受け止めてよいのか分からず、衝動で祖父の遺灰をマンションのベランダからすべて捨ててしまい泣き崩れます。
その姿を見た理花は、「私はずっと味方だよ」と言って抱きしめてくれるのでした。
それからハヤシはいろいろ考え、しかし何も答えは出ず、とりあえず人前では明るく振舞おうと決心するのでした。
本性が顔を出す
ハヤシの中でもだいぶ気持ちが落ち着き、日常の高校生活を取り戻そうとしていましたが、まりあがいじめにあっていることを知ります。
ハヤシと仲の良いまりあに嫉妬した女子たちが、靴を汚したりと幼稚な行動を繰り返していて、ハヤシは落ち込むまりあを優しく支えるのでした。
しかし、まりあがトイレの便器に顔を突っ込まれている現場に遭遇してしまい、ハヤシの怒りは頂点に。
主犯の女子生徒を、窓から突き落としてしまいます。
キレたら何をするか分からない、ハヤシの根底にある衝動を祖父は心配していて、まりあに道を間違えないよう導いてくれという言葉を残すほどでした。
ハヤシは確かに不運な境遇ではあるのですが、それ以前にこのような猟奇性を兼ね備えている人間なのです。
それが顔を出さないよう、周りの誰かが助けなければならなかったのですが、今回は手遅れでした。
突き落とされた女子生徒は奇跡的に軽傷で済みましたが、ハヤシは高校を退学処分となり実家も出ていくことになります。
しかし剣道だけは続けたいという希望は持っていて、そんなハヤシに理花は通帳を渡します。
それは祖父がハヤシのために貯金してくれていたもので、頑張れと背中を押してくれているのでした。
ハヤシの犯した罪
しばらくしてから、ハヤシは祖父のように剣道を教えられる立場になり、まりあと結婚することになります。
あんなことがあった後でも、まりあが傍にいてくれたことは嬉しいですね。
可愛い娘も生まれ、これからさらに頑張ろうと思った矢先、またも悲しい現実がハヤシを襲うのです。
ある日、まりあに早目の帰宅をお願いされたハヤシは、少し浮かれながら帰って来ます。
というのも、最近まりあは育児に疲れているのか素っ気なく、二人の時間もなかなか持てていなかったので、今日は二人でのんびりできると期待していたのです。
しかしハヤシの期待は虚しく、家には知らない男が待っていました。
まりあが働いていた職場の上司で、いきなりまりあと別れてくれと切り出したのです。
この男はまりあの不倫相手で、しかも生まれた子供はこの男との子供なのでした。
まりあはハヤシから出生の秘密を聞かされてから、どうしてもその事実を受け止められなかったのです。
そして、ハヤシのことを軽蔑するようになってしまっていました。
全てが崩れてしまったハヤシは、まりあと不倫相手、そして子供までを木刀で殴り殺してしまい、死刑となるのです。
まりあのためなら何でもできるほど愛していたのに、こんな仕打ちを受けたら殺したい衝動が沸き起こってしまうのも理解はできます。
しかし、殺したいという願望と、実際に殺してしまうのでは大きな差があり、そこの歯止めとなるものがないのが、ハヤシの大きな問題でした。
まりあがその歯止めを頼まれていたのに、いつもタガを外してしまう方になるんだから何とも皮肉です。
人生は、人に恵まれたかどうかも大きく関わるんだなぁと実感しました。
本当の反省とは?
過去をすべて語ったハヤシは、理花への想いを振り返ります。
悪態はついてもいつも優しく、ハヤシの出生の事実を知っても決して態度を変えなかった理花に、ハヤシは感謝していました。
それなのに、自分は恩も返さずこのような仕打ちをしてしまった、そのことを考えるといたたまれない気持ちにはなるのです。
しかしハヤシは、殺人を犯したこと自体に後悔がありません。
憎しみが勝り、死んで当然としか思えないのです。
それを聞いたシ村は、「今は反省するよりも自分の感情と向き合ってみては?」と提案します。
まりあにどんなに酷いことをされたとしても、今まで人生を支えてきてくれたことは事実。
子供も自分の娘ではなかったとしても、愛情を注いでいたことに変わりありません。
なのにどうして殺すことができたのか、物事の核心から逃げているハヤシに事実を突きつけるシ村は厳しいですが、自分の心が分かれば、人の心が分かるようになると諭すのでした。
そしてそのときに初めて、本当の反省ができるようになると…。
ハヤシは自分の気持ちに整理ができず、まだそこまで考えることはできないと言いますが、今はそれで良いと認めてくれるシ村。
そしてハヤシは、シ村にも何か振り返りたい過去や、言いたいことがあるなら全部聞くと、満面の笑顔で言います。
その笑顔につられたのか、シ村もいつもとは違う自然な笑みをこぼすのでした。
第5話を観た人のTwitterでの反応は?
