2019年2月8日(金)に日本公開(アメリカでは2018年12月21日に公開)となる『アクアマン』。
本作はDCコミックスの作品を実写映画化、クロスオーバーさせていくDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース。以下、DCEU)の第6作目になります。
DCコミックスといえば、バットマンやスーパーマンが有名。DCEUでもこの2作品は描かれています。
新作となる『アクアマン』で私タカノツメが着目しているポイントから、過去作の振り返りをしていきます。
DCEUってなに?
まずは知らない方のために、そもそもDCEUがなんなのかを簡単に説明します。
DCEUはDCコミックスの実写映画を同一の世界観のクロスオーバー作品群です。
それぞれの作品にヒーローがいて、ヴィラン(敵)や問題と立ち向かっていくわけですが、それらは同一の世界で起こっているという設定ということです。
DCEUは、話の内容は知らなくても誰もが名前は知っているであろう”スーパーマン”を主人公とした『マン・オブ・スティール』(2013年)を皮切りに走り出しました。
自分が映画そのものを見始めたのは、「ダークナイト トリロジー」のラストとなる『ダークナイト ライジング』(2012年)あたりから(『バットマン ビギンズ』(2005年)、『ダークナイト』(2008年)はDVD)なので、この『マン・オブ・スティール』は自分の映画人生においてかなり初期の頃に観た作品です。
ダークナイト トリロジー クリストファー・ノーラン監督が制作したバットマン3部作のこと。 DCEU以前の作品となっており、完全に本作品群とは絡みがありません。 2作目である『ダークナイト』は故ヒース・レジャーが凶悪なジョーカーを見事に演じている超名作で、DCEUとは関係ないにしても観ておいて損はないです。 |
当時は「アメコミはダサい」みたいな偏見を持っていたので、『マン・オブ・スティール』を観ようかどうか悩んだことを今でも覚えています。
ただ、『マン・オブ・スティール』を観てからというもの、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)、『スーサイド・スクワッド』(2016年)、『ワンダーウーマン』(2017年)、『ジャスティス・リーグ』(2017年)と、すべての作品を公開されたらすぐに観に行っています。
このDCEUはライバルであるマーベルが『アイアンマン』(2008年)を皮切りに始めたMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース。以下、MCU)の成功を見てスタートしたわけですが、全体的にDCコミックスファンから厳しい評価を受けているといった状態です。
かくいう自分も、どの作品を観てもいまひとつパッとしないなぁ…というのが率直な感想だったりします。
DCEUはどうしてパッとしない…?
原因を考える上で、ライバルのMCUの存在は外せません。
MCUもマーベル作品のスーパーヒーローたちを同じ世界観で存在させ、複数の作品のヒーローが集まる『アベンジャーズ』をひとつのゴールとして、それぞれの作品が次の作品、そのまた次の作品に繋がっていくように種まきをしています。
例えば、エンドロール後に次の作品に出てくるキャラクターを示唆するシーンが出てきたり、作中に他の作品のキャラクターを登場させたりといった具合です。
結果として、「次はどんな展開が待っているんだろう」、「『アベンジャーズ』はまだか!」というワクワク感を生み出していると考えられます。
一方のDCEUも『アベンジャーズ』にあたる『ジャスティス・リーグ』をひとつのゴールとして『マン・オブ・スティール』などが制作されていきました。
ただ、DCEUの場合、これまでの作品で出てこなかったキャラクターがいきなり別の作品に登場してきて「このヒーロー、何者?」となったり、その作品のサブであるはずのヒーローが主役より活躍しちゃったりといった展開が見受けられます。
MCUは丁寧に一作品ずつ展開していっているので、初心者も大歓迎!で、DCEUはある程度知識のあるコアなファン向け、といった印象を受けます。
前を走り、大成功を収めているMCUを見て焦りが出たのか、先の展開も考えずに走ってしまい、まとまりがない感じになっている、というのがDCEUというのが個人的な感想です。
新作『アクアマン』も期待できない?
