【ネタバレ】『スパイダーマン:スパイダーバース』先行上映を観てきた感想。アニメ作品としての新たな表現とスピード感に注目! | VODの殿堂

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【ネタバレ】『スパイダーマン:スパイダーバース』先行上映を観てきた感想。アニメ作品としての新たな表現とスピード感に注目!

   
 

スパイダーマンといえば作品を見たことがなくても、ほとんどの人がどういうキャラかはわかる!というほどの人気キャラクターですよね。

そんなスパイダーマンの新作『スパイダーマン:スパイダーバース(原題:Spider-Man: Into the Spider-Verse)』が2019年3月8日(金)に公開。

これまでスパイダーマンは何度も実写化やアニメ化されてきましたが、映画としてアニメが制作されるのは今回が初です。

2019年2月24日に第91回アカデミー賞で「長編アニメ映画賞」を受賞、他にも第76回ゴールデングローブ賞(2019年1月6日)でアニメ映画賞を、第46回アニー賞(2019年2月2日)で長編作品賞他6部門受賞で7冠、それ以外にも数々の賞を受賞しています。

そんな『スパイダーマン:スパイダーバース』ですが…

タカノツメご用達のIMAXでは3月1日(金)~3日(日)の3日間限定で先行上映されていたので、早速観てきました!

『スパイダーマン:スパイダーバース』配信先一覧
動画配信サービス 配信状況 見放題 配信先
U-NEXT 視聴ページ
hulu
dTV 視聴ページ
Amazonプライム・ビデオ 視聴ページ
※配信状況は2019年10月16日(水)時点のものです。

「親愛なる隣人」スパイダーマンをちょっとおさらい

スパイダーマンというと人によって思い浮かべる作品が変わると思います。

初めて実写化されたサム・ライミ監督版の『スパイダーマン(2002 原題:Spider-Man)』シリーズを思い浮かべる方もいるでしょうし、2が不評で3の制作が中止となった『アメイジング・スパイダーマン(2012 原題: The Amazing Spider-Man)』が好きだという方もいるでしょう。

最近見始めたという方は『スパイダーマン:ホームカミング(2017 原題: Spider-Man: Homecoming)』か、MCUとしては初登場となる『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016 原題:Captain America: Civil War)』あたりでしょうか。

個人的にはパッと思い浮かぶのはサム・ライミ監督版の『スパイダーマン』ですね。

当時は超能力的に体から糸が出るのが正解でウェブ・シューターで出す方がアレンジと思っていましたが、逆なんですよね…最初に見た作品の印象って強く残ります(言い訳)。

スパイダーマンは2000年に入ってから実写映画が制作されているため、比較的新しい作品に思えますが、原作自体は1962年8月の『Amazing Fantasy#15』で初登場しています。

アニメはこれまで映画こそありませんでしたが、テレビシリーズは1967年に放送されています。

このオープニングテーマは『スパイダーマン:ホームカミング』の冒頭の配給会社が表示されるところでアレンジ版が流れました。

いつものMCUのオープニングとちょっと違う雰囲気になっていたので、個人的には「おぉ!」とちょっと感動。

さて、そんなスパイダーマンの新作である『スパイダーマン:スパイダーバース』の感想やら小ネタやらを紹介していきます。

アニメならではの構図、演出が秀逸すぎる

今回のスパイダーマンを一言で言うなら、「躍動感、ハンパねぇ~!」だと思います。

実写でも躍動感あふれる映像は多々ありますが、実写とアニメーションでは表現の幅がまったく違います。

実写もCGの進歩で非現実をリアルに再現できるようになりましたが、やはり実際に存在する人間がベースとなって描かれます。構図や動きにある程度の制限が出るということですね。

その点、アニメはどんな表現でも思いのままです。カメラワークも自由自在。

ウェブシューターから蜘蛛の糸を射出し、街中や障害物の間をターザンのように飛び回る(移動する?)姿はスパイダーマンの代名詞とも言えるアクションですが、アニメになったことで自由度が高くなり、より躍動感が出るシーンに仕上がっています。

また、アメコミらしい表現をそのまま映像に落とし込んでいるのも見どころのひとつ。

このツイートでもあるように、実写では表現ができない映像が本作の注目ポイントといえます。

これらは本編のワンシーンですが、このような実写にはないアメコミっぽい表現がいくつも出てきます。また、セリフがそのまま画面に吹き出し(これもアメコミ風)として表示されるシーンもあったりと実写との違いを楽しむことができます。

