『ドクター・スリープ』のあらすじ・ネタバレ!『シャイニング』の世界が蘇る | VODの殿堂

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『ドクター・スリープ』のあらすじ・ネタバレ!『シャイニング』の世界が40年の時を越え蘇る

   
 

監督:マイク・フラナガン
脚本:マイク・フラナガン
製作:トレヴァー・メイシー、ジョン・バーグ
出演者:ユアン・マクレガー、レベッカ・ファーガソン、カイリー・カラン、カール・ランブリー、ザーン・マクラーノン、エミリー・アリン・リンド、ジョスリン・ドナヒュー、クリフ・カーティス、他
音楽:ザ・ニュートン・ブラザーズ
製作会社:イントレピッド・ピクチャーズ、ヴァーティゴ・エンターテインメント、ワーナーブラザース
公開:2019年11月29日

あらすじ

40年前、冬季クローズ時の管理人としてコロラドのオーバールック・ホテルに住み込みをすることになったトランス一家。

ジャック・トランスはホテルに巣食う邪悪な霊に取り憑かれ、妻と幼い息子で超能力を持つダニーを殺害しようとするが失敗し、死亡。

惨劇から40年が経ち、ダニー(ユアン・マクレガー)は孤独でアルコールに溺れる日々を送っていました…。

しかしある日、超能力を持つ少女アブラ(カイリー・カラン)とダニーの交信が始まります。

特別な力(シャイニング)から、全国各地で起こる少年少女の失踪事件の現場を目撃してしまったアブラは、ダニーとともに事件の真相へと迫るのですが…。

1980年公開の『シャイニング』とは?

今から40年前に公開され、いまだにホラー映画の名作としても語られている『シャイニング』をご存じでしょうか?

原作は“モダンホラーの帝王”とも称される『IT』や『ミザリー』、『スタンド・バイ・ミー』といった作品で知られるスティーヴン・キング

監督は『2001年宇宙の旅』や『時計じかけのオレンジ』といった名作を生み出したスタンリー・キューブリック

主演はアカデミー賞のノミネート12回(男優としては最多)に受賞3回というモンスター級の名優ジャック・ニコルソンです。

『シャイニング』はホラー映画としては伝説的な作品で、その劇中のエピソードやシーンがかなり多くのオマージュを受けているのも有名な話。

ジャック・ニコルソンがあのコワ顔でドアの隙間から恐ろしい笑顔を披露している場面写真(バスルームの扉をオノでぶち破って、中にいる妻にご挨拶しているところ)は、映画を観ていない人でも一度は見たことがあるのでは…?

ほかにも、ソファーすら押し流すほどの大量の血がエレベーターから勢いよく流れ出すシーンや、ホテルの廊下の奥に佇む水色のワンピースを着た2人の双子の少女などなど…、いかにも『シャイニング』的なホラーイメージは今でも色褪せることなく映画史に残っています。

猛吹雪に閉ざされてしまったコロラドの山間の巨大なホテルで、冬季の管理人として住み込む一家の父親が狂気にとらわれ、妻と幼い息子ダニーを惨殺しようとする…というのがその大まかなストーリー。

原作ではホテル自体が邪悪な意思を持つ存在として描かれているわけですが、映画版ではホテルの呪いや亡霊も強烈な印象があるものの、父親の振り切った狂気があまりにもスゴくて、ホテルの存在自体の描き方が少々あいまいになっています。

原作と映画版があまりにも違うことから、スティーヴン・キングはいまだにずっとキューブリック批判を繰り返しているのだとか…(それも怖い話だ)。

前作の一番スゴいところはジャック・ニコルソンの顔芸

今回、『ドクター・スリープ』を観るにあたって、再度『シャイニング』を鑑賞してみましたが…、いやはやほんとに傑作ですね。

スティーヴン・キング本人は原作との乖離で物申しているそうですが、私としては映画版の『シャイニング』について、これはこれで独立した作品としてよしとすればいいじゃない?と思います。