DCEUは正直パッとしないと書いたわけですが、2019年2月8日(金)公開の新作『アクアマン』はどうでしょうか。
まだ公開前なので、予告しか見ていませんが…
今作は大いに期待しています!
いえ、予告を見て他の作品が期待できなかったかというと、どれも期待はしていたんです。しかし、観終わってみるとガッカリばかり…
今回もそうなる可能性は当然ありますが、いままでの中でも期待感は大きいです。
1.監督がジェームズ・ワン
予告で「『ワイルド・スピード SKY MISSION』監督最新作」と大々的に出た瞬間、「ジェームズ・ワン監督か!」とその時点で期待が膨らみました。
個人的には『SAW(ソウ)』シリーズの監督といった方がしっくりときます。
『SAW』を観たことがある人であれば、その緻密に計算された仕掛けや展開がいかに秀逸かを知っていると思います。今回もその手腕を存分に発揮してくれることを期待してしまうのはごく自然のことですよね!
2.全世界興行収入10億ドル達成!
興行収入は映画の人気を計るバロメーターとも言えますが、アメリカで封切られてからまだ1ヶ月経っていない2019年1月13日(アメリカ時間)時点で10億2,026万1,781ドルになっています。
封切られて間もないこと、日本ではこれから公開されることなどを考えるとまだまだ記録は伸びるでしょう。
ちなみに、歴代で興行収入が10億ドルを突破している映画は『アクアマン』を除いてわずか34本だけ。DCコミックスを原作とした実写映画では『ダークナイト ライジング』の10億8,493万9,099ドルが過去最高で、これを超える勢いになると期待は膨らみます。
3.他の作品と絡まない
DCEUは同一の世界観を共有したクロスオーバー作品である、というのは冒頭でも書きましたが、今回はアクアマン単独の作品となるようです。
この辺はDCコミックスの社長であるダイアン・ネルソン氏と、同じく同社社長でありDCフィルムズの共同会長であるジェフ・ジョンズ氏が、DCEUの新しい戦略として、一部では『ジャスティス・リーグ』のように作品を繋ぎ合わせるものがある一方で、それぞれの作品を繋げない方針にすると述べています。
Some of the movies do connect the characters together, like Justice League. But, like with Aquaman” — one of their next efforts, out in 2018 — “our goal is not to connect Aquaman to every movie.
(引用元:vulture)
「ジャスティス・リーグのように、映画の中にはキャラクター同士を結び付けるものがあります。しかし、アクアマンのように ― 2018年に発表された、次の取り組みの1つ ― 私たちの目標は、アクアマンをすべての映画に結び付けることではありません。」(上記訳)
せっかくクロスオーバー作品にするなら、少しでもいいから他の作品を絡めた方がいいでしょ、と思うところもあるのですが、これまでの作品はそれでいまいちな内容になってしまっているので、むしろ単独のほうが正解な気がします。
DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)過去作品
ここからは現時点(『アクアマン』公開以前)に公開されたDCEU作品を紹介します。
ネタバレや個人の見解も含まれていますので、その点はご了承ください。
マン・オブ・スティール(Man of Steel)
DCEU1作品目。監督はザック・スナイダー。
クリプトン人であるカル=エル(地球人としての名前はクラーク・ケント)がなぜ地球にいるのか、赤子の時代から地球人として育てられていた彼が自らの出生の秘密を知るまで、などが描かれます。
過去に5作、スーパーマンの映画は制作されていますが、今回は物語の始まりから新たに描く「リブート(再始動)」作品として制作されています。そのため、1978年版の『スーパーマン』と大筋のストーリーは同じであり、リメイク版といった感覚も強いです。
バトルシーンではザック・スナイダー監督作品である『300 〈スリーハンドレッド〉』などでも見られる要所要所にストップモーションを入れる特徴的な演出が用いられており、いい捉え方をすれば「ザック・スナイダー監督らしい演出」で、悪い捉え方をすれば「またか」というマンネリ感もあったりします。
胸のマークがスーパーマンのSではなく、エル家の紋章ということも同作品でわかります(正確には元々はSupermanのSという意味合いしかありませんでしたが、1978年の映画で設定として加えられています)。
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バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(Batman v. Superman: Dawn of Justice)
DCEU2作品目。前作に続き、監督はザック・スナイダー。
タイトル通り、バットマンとスーパーマンが戦う話。
結論から言うと、見事な予告詐欺の作品で、評判もかなり悪いです。予告を見てから映画を観るわけですが、「このシーンとこのシーンをよくここまで上手く繋げたものだ」と感心したことを今でも覚えています。