表現もそうですが、色遣いもなかなか斬新です。

『図解なんかへんな生きもの』や『ぬまがさワタリのゆかいないきもの㊙図鑑』の著者であるぬまがさワタリさんもこんなツイートをしています。

この辺は作家さんならではの感性もあるとは思うのですが、素人の自分が見ても色でも楽しませてくれるなぁと感じられました。

アメコミらしい濃い色を使っているとも見えるし、作中で主人公のマイルスが描くシーンがあるグラフィティ(スプレーやフェルトペンなどを使い、壁などに描かれた落書きのこと)のような色合いにも見えるシーンが多々あります。

それでいてうるさくないという絶妙なバランスで描かれているのです。

観るなら絶対に映画館

この躍動感、色合いを存分に楽しむなら映画館しかないでしょ!というのが結論。

こちらの方のツイートはまさにその通り!と思います。

この記事を書くにあたってパソコンでYoutubeにアップされている予告編を改めて見たのですが、なんかこう…違う感じがします。

物足りない?迫力に欠ける…?
しっくりとくる表現は見つからないのですが、とにかく「なんかこれちゃう!」感が…

映画館で観ずにDVDで見ていたら、おそらく本心からこれは面白かった!とは言えなかったでしょう。

正直なところ、スパイダーマンというとどうしても実写のイメージが先行して、予告を見た時は3Dアニメのスパイダーマンに違和感を覚えたのですが、これは映画館で観て大正解だと思っています。

他の第91回アカデミー賞 長編アニメーション賞ノミネート作品となにが違ったのか

アカデミー賞の前にアニメ界のアカデミー賞と言われる第46回アニー賞で長編作品賞を始めとして7冠達成、第76回ゴールデングローブ賞でもアニメ映画賞を受賞といった実績や、2018年12月に全米公開されるや否や映画ランキングで初登場第1位に輝くといった実績から本年度アカデミー賞最有力と言われていましたが、前評判の通り、『スパイダーマン:スパイダーバース』が第91回アカデミー賞 長編アニメーション賞を受賞しました。

第85回アカデミー賞(2013年2月24日)において『メリダとおそろしの森(2012 原題:Brave)』でアニメ映画賞を受賞して以来、『アナと雪の女王(2013 原題:Frozen) 』(第86回)、『ベイマックス(2014 原題:Big Hero 6)』(第87回)、『インサイド・ヘッド(2015原題:Inside Out )』(第88回)、『ズートピア(2016 原題:Zootopia)』(第89回)、『リメンバー・ミー(2017 原題:Coco)』(第90回)と6年連続でディズニーが長編アニメ映画賞を受賞してきましたが、今回その牙城を崩す結果になったわけです(でも、早くも来年度はまたディズニーが受賞する予想が…)。

今年、第91回アカデミー賞でノミネートされたのは『インクレディブル・ファミリー(原題:Incredibles 2)』『犬ヶ島(原題:Isle of Dogs)』『未来のミライ』『シュガー・ラッシュ オンライン(原題:Ralph Breaks the Internet)』と『スパイダーマン:スパイダーバース』の5作品。

『インクレディブル・ファミリー』『シュガー・ラッシュ オンライン』はディズニー(前者は製作自体はピクサーですが)だったので、それこそそれらを抑えて受賞はすごいことです。

作品自体は言わずもがな完全な3Dアニメです。そういった意味ではノミネートこそしたけど、いつものディズニー映画といったところです。

『犬ヶ島』は1,097体もの人形を制作し、4年の歳月をかけて完成したアメリカとドイツ合作のストップモーション・アニメーション映画です。

ちょっと動かしては撮影、またちょっと動かしては撮影し、その映像を繋ぎ合わせるストップモーションという恐ろしく手間がかかる手法を用いて作られていることや、日本を舞台にしている(声も吹き替えではなく、最初から日本人が声を担当しているキャラが多数いる)など、日本人としても注目と言える作品でした。

日本人として注目と言えば細田守監督の『未来のミライ』です。

外国語映画賞にノミネートされた『万引き家族』と共に日本人監督受賞を期待されていましたが、惜しくも受賞を逃してしまいました。

が、『未来のミライ』は個人的には2018年に観た映画の中でぶっちぎりでワースト1位で、Yahoo!映画などでも評価が低いだけにノミネートされたこと自体が謎です(そのため、残念もなにもなかったです)。

『スパイダーマン:スパイダーバース』はここが評価された!(に違いない!)

