監督:大友啓史
脚本:岩下悠子、渡部亮平、大友啓史
原作:羽海野チカ『3月のライオン』
製作:谷島正之、竹内文恵、守屋圭一郎
出演者:神木隆之介、有村架純、倉科カナ、染谷将太、清原果那、高橋一生、佐々木蔵之介、加瀬亮、伊藤英明、豊川悦司、他
音楽:菅野祐悟
製作会社:映画『3月のライオン』製作委員会
公開:2017年4月22日
『3月のライオン後編』配信先一覧 | |||
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目次
あらすじ
新人戦で山崎(奥野瑛太)を破り優勝を果たした桐山零(神木隆之介)は、記念対局として宗谷名人(加瀬亮)と初めての対局を果たす。
そんな中、川本三姉妹の次女、ひなた(清原果那)が学校でいじめられていたり、疎遠になっていた彼女たちの父親が突然現れるなどの問題が起こる。
零は、お世話になった三姉妹を助けようと奮闘するが…。
『3月のライオン[前編]』のおさらい
『3月のライオン[前編]』では、ストーリー展開よりも、零の生い立ちを重点的に紹介する内容となっていました。
幼少期に交通事故で両親と妹を失った零は、プロ棋士である幸田(豊川悦司)に引きとられますが、幸田の実子である香子(有村架純)や歩(萩原利久)から辛辣な態度を取られつづけるという孤独な半生を送ります。
そんな零が川本三姉妹と出会い、また、ラストシーンでは宗谷名人と島田(佐々木蔵之介)の対局を目の当たりにし、棋士としても人間としても少しずつ成長を遂げようとする様子が描かれました。
前編では、幸田家での生活の振り返りや香子との絡みが多く描写されていましたが、後編でどのように物語が加速していくのか気になるところです。
新キャストが加わり、さらにパワーアップ
前編、後編ともに、キャストに大きな変わりはありませんが、後編から新たに川本三姉妹の父親、甘麻井戸誠二郎(あまいどせいじろう)を演じる伊勢谷友介さんが登場します。
ただでさえ豪華なキャストが揃っているというのに、ここでさらに伊勢谷友介さんが仲間入りするとは本当に驚きです!
川本三姉妹の母親、美香子(奥貫薫/劇中には写真のみで登場)とかつて婚姻関係にあった、あかり(倉科カナ)たち三姉妹の実の父親が甘麻井戸誠二郎なのです。
後編のストーリーに欠かせない重要なキャラクターとなるので、要チェックですよ。
人として成長していく零がどのように表現されるか
前編では、生い立ちなど振り返りのシーンが多かったため、零が人として成長していく姿についてはそこまで大きく表現されていませんでした。
もちろん、香子との接し方が少し変わったり、島田と宗谷名人の対局を見たあとに棋士としてのこれまでを見つめ直したりと、零が少しずつ大人になっていく様子が前編でもうかがえます。
そんな前編以上に、後編の中でさらに頼もしく変化していく零の姿は必見です。
後編は川本三姉妹との絡みが多くなっているので、彼女たちとの関わりによって変わっていく零に出会えますよ。
ご期待ください!
前編を観た筆者が期待する部分
前編の最後で、島田と対局を終えた宗谷名人と零が目を合わせるシーンがとても印象的でした。
宗谷名人と零は共通点も多く(中学生でプロ入り、また、島田と宗谷の記念対局で島田の負けをみんなが予想した中、零と宗谷だけ島田の必勝手に気づいていたなど)、二人がもし対局することになればとてもおもしろい展開になるんじゃないか?と思うんです。
零は、前編の獅子王戦で島田に負けてしまいますが、新人戦では見事に優勝しているんですよね。
これだけ実力がある棋士なので、宗谷名人に勝つことも夢ではないのかも?なんて感じてしまうのです。
かっこいいプロ棋士、零をぜひ後編でご覧ください!
後編も原作に忠実なのか?
前編を観た原作ファンの評価は、なかなかのものでした。
中でも、登場人物の再現度の高さを評価する意見が多く出ていましたよ。
筆者はアニメを少し観たことがある程度で、原作漫画は全く知らないのですが、実写映画がこれだけ高い評価を受けるのは珍しいことではないでしょうか。
後編は、原作でもおなじみとなっている川本三姉妹と関わるシーンが多くなります。
前編のストーリーも原作にかなり忠実だったと評判だったので、後編にも期待していてください!
前編と後編を観てこそ、『3月のライオン』の良さが分かる!