DCEUとしては本作がバットマン初登場作品となると同時に、ワンダーウーマン初登場の作品でもあります。原作を読んでキャラをある程度知っていないと、いきなり出てきた女性に「誰これ?」となります。要素を詰め込みすぎいたのが厳しい評価に繋がったと思われます。
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スーサイド・スクワッド(Suicide Squad)
DCEU3作品目。監督はデヴィッド・エアー。
ジョーカーやハーレイ・クインなど、複数の犯罪者(スーパーヴィラン)を主役とした作品となる。
ジョーカーが誰を演じるのかとキャストが決まる前から注目を集め、また、新たなジョーカーがどういう雰囲気になるかなどが話題となりました。本作でジョーカーを演じたのはジャレッド・レト。
ジョーカーは故ヒース・レジャーが『ダークナイト』で演じた猟奇的な感じがあまりにも印象的で、ビジュアルが公開された時はかなりの批判が出ました。個人的にも前者のヒース・レジャーのジョーカーのほうが好みです。
本作ではどちらかと言えばちょっと軽い印象のジョーカーという感じですが、中身はダークな感じのほうが強いです。
1966年版の『バットマン』でセザール・ロメロが演じた陽気なジョーカーと『ダークナイト』のジョーカーを足して2で割った感じといったところでしょうか。
いまのところ、本作はDCEUの他の作品と大きく絡みは出ていません。
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ワンダーウーマン(Wonder Woman)
DCEU4作品目。監督はパティ・ジェンキンス。
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』でも書いたように、ワンダーウーマンは同作の最後のほうで登場済みです。
上記の作品では黒と茶で統一されたダークなコスチュームでしたが、本作では原作に近い赤・青・金の派手なカラーリングへと変更されています。
舞台は第一次世界大戦中となっており、人間離れした力を持つワンダーウーマンの活躍を描いています。
古代語を含めた数百の言語を話せたり、化学式を読み解くことができるといったことができるため、作中では暗号解読などにも一役を買うシーンがあります。
余談ですが、作中でダイアナ(ワンダーウーマン)の恋の相手であるスティーブ・トレバーがズボンをはいてファスナーを上げるシーンがありますが、衣類での利用は1925年にSchott NYCという会社が革のジャケットに採用したのが最初と見られており、第一次世界大戦(1914年7月28日から1918年11月11日)時にはなかったということになるため、時代考察が甘いという指摘も一部から上がっています。
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ジャスティス・リーグ(Justice League)
DCEU5作品目。監督はザック・スナイダーとジョス・ウェドン(ザック・スナイダーが途中降板のため後任)。
バットマン、ワンダーウーマンなどを始め、DCコミックのヒーローたちが一堂に会する作品。こういうとDCコミック派の人には怒られるかもしれませんが、マーベルでいうところの『アベンジャーズ』にあたる作品になります。
洋画は本国アメリカで上映されてから2ヶ月ほどしてから日本で上映されることが多いですが、本作はアメリカでの公開が2017年11月17日、日本はその一週間後の2017年11月23日公開と早いスパンで上映されました。
予告の段階から『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』で死んだスーパーマンが復活するのでは?(映像としては出てこない)という期待感が一部のファンであり、その予想通り、スーパーマン復活の作品となっています。
ただ、バットマンやワンダーウーマンは既に作品として展開されているからいいものの、メンバーであるフラッシュマン、アクアマン、サイボーグはいきなり本作から出てくるという無茶苦茶な作りになっている(フラッシュマンはドラマで『FLASH』があるため、何となく存在だけは知っている程度の人は多いと思いますが、他の二人はとくにそういった作品もありません)。
『アクアマン』は日本では2019年2月8日(金)公開、フラッシュマンとサイボーグは制作予定となっています。
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おまけ
本来、2011年に公開された『グリーン・ランタン(Green Lantern)』がDCEUとしての1作目になるという話があったようですが、推定赤字9,000万ドル(およそ90億円)という大コケぶりから、この映画はなかったことになっています。
感想を見ても酷評しかないので、個人的にはこれはまだ見ていません。
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今後公開が予定されている作品
本記事を書いている時点で制作が決定、もしくは予定されているDCコミック作品を簡単に紹介します。
シャザム!(Shazam!)