私の勝手な想像ですが、「意思を持つホテル」を映画で表現するのはまだしも、深掘りするにはちょっと厳しいな…ってことがあったのかもしれないし、でも原作を知っていて、勘のいい観客は、ジャックがどんどん狂気にむしばまれていくのはホテルの亡霊たちが理由だって分かりますからね。

…とまあ、そんなストーリーはもちろんですが、キューブリックならではの独特なカメラワークもそうだし、ホテルのインテリアのデザインのディテールに至るまで計算し尽くされていることも素人でも分かっちゃうぐらい惚れ惚れします。

でも、やっぱり強烈なのはジャック・ニコルソンの「ここまでやるか…」という顔芸と演技の数々。

ラストに迷路で目を開いたまま凍り付いている形相は、「昔、こんな落ち武者おったんやろな…」となぜか思ってしまうほどの壮絶さです。

ほかにも、まばたきせずに変顔をするというタスクを与えられるジャック・ニコルソンが、それをすべて見事にこなしていることが分かる映画ですが、ふと考えるとこの変顔をじっくり撮影している方が笑いださなかったのかが気になる(いや、たぶん笑えないレベルだったんだと思うけど)。

あ、でも余談ですが、父親ジャックの妻役ウェンディを演じたシェリー・デュヴァルの恐怖におののく顔(顔芸じゃなくて、こちらは純粋に“顔”)も怖いので、ぜひぜひ未見の方はご覧ください。

『シャイニング』の配信先はこちらU-NEXTAmazonプライムビデオdTV

正統な続編が描くのは惨劇から40年後のダニー

前置きが長くなってしまいましたが、とにかく『シャイニング』は映画史上に輝く傑作であり、「40年経った今になってなぜ正当な続編が…?」と疑問にしか思いませんでした。

でも、2013年にスティーヴン・キング自身が、『シャイニング』の続編として『ドクター・スリープ』を書き下ろしたということを知ってびっくり。

スティーヴン・キングは、単発の作品については続編を書かないということで知られているのに、『シャイニング』についてはまさかの“その後”を書いてしまったとは…。

これが意外も意外でした。

しかも、あの惨劇を生き延びた聡明なダニー少年は、酒やドラッグに溺れてほぼ文無しのボンクラ中年男になっているという衝撃たるや…!

原作を読んでいなかった私は、その設定を知った映画の冒頭で思わずのけぞりそうになってしまいました(笑)

ちなみに、この映画版の『ドクタースリープ』に関しては、スティーヴン・キングもPRにがっつり関わっていますし、“原作者のお墨付き”という感じです。

ただ映画『シャイニング』の続編であるという位置づけも保っているようで、キューブリック作品のオマージュ…というか再現もしっかりされていたところは安心しました。

スティーヴン・キングも70歳超えてちょっと丸くなったのかな…?

『ドクター・スリープ』配信先一覧
動画配信サービス 配信状況 見放題 配信先
U-NEXT 視聴ページ
hulu
dTV 視聴ページ
Amazonプライム・ビデオ 視聴ページ

※配信状況は2020年3月25日(水)時点のものです。

ダニー新天地へ行く

父親と同年代になったダニーは、なんと父親と同じくアルコールに依存する日々を送っていました…。

ただ、彼の超能力「シャイニング」は健在。

父親から襲われた惨劇の直後からもさまざまなホテルの亡霊を見ていたことや、オーバールック・ホテルでダニーを救おうとしたシャイニングの持ち主であるコックのハロランも守護天使のようにダニーの前にちょこちょこ現れていることが描かれています。

ハロランの助言から、つきまとう邪悪な存在たちを頭の中に準備した鍵付きのボックスに閉じ込めることで対処をしてきていたダニー。

そして、シャイニングを極力使わず、邪悪なものから自らを遠ざけるように生活をしてきていたのです。

ダメダメ生活から心機一転しようと、あてもなくバスに乗ってたどり着いた町で、ダニーは新たな生活を始めることにし、良き隣人であり友人ビリーにも恵まれ、アルコール依存の会にも通い、終末期のホスピスでまじめに働くように。