後編を観おわった私は、とにかく胸いっぱいでなんともいえない感動に包まれました。
今思えば、前編のときはまだこの作品の世界観にどっぷり浸かることができていなかったような気がしています。
『3月のライオン』は前編と後編に分かれているので、両方を観て初めてこの作品の良さがわかるものだと強く感じました。
特に、観る前から楽しみにしていた零の成長していく様子や、棋士としての勇姿がしっかりと描かれていたので、その部分では本当に感動して思わず涙を流してしまいました。
驚くほどに、想像以上の満足度です!
「将棋なんて興味ないから…」
「原作知らないし…」
そんなふうに思っている方も、間違いなく楽しめると断言します!
世間の方の反応も、ここで確認してみましょう。
台風対策でお風呂に水溜めてたので、久しぶりにお風呂沸かしてのんびり浸かった~。
風呂テレビでだいぶ前に取った3月のライオンの映画後編見てたら風呂から出れなくなって、2時間浸かってた。色んな事情のダメな大人がたくさん出てて、見てて苦しくなる。それでも前を向いて折れない零くんに涙出た。— わわ (@t_bewith) October 14, 2019
この方がいう“いろんな事情のダメな大人”というのは、きっとあの人のことだろうな…と思います。
後ほどネタバレ部分で詳しくお話しますね。
零の強さは、後編を観ていただければ共感してもらえるはずです。
うんと成長した零をお楽しみください!
DVDで映画、『3月のライオン』前編、後編を一気に見た。
前後編合わせての4時間を超える大作。
『3月のライオン』は、アニメで見ているのだが、実写は世界観を壊すことなく、アニメよりスピーディーな展開だったので、ものすごく見やすかった。
あと出演者が、ものすごく豪華!!
すごい映画だなぁ。— NONSTYLE 井上裕介 (@inoueyusuke) March 6, 2018
さて、こちらはお笑い芸人、NON STYLE井上さんのつぶやきです。
井上さんは、アニメをすでにご覧になっていたんですね。
“原作の世界観を壊していない”という言葉が、原作を忠実に再現している作品であることを物語っているのではないでしょうか。
また、展開の早さもちょうどよく、見やすかったというのはとても共感します。
一つひとつのシーンに無駄がなく、省き過ぎているという印象も全くありませんでした。
キャストの豪華さは、すでに紹介している通りです!
どこをとっても見どころ満載ですよね。
昨日の夕方「3月のライオン」後編観てきました!対局のシーン、美しいですね😭✨移りゆく四季の美しさも魅力とのこと、納得です。最後の対局場も驚きました〜😆 #3月のライオン
— 中倉彰子 いつつ (@AKIKOPDG) May 4, 2017
“最後の対局場”とは、つまりあの対局のシーンですね^^
あのシーンがあるからこそ、この作品がさらにグッと締まるような気がします。
それでは次のネタバレ紹介部分で、後編の内容をどんどん掘り下げていきたいと思います!
ここから先はネタバレになります。問題ない方は読み進めてください。『3月のライオン[後編]』で特に注目したいシーン
どんな時も影から零を支え続けた、林田先生の存在
林田先生(高橋一生)というのは、零が通う駒橋高校の教師です。
零が一年生のときに担任だった林田は将棋にも詳しく、二年生へ進級してからは放課後将棋科学部という活動を通して零に関わっています。
それだけでなく、学校で孤立状態にある零を何かと気にかけ、お昼休みはいつも零と一緒に屋上でご飯を食べたり、私生活の相談にも乗ってくれたりする大切な存在です。
後編では、いじめられているひなたを助けようとあれこれ考えている零に、助言をするシーンも登場しますよ。
一人の時間が長い学校でも、こうして気にかけてくれる味方がいるというのは本当に心強いですよね!