2019年4月19日(金)公開が決定しているものの、邦題では現時点では『シャザム!(仮!)』となっています。
少年が合言葉を言うとムキムキのスーパーヒーローに変身。「見た目は大人、中身は子ども」な某探偵漫画の主人公とは真逆のヒーローです。
コメディ×アクション・エンターテイメントということで、『キック・アス』のような作品になる予感がします。
ザ・ジョーカー(Joker)(仮)
DCコミックスで人気が高いヴィラン(悪役)であるジョーカーの単独作品。
こちらは現在のDCEUには絡まず、新DCEUの第一弾として制作されることが発表されています。
現状のDCEUが完結していないだけではなく、方針転換などをしている状態で別軸で走らせるなんてことをしても大丈夫なのか…と個人的には期待より不安の方が大きいです。
バーズ・オブ・プレイ(Birds of Prey)(仮)
ハーレイ・クインのスピンオフ映画。同名コミックを原案とした作品となるようです。
撮影は2018年末から2019年初頭に始まる予定とされているので、そろそろ始まっている頃かもしれません。
アメリカでは2020年2月7日公開予定。
ワンダーウーマン1984(Wonder Woman1984)
これまでワンダーウーマン2という仮のタイトルで呼ばれていましたが、『Wonder Woman1984』で正式決定。監督は『ワンダーウーマン』のパティ・ジェンキンスが続投。
前作から約70年後の1984年が舞台。70年経ったのにスティーブ・トレバーが同じ姿のままということもあり、早くも謎を呼んでいます。
アメリカでは2020年6月5日公開予定。
ザ・フラッシュ(The FLASH)(仮)
『ジャスティス・リーグ』でも登場しているヒーロー、フラッシュの単独映画。
現状は2020年公開が予定されています。
サイボーグ(Cyborg)(仮)
フラッシュ同様、『ジャスティス・リーグ』で初登場となったサイボーグの単独映画。
こちらは2020年公開予定としかいまのところはなっていません。
Green Lantern Corps(グリーン・ランタン・コォ)(仮)
2011年版が失敗したためか、続編という位置付けではなくリブートとなるようです。
現時点で詳細は明らかになっていませんが、脚本は『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のデヴィッド・S・ゴイヤーが担当することが決定しています。
その他
上記以外にも未定の状態のものが多いですが、『ジャスティス・リーグ PART2』(元々は2019年6月14日公開予定だったようですが現在は未定のようです)、『スーサイド・スクワッド2』、『ザ・バットマン』などが予定されています。
今後、作品が増えていくDCEUですが、どういう展開になっていくか引き続き追っていきたいと思います。

週末は映画を観て過ごす30代半ばの独身男子。観たい映画があれば映画館にGO!なければ週末DVDで過去作を観ています。吹き替え、邦画は観ない派。ホラーは嫌い、他は基本ジャンル不問。
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