3DCGアニメという点では『インクレディブル・ファミリー』『シュガー・ラッシュ オンライン』と同列で考えることができる『スパイダーバース』ですが、大きな違いは既に書いているようにアニメーション作品において新たな挑戦をしたことが評価されたのではないでしょうか。

『スパイダーバース』が受賞したのは第91回目となるアカデミー賞に革命をもたらしたと言えます。

これまで、アカデミー賞で実写映画のアメコミ作品が作品賞、監督賞を受賞したことはなく、長編アニメーション部門は大人から子どもまで楽しめる映画というのが前提でした。

ディズニー作品が多く受賞しているのも納得の一言ですよね。

そんな中、『スパイダーバース』のレーティングはアメリカでも子どもが観る場合、親の始動が必要なPGとなっていることからも、全年齢対象ではなく、大人向けの作品ということが伺えます。

アメコミにレーティング:PGという異色中の異色の作品が受賞したと言えるわけです。

そんな『スパイダーバース』が受賞できたのには既に書いたように映像の中にコミック的な表現(コマ割りであったり、セリフが入った吹き出しやオノマトペ(擬音語)が画面に出る、など)を取り込んだこと、3Dの中に2D的なキャラクターを登場させるなど、革新的なことを多く行っています。この辺が長編アニメ映画賞受賞に至った要因でしょう。

多次元のスパイダーマンたち

本作の見どころは言うまでもなく複数のスパイダーマンが出てくることでしょう。

それぞれをスパイダーマンバージョンの予告と共に簡単に紹介します。

ピーター・パーカー

スパイダーマンでお馴染みの主人公。予告時からもある通り、作中で死亡。よく知る高校生ではなく、大人の姿で本作では登場する。また、スパイダーマンの正体を街の人々は知っており、彼の死がニュースで大々的に取り上げられる。

マイルス・モラレス

『スパイダーマン:スパイダーバース』の主人公。最初は特別な能力はないニューヨーク・ブルックリンの名門私立校に通うごく普通の中学生。蜘蛛に噛まれることで特殊能力を得る。

コミックでは、アルティメット・ユニバースの二代目スパイダーマン。

ピーター・B・パーカー(スパイダーマン)

見た目はピーター・パーカーが年老いた感じだが、妻であるMJと離婚、中年太りなど、いまひとつ冴えない(予告でもそのことは見て取れる)。異次元からきたベテランスパイダーマン。マイルスの師匠的な存在となる。

グウェン・ステイシー(スパイダー・グウェン)

異次元からきた女性のスパイダーマン。友人であるピーター・パーカーの死を経験している。

コミックのスパイダーマンでは三番目の恋人で、本気で初めて愛した女性だが、それとは別人。原作や『アメイジング・スパイダーマン2』では死亡していることで有名(原作者のスタン・リーはピーターとグウェンを結婚させる予定だったが、休暇中に脚本の代役を頼んだゲリー・コンウェイが勝手に殺してしまった)。

ペニー・パーカー

スパイダーマン的な立ち位置にいる異次元から来た少女。他のスパイダーマンと違い、SP//drというメカ・スーツに乗って戦う。

全体的に3DCGで描かれる中、作中では2Dタッチで描かれている(メカ・スーツは3D)。日本人の少女なのか、登場時に日本語で挨拶、メカ・マシン内のシステムの表記が日本語になっている(ただし、ここで挙げた箇所以外は英語で会話などで日本語はほぼ出てこない)。

スパイダーマン・ノワール

職業探偵。ミステリアスな風貌のスパイダーマン。武器として銃を扱う。

ピーター・ポーカー(スパイダー・ハム)

ルーニー・テューンズに出てくるキャラクターのような風貌をしている。可哀想なことに、スパイダー・ハム編だけ予告が存在していない。代わりに日本語字幕予告の登場シーンを紹介。

本作では死んでしまうピーター・パーカーを含めると、7人のスパイダーマンが登場することになります。

しかし、コミック版の『スパイダーマン:スパイダーバース』では100人以上のスパイダーマンが登場するので、ほんの一部のスパイダーマンしか登場していないと言えます。

番外編

本作とはまったく関係がない余談です。

ファンの間ではかなり有名なので、知らない方向けにという感じになりますが、せっかくなので日本版スパイダーマンも紹介。

それがこちら。

パッと見、パロディか何かに見えますが、東映がマーベルと3年間の使用契約を交わしていたことによって制作されたれっきとした特撮番組(1978年(昭和53年)5月17日から1979年(昭和54年)3月14日にかけて放送)です。

このスパイダーマン、ストーリーはオリジナルだし、マシンや巨大ロボに乗って戦うという異端中の異端です。

この作品を見た原作者のスタン・リーは「世界各国でスパイダーマンが製作されているが、その中でも日本版だけは別格だ。レオパルドンは別として…」とのコメントを残しています。

また、スタン・リーはインタビューで「いつかまたテレビシリーズを作ろう。その時は僕が原作を書くよ」という言葉も残しています。双方忙しかったこと、また今となってはスタン・リーが亡くなっているので、それが実現することは叶いませんが…