川本三姉妹を守りたい!思いが暴走して周りが見えなくなった零
酔いつぶれているところを長女のあかりに助けられて以来、零は少しずつ川本家に通う機会が増え、いつしか彼にとってかけがえのない居場所となっていきました。
そして、例のごとく零が川本家を訪れていたある日、ひなたがボロボロになった制服姿で帰宅します。
ひなたは涙を流しながら、自分が学校でいじめられていることをこのとき初めて家族と零に打ち明けたのです。
いじめの発端は、いじめられていたクラスメイトをひなたがかばったことでした。
クラスメイトの女の子がいじめられていることを見て見ぬフリできなかったひなたは、彼女を助けます。
しかし、その後いじめられていた女の子が転校していなくなってしまい、いじめの矛先が今度はひなたへと向いてしまったのです。
いじめられていた子をかばい続け、どんなに辛くても「後悔はしてない、私は悪くない」と強く言いつづけたひなた。
幼い頃に学校でいじめられていた零は、そんなひなたの言葉を聞いて、当時の自分を救ってもらったような気持ちになります。
ひなたがいじめられていることを知った零は、彼女を助けようといろいろ考えますが、結局アクションを起こすことができないままにいじめは解決しました。
結局は彼女の役に立てず、零は落ちこんでしまいます。
そんなときに登場したのが、川本三姉妹の父親、誠二郎でした。
かつて誠二郎は、浮気をしてよそで子どもをつくり、三姉妹の母親、美香子や三姉妹を裏切った形で家を出て行ったのでした。
今になって川本家を突然訪れた誠二郎は、現在の妻、子どもたちと一緒に暮らそうとあかりたちに持ちかけてきます。
実は誠二郎、勤め先でまた別の女性と不倫をして解雇され、家族寮の退去を迫られていたのです。
妻(病気を患っている)と子どもの世話をあかりにやらせ、自分は新しい不倫相手と外で別の生活を始めようという魂胆が誠二郎の中に隠れていました。
そんな状況に困った表情を見せるあかりやひなた、モモ(新津ちせ)の姿を見た零は、三姉妹を守ろうと、誠二郎に真っ向から立ち向かいます。
零は、はじめは誠二郎に対して全うな意見を発していたものの、少しずつ言動が暴走し始めました。
断りもなくモモを保育園まで迎えに行って連れ回す誠二郎を「犯人」呼ばわりし、「父親だから」と言って何度も誠二郎が川本家に近寄ってくると「彼女たちに愛情なんてないんですよね?人間のクズをこの家に近づけたくないんです!」とすごい剣幕でまくしたてるのです。
零の言葉を目の前で聞いたあかりやひなたは、思わずショックを受け、ひなたが「こんな人でも、私たちのお父さんなんだよ…」とつぶやきます。
その言葉を聞いた零は今までの言動をひどく後悔し、それ以降、川本家から遠ざかってしまいます…。
ひなたのいじめ問題にしても、誠二郎登場の件にしても、これだけ人のために必死になって動こうとする零の姿はかっこよかったです。
ただ、誠二郎に対しては確かに暴走気味だったと思います。
“三姉妹を守りたい”という思いからの言動だったのだとは思いますが、あかりやひなたの立場としてはやはり辛かったでしょうね。
でも、これだけ熱く誰かを思うことができるようになった、というのも成長の証であり、暴走して冷静さを失ってしまったことに気づけた今回、さらに成長したのではないかと思います。
この後、零と三姉妹がどうなったのかについては、下記をご覧いただければ分かりますよ!
大切な居場所を失って絶望…神木隆之介が魅せた!
神木隆之介さんといえば、2歳で子役デビューして以来、現在も第一線で活躍し続ける人気俳優さんですよね。
そんな神木さんが演じる零のシーンで、特に心に残ったところがあるので紹介します。
そのシーンというのは、三姉妹を助けたい一心で誠二郎に意見し続けた零が、しまいには誠二郎を「人間のクズ」などと言って暴走し、それまでの言動をひどく後悔した後の場面です。
川本家という大切な居場所を失った零は絶望し、「もう僕には将棋しか生きる意味がない」というところまで追いつめられます。
ちょうどその頃に獅子王戦が行われており、零はなんと決勝まで勝ち進んでいました。
決勝戦の相手は、前回の獅子王戦では幻となってしまった後藤との対局です。
自分の部屋で後藤対策を練ろうとしても集中できず、冷静さを失っている零を見事に演じた神木さんのシーンがとても印象的でした。
頭をガシガシとかき乱したり、ひなたからもらった零そっくりの猫のぬいぐるみを冷酷な表情でゴミ箱に投げすてたり…。
このときに二海堂(染谷将太)から電話がかかって来るのですが、電話に出ながらも足をドンドンと鳴らし、さらには目を見開いて目玉をグルグルと動かします。
零は動転した様子を二海堂に悟られぬよう、必死に抑えながら二海堂と話すのです。
今まで見てきた零とは別人で、このシーンは本当に胸が苦しくなりました。
それと同時に、神木さんの演技力の高さを改めて思い知らされましたね。
ぜひ、このシーンには注目してご覧いただきたいです。
意識のない妻を愛し続けた後藤…彼が初めて見せた素顔とは
プロ棋士の後藤(伊藤英明)は、長期入院中の妻がいながらも香子と不倫関係にありました。
前編ではそれほど後藤の出演シーンがなく、登場しても口数が少なくてクールなので、後藤が一体どういうつもりで香子と不倫をしているのか?よく分かりませんでした。
そんな彼が、後編では初めてそのポーカーフェイスを崩し、素の姿を見せたのです。
それは獅子王戦での対局中、妻の容態が急変したことを知らされるのですが、後藤は顔色を変えずそのまま将棋を指しつづけます。
しかし、しばらくして後藤は対局中にも関わらず将棋会館を飛び出し、妻のいる病院へと急ぎます。
後藤が到着した頃、妻はすでに息を引きとっていました。
人前では冷静を装う後藤ですが、病室を出た後に一人でトイレへ駆けこみ、泣きくずれます。
香子と不倫をしながらも、妻がいる病室に頻繫に通っては最期まで気にかけていた後藤…。
泣きくずれる姿を見て、奥さんのことをとても大切に思っていたのだなぁと感じたシーンでした。
正直にいうと、何があっても不倫は認められるものではないと筆者は思います。
しかし、泣きくずれる後藤を見て、彼は言葉を発せないほどの重病を抱えた妻を思いながら、ずっと苦悩していたのだろうな…と思いました。
妻を亡くしたあと、「これでやっと将棋に集中できる。」と後藤が言っていましたからね…。
感想部分で紹介したツイートに“いろんな事情のダメな大人”とありましたが、後藤のことではなかろうかと推測します。
彼は彼で、複雑な思いをずっと背負っていたのでしょうね。
零の成長が、後藤との対局で見事に表現された!