それでは実際に、『死役所』の第5話を観た人たちの感想を見てみましょう。
殺人は良くないけど、
奥さんであるまりあちゃんや不倫相手、種違いの子どもを撲殺して死刑になってしまったけどむしろ親子3人仲良しなこのメンバーを一緒に殺したのまだ良くない?
3人で天国行けばいいじゃん。
被害者面してさ。って気持ちがある………。
— 月 (@minato01250830) November 13, 2019
確かにこんな考え方もできますよね。
殺されて当然なんだから、3人一緒に殺してあげたのは優しさがあるという意見。
本当に死役所という世界があるなら、確かに一理あるなと思ったりします。
今回Twitterの意見は「まりあ最低」「ハヤシ悪くない」というものが圧倒的多数で、私もかなりハヤシに感情移入してしまいましたが、やっぱりハヤシが1番悪いというのが真実だと思います。
死役所5話見たけどもちろん殺人はよくないし衝動的に走りすぎだなとは思うけど理由がツラい…
お父さんはよく我慢したよね…身内はもっとしんどい
— BOOお取り引きとつぶやき (@amnesia07061) November 13, 2019
そうなんです。
ハヤシが悪くないのなら、ハヤシのお父さんはどうなるのでしょうか。
ハヤシのお父さんはハヤシを殺したりしていませんし、なんなら、おじいちゃんの通帳を大切に持っていたのはお父さんなんです。
ハヤシを許してしまったら、このような正しい判断をした人が潰されることになってしまいます。
だから、1番悪いのは命を奪ったハヤシでないといけないのです。
ほんとにお姉ちゃんだけが味方だったんだなぁ #死役所
— きこ (@k_i_k_o_tv) November 14, 2019
詰まるところ、これに尽きるんですよね。
お姉さんだけでは、ハヤシを支えきるのは難しかったでしょう。
ハヤシの周りにもう少し優しい人が多ければ、こんな悲しいことにはならなかったのかもしれません。
ハヤシはずっと孤独だったんですね。
まとめ
いやぁ~、ハヤシの過去は重かったですね。
もしも自分がハヤシの立場だったらと考えると、ゾッとします。
人は誰しも辛い過去や憎い人がいるわけで、それをどう昇華させるかがその人の力量になります。
負の事柄をバネにできる人は大きく飛躍する可能性を秘めているだろうし、自分の中に溜め込んでしまう人は生きづらい人生を歩むことになるかもしれない。
そしてハヤシは、人にぶつけてしまうことを選択したのです。
それは手っ取り早く昇華させるには最善策なのかもしれませんが、物事を上辺だけしか見ていない証拠でした。
上辺の下にはいくつも人の想いが隠れていて、それを考えることができたら、決して人を殺める選択などないはずです。
ハヤシはミチルのおかげで人の想いというものに気づかされ、ようやく反省への一歩を踏み出したわけです。
これまでの話のなかで、1番考えさせられる回でした。
本当の意味での反省って、どれくらいの人ができているのでしょうか?
たとえ死刑になり罪を償ったとしても、反省ができていないのならそれはとても、もったいない死だとも感じました。
丸々ハヤシの回でしたが、見ごたえ抜群で映画にしてほしいくらいでしたね。
次はどの職員の過去が分かるのか、どんどん期待が膨らみます!
ドラマ『死役所』作品概要についてはこちら
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ドラマも映画も、魔法のドアです。楽しいとき、悲しいとき、現実世界からちょっとだけ抜け出したいそんなときに、いつだって私を連れ出してくれたエンターテインメントでした。気分に合わせたドラマや映画をご紹介できる案内人として、あなたに寄り添う素敵な情報をお届けします!
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