ちなみに、インタビューで言われたレオパルドンというのが巨大ロボです。

そのレオパルドン、『スパイダーバース』の興行成績次第では次回作に登場するかも…!? という噂が…(ツイート内のロボットがレオパルドン)。

スパイダーマンとしては異色ですが、このレオパルドンの投入、玩具として商業的に成功したことから、戦隊シリーズに巨大ロボットを出すという礎を築くことになりました(戦隊シリーズは実は2作目で一度休止しており、スパイダーマン制作後に巨大ロボットを登場させる『バトルフィーバーJ』を制作、今日に至る)。

このスパイダーマンが好きな人には本気で申し訳ないのですが、登場して名乗るシーンは思い出すだけでも二ヤけてしまいます。

ちょっとマニアック?コアファンほど楽しめる作りに

『スパイダーマン:スパイダーバース』は最近アメコミやスパイダーマンを見始めたというライトファンでも楽しめますが、過去のシリーズを見ているとより楽しめる内容になっています。

例えば、ポスターの「運命を受け入れろ。」は2002年のサム・ライミ監督版の『スパイダーマン』に用いられたものだし、ピーター・パーカーが逆さまになってメリー・ジェーン・ワトソン(MJ)にキスするあの代表的なシーンも登場します。

他にも、『スパイダーマン2』でドクター・オクトパスによって暴走させられた列車をスパイダーマンが止めるシーン、モラレスがクモに咬まれるシーンではコミック版でマイルスが噛まれる蜘蛛の検体番号と同じ42が記されているなど、過去作のオマージュが多々あるのです。

『アメイジングスパイダーマン』シリーズや『スパイダーマン:ホームカミング』のオマージュも本編中には登場します。

これはファンを楽しませるだけではなく、本作に登場するピーター・パーカーのために仕掛けられたギミックと製作総指揮のフィル・ロード&クリス・ミラーは言います。

インタビューにおいてクリス・ミラーは以下のようにFandangoのインタビューで語っています。

I think the idea is that this Peter Parker is an amalgam of all the Peter Parkers that you have seen in popular culture. So there’s elements of the Homecoming Tom Holland Spider-Man, of an Andrew Garfield Spider-Man, of the Tobey Maguire Spider-Man, of Spider-Man from various comics and TV shows. And sort of in this universe the Spider-Man that comes to Miles’ world is one that looks similar to but is not exactly the same as the ones that you know.

【訳】このピーター・パーカーは、あなたがポピュラーカルチャーで見たことのあるすべてのピーター・パーカーの融合体であると考えています。だから、トム・ホランド スパイダーマン、アンドリュー・ガーフィールド スパイダーマン、トビー・マグワイア スパイダーマン、漫画やテレビのスパイダーマンの要素があります。そして、マイルスの世界にやってくるスパイダーマンは、あなたが知っているものと似ているように見えますが、まったく同じではありません。

こういった要素を探しながら観るのもひとつの楽しみ方です。

楽しみ方は人それぞれ

本作にスパイダーマンが多数登場するように、楽しみ方も人それぞれ、複数あっていいと思います。

  • ストーリーを楽しむ
  • アクションを楽しむ
  • 色合いや構図を楽しむ
  • 登場するスパイダーマンの誰かに自己を投影してみる
  • 新たな3DCGアニメの世界に浸ってみる
  • 3D上映でスパイディの世界にのめり込んでみる
  • 過去作のオマージュを探してみる
  • 吹き替えで楽しんでみる

本作は4DXでの上映も3月8日(金)からされることになっているので、4DXで楽しむのもいいかもしれません。

大抵、洋画の劇場予告は字幕版を行うのですが、私が毎回足を運ぶ映画館では『スパイダーバース』はひたすら吹き替え版で行われていたので、日本語吹き替え版を推奨!というところもあるのかもしれません。

そういった意味では、吹き替えしかない(はず)の4DXは楽しみやすいと思います。

とりあえず、声優はしっかりとプロを使っているので、予告でも違和感は感じなかったのでありなのではないかと(でも、自分はやっぱり吹き替えは観ない)。

スパイダーマンと言えば、『アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年4月26日(金)全国公開)』の後に『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の公開を控えています。

こちらはアニメではなく実写。『エンドゲーム』以降の作品となるので、まだ予告の部分しかわからない状態です(とりあえず、新しいキャラが出てくるのはわかっている。多分、今後制作されるであろう『エターナルズ』のひとり)。

アニメ第2弾の話はとくにないようですが、スパイダーマンやマーベル作品から今後も目が離せません!

 

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