獅子王戦の決勝は、零と後藤の対局となりました。
対局が始まった直後は冷静さを保っていた零でしたが、誠二郎のことで川本三姉妹を傷つけてしまった後ということもあってか、徐々に取り乱してしまいます。
後藤が優勢となっていくと、零は狂ったように何度も頭を自分の手で殴りつけました。
中継を見守っていた島田や二海堂、将棋会館の仲間、そしてその場にいた立会人や後藤も、今までに見たことがないような零の姿に驚きを隠せません。
それでも零は諦めずに、なんとか勝ち筋を見出そうと考え続けます。
するとそのとき、零の脳内に今まで自分自身が歩んできた半生が蘇ったのです。
“これまで僕は、ずっと暗闇にいた。
生きるために、将棋という命綱にしがみついて生きてきた。
ただ、暗かっただけで気づかなかったけど、自分にはたくさんの仲間ができていた。”
決して関係は良好とはいえないかもしれないが幸田家の人たち、今まで対局や研究会で共に過ごしてきた二海堂や島田たち、林田先生、将棋会館にいる先輩たち、そして川本家のみんな…。
零はその仲間の存在を頭に巡らせ、自分は独りではなく、いつも誰かに支えてもらっていたことを感じます。
そして、涙を流しながら最後の一手を指しました。
「なかなか強烈だった…。」
後藤はそうつぶやき、投了します。
零は仲間の存在を力に変え、見事に最後までやり遂げて勝利したのです。
確かに、家族を失って引きとられた先でも辛い扱いを受けるなど、零は孤独な人生を歩んでいるかのように思えます。
しかし、その間にも出会いはたくさんあり、零を励ましつづけてくれた仲間が大勢いたんですよね。
そのことに気がつけた零は、とても大きく成長したと思います。
このシーンは本当に感動的で、涙なしでは見られませんでした。
ギスギスし続けた幸田家はどうなった?