しかも、ホスピスでは死を迎える人々に付き添って、看取ってやることから「ドクター・スリープ」と呼ばれることになります。

ここから先はネタバレになります。問題ない方は読み進めてください。

謎の邪悪な集団と新たなシャイニングの持ち主

ただ、世間ではポツポツと少年少女たちが失踪する事件が起こっていました。

実は、『トゥルー・ノット』と呼ばれる半不老不死の男女の集団が、その子どもたちをさらっているのです…。

彼らはシャイニングの持ち主である子どもを誘拐しては、痛めつけたうえに殺害し、苦しんだ際に吐き出される生気を吸い込むことで、永遠の若さとエネルギーを保つという邪悪な集団…!

このトゥルー・ノットを率いるのは、シルクハットをかぶった若くて美しい女性のローズ・ザ・ハット(レベッカ・ファーガソン)。

優しそうな表情の裏には、恐ろしく残酷な真の顔を持つ、とてつもなく邪悪な存在でした。

ある日、このトゥルー・ノットに野球少年がさらわれ、無残にも殺されてしまいます。

その場面を離れたところにいながらも見てしまうことになったのが、別のシャイニングの持ち主である少女アブラ(カイリー・カラン)。

彼女は、互いに直接会っていないにも関わらず、テレパシーでのやりとりを、引っ越したころのダニーと始めていたのですが、アブラが殺人現場を見た翌朝に、ダニーの部屋の壁には“MURDER”の文字が書かれていました…。

それは、40年前に自分がオーバールック・ホテルの扉に書いた“REDRUM”の文字を反転したかのようにほぼ同じだったのです。

ダニーはアブラに能力を使うなと警告するのですが、アブラはトゥルー・ノットの悪事を暴いて対峙することを決意。

アブラに近づくため心の中へ入ってこようとしたローズを返り討ちし、ローズに傷を負わせることになりました。

トゥルー・ノットはこの強い力を持つアブラを手に入れようと本格的に動き出すのでした…。

ダニーとアブラは立ち向かう

ダニーはアブラの存在についてどう対処するか悩んでいましたが、そこに現れたのはハロラン。

アブラを守れと諭されたダニーは、ビリーに自分の能力やアブラの存在を打ち明け、協力するように頼みます。

アブラが見たという野球少年が葬られた場所で土を掘り返すと、アブラの言った通り、少年の遺体が現れました…。

彼のグローブをアブラの自宅へ届け、そのグローブからトゥルー・ノットの居場所を突き止めたアブラは、自分のもとへトゥルー・ノットをおびき寄せることにするのです!

アブラを捕らえようとやってきたトゥルー・ノットのメンバーたち(ローズはベースキャンプで待機)は、森でアブラを拉致しようとしますが、アブラの実体はここにおらず、逆に猟銃を携えたダニーとビリーがトゥルー・ノットの面々を倒していきました。

ただ、人の意志を操る女が死ぬ間際に「死ね」と念じることによってビリーは自殺させられてしまい、ダニーは仲間を失います…。

さらに、トゥルー・ノットで別行動をしていたローズの片腕クロウ・ダディによってアブラは自宅から連れ去られてしまいました

車で移動をするクロウ・ダディとアブラ。

絶体絶命と思われたアブラの意識にダニーは入り込むと、クロウ・ダディがシートベルトをしていないことに気づき、車を木に衝突させることでクロウ・ダディも倒すことに成功

ダニーとアブラは合流すると、最後に一人残るローズと対峙するには、力を持つ者を餌食にしようとするオーバールック・ホテルである必要があると、コロラドへと向かうのでした…。

オーバールック・ホテル再び

ホテルに到着したダニーは、アブラを外で待機させ、自身はホテルの中でボイラーを起動すると、ホテルの中を歩き回り、ホテルを目覚めさせます。

自身の父親が亡霊から酒を振る舞われたバーにたどり着いたダニーがそこに見たのは、ロイドと名乗る父親の姿をしたバーデンダー

ウイスキーを差し出されるも、ダニーはその酒を飲まずにホテルの誘惑を断ち切ることができました。

そしてローズがホテルに到着。

ダニーはローズを自分の脳内へ引き込むと、庭の迷路へと誘導してボックスに閉じ込めようとしますが失敗します…。

そして直接対決となったとき、まずはアブラをその場から逃がすことができたものの、ダニーはローズにオノで足を切られ、生気をローズに吸い込まれてしまいそうになります…!

そこでダニーは頭の中のボックスに封じ込めていたホテルの亡霊たちをすべて解放

亡霊たちは迷うことなくローズに襲い掛かると、ローズは跡形もなく消滅してしまいました。

アブラは237号室に逃げ込み、後を追ってきたダニーはなんとアブラを襲おうとします。

それはダニーがホテルの邪悪な存在に乗っ取られているからと気づき、アブラはダニーの意識を呼び戻そうと働きかけます。

一瞬だけ我に返ったダニーはアブラにホテルから出るように指示し、アブラを逃がすと、ボイラー室へと向かいます。

ボイラーはもう爆発寸前で炎に包まれている状態。

それをじっと見守るダニー。

そして、そのすぐ側には、ダニーが20歳のときに亡くなった母親ウエンディの姿が…。

オーバールック・ホテルは炎に包まれ、ついに焼け落ちてその最期を迎えたのでした。

アブラのその後

自宅に帰ったアブラが話している相手はダニー。

ダニーにとってのハロランのように、死んでもなおアブラのそばに寄り添っていることが分かります。

アブラは今まで能力のことを敬遠してきた両親に、その能力のことを隠そうとしてきていましたが、母親に自分のシャイニングについて話すことを決意しました。

そして、そのとき浴室のバスタブの中に現れたのは、オーバールック・ホテルの237号室の老婆。

アブラは恐れることなく浴室へ向かい、老婆を封じようと後ろ手にドアを閉めました…。

Twitterでの反応は…?

前作『シャイニング』から、オーバールック・ホテルのセットなどは完璧に復活させ、音楽なども忠実に再現しながらも、その内容は全く変わったものになっていた『ドクタースリープ』。

前作はキューブリックの唯一無二の作品であるわけですから、比較すること自体が野暮なことは分かっていますが…うーん。

トゥルー・ノットという存在がどうしても浮いちゃってるし、目が光ったり、善も悪もとにかく超能力の応酬ってところが、ホラーじゃなくてどっちかというとアクションみたいになっちゃったなぁ…というのが私の印象でしたけれど、他のみんなはどう思ってるのでしょうか?

『シャイニング』とは別物。
おっしゃるとおりです。

そうそう、後半はとにかくオーバールック・ホテルの再現にとにかくドキドキしちゃうんですよね!

スティーヴン・キングも納得させるかたちで、映画版の続編を作ったということにあっぱれ。
改めて『シャイニング』も『ドクタースリープ』も原作を読みたくなってきましたねぇ…。

まとめ

『ドクタースリープ』はとにかく前作の『シャイニング』のことを考えすぎると楽しめない映画だと感じました。

でも、映画版『シャイニング』の続編として制作されているわけですから、考えないわけにはいかないんですけれど…。

ただ一つ言えるのは、キューブリック作品に最大の敬意を払いつつ、スティーヴン・キングも納得させるかたちで『シャイニング』のストーリーを完結させたというところはすばらしい…!

そして、やっぱり反芻しているのは、40年前の『シャイニング』がどれだけスゴイ作品だったのか…その変わらない事実です。

あの独特の雰囲気と空気感で、静謐な中に漂う無限のおどろおどろしさを実現させた作品というところは奇跡的としか言いようがありませんね…。

そして役者たちに顔芸(まだそこにしつこく言及する)が継承されていないところにも、無念を感じます。

 

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