前編の記事でもお伝えしたように、零が引きとられて以来、幸田家の仲は少しずつ複雑になっていきました。
幼い頃から香子と歩が零に対してキツく当たっていただけでなく、零に将棋の腕前を抜かれたことで歩は自暴自棄となり引きこもりに、そして香子は実父である幸田柾近(以降、幸田)にプロ棋士の夢を諦めるよう諭されてしまいます。
香子に「人の家族を壊した」とまで言われてしまった零は、幸田家を出て香子たちと距離を取るようになりました。
後編でも、歩の進路(このとき高校生)のことで揉めてしまい、幸田が歩に頭を殴られて入院するなど、幸田家のギスギスした様子が登場しました。
こういったシーンから、零と歩、香子の関係だけでなく、幸田と歩、香子の関係も良好ではないことがうかがい知ることができますね。
しかし、そんな幸田親子や零との関係に、少しずつ前向きな変化が見られたのです。
まずは、歩と零のシーンからお話します。
獅子王戦を制して再び宗谷名人と対局することになった零は、歩とのある約束を思い出し、歩の部屋の前までやって来ました。
その約束というのは、まだ二人が幼い頃、歩が「俺が宗谷名人と対局するときは、お前を対局に招待してやる。」と零に言ったことでした。
零は、部屋に引きこもっている歩に対しドア越しに声をかけ、「今度宗谷名人と対局することになったから見に来てほしい」と伝えます。
すると歩はドアを開け、静かに招待チケットを受けとったのです。
かつての約束とは反対の立場になりましたが、零と歩のわだかまりが少し溶けたような、温かいシーンでした。
また、後藤と不倫をしていた香子と幸田の仲にも大きな変化がありました。
後藤は妻を亡くしたことで「これでやっと将棋に集中できるんだ。」と言い、香子に合鍵の返却を求め、そのまま二人は別れることになってしまいました。
プロ棋士の夢も失い、将棋によって弟、歩の心は荒み、好きな人までいなくなってしまった…。
“大切だったものを全て将棋によって奪われてしまった”と感じた香子は、幸田の前で「うちの家族は将棋に呪われている!」と泣き叫びます。
そのときはただ静かに黙って聞いていた幸田でしたが、数日後、幸田は香子が幼かった頃の話をしました。
かつて香子と零が自宅で対局をしたとき、弱かった零に負けたことを悟った香子は、腹を立てて零の顔を叩いてしまったことがありました。
しかしこのときの局面には、まだ香子の勝ち筋が残っていたのです。
「まだお前は勝てたのに、自分は負けたと思いこんでいたんだ。
将棋は誰からも何も奪わない、だから最後まで諦めるな。
香子が幸せになれる一手が必ずある、応援してる。」
幸田のこの言葉を聞き、香子は思わず涙を流します。
その後、香子は獅子王戦の決勝で零に破れた後藤を待ちぶせし、「なんで負けたか分かる?私を大切にしないからだよ?」と伝えます。
後藤はその言葉を聞き、何も言わないものの少し表情を穏やかにし、二人は腕を組んでマンションへと入っていきました。
ずっと父親である幸田を恨んでいた香子でしたが、そんな幸田の言葉を真っすぐに受け入れた結果、後藤への思いを諦めずに行動を起こせたんですね。
幸田家の中にあった一つひとつの気がかりがいろんなキッカケでなくなっていき、観ていて嬉しく思いました。
零だけでなく、歩や香子にも幸せになってほしいですね!
零と宗谷…二人の対局は?ますますの零の活躍に期待
前編では、宗谷名人と目を合わすことで精一杯の零でしたが、後編では宗谷名人との対局場面が二度も出てきます。
前編に行われた新人戦を制した後の記念対局(後編序盤のシーン)と、後編の獅子王戦で優勝した後の対局(後編終盤のシーン)です。
子どもの頃から宗谷名人をずっと見ていた零にとって、宗谷はまるで別世界の人のような存在。
初めての対局では、緊張のあまり手が震えてしまうほどでしたが、二度目の対局は獅子王戦の決勝で後藤に勝利した後ということもあり、とても凛々しく頼もしい零の姿を見ることができます。
ただ、この二度目の対局に関しては、二人が盤を挟んで礼をし、零が真っすぐ迷いのない瞳で宗谷名人を見つめたところ(つまり、対局が始まったところ)で後編の幕が閉じます。
一度目ではあんなに緊張していたのに…宗谷名人を見つめる零の瞳を見ただけで、鳥肌が立ちました。
セリフが一切なくても、見ている人にこれだけの感動を与えてしまう神木さんや加瀬さんが素晴らしいですね。
この二度目の対局の結果を知ることはできませんが、零が宗谷名人に勝っていてもおかしくないほど堂々としていました。
零はきっと、宗谷名人と肩を並べるほど、いや、追い抜いてしまうほどの棋士になるのでしょうね。
まとめ
とにかくどのシーンも魅力的で、本当に「観てよかった」と思える作品でした。
もしあなたが、少しでも『3月のライオン』に興味をお持ちなら、ぜひ鑑賞されることをオススメします。
その際は、前編と後編の両方をご覧になってくださいね!
前編だけ、あるいは後編だけ、というのは本当にもったいないです。
ひとまずこの作品は後編をもって終了ということになりますが、筆者としては、さらに続編が観てみたいなぁ…なんて思ったりもします。
宗谷名人と肩を並べて対局する、大人びた零の姿を見たくなりました。
それともここはあえて作品にせず、観た人の想像の中で零たちを生かす方がおもしろいのかもしれませんね。
どちらにせよ、人との絆や努力することの素晴らしさなど、大切なものを見失わないための道しるべとなってくれるような作品であることは間違いありません。
たくさんの人に見てほしい、そう強く思いました。

2人のメンズを育てるシングルマザー。どんなに忙しくても1日1本はドラマを見て癒されています♪特にラブコメディーには目がありません!
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