監督:中村義洋
脚本:林民夫
原作:湊かなえ
製作:三好英明
出演者:井上真央、綾野剛、蓮佛美沙子、菜々緒、金子ノブアキ、貫地谷しほり、染谷将太、他
音楽:安川午朗
製作会社:『白ゆき姫殺人事件』製作委員会
公開:2014年3月29日
視聴したVOD:U-NEXT(2019年9月27日時点で視聴可)
目次
あらすじ
誰もがうらやむ美女・三木典子(菜々緒)が全身めった刺しにされた後焼かれた残忍な殺人事件が起こったことから物語は始まります。
きらびやかな美しさを持つ典子とは対照的な地味な女性・城野美姫(井上真央)に疑惑の目が向けられ、善と悪、美と醜、と区別をはっきりしたがるSNS住人やマスコミなど無関係な人たちの無責任な犯人探し「魔女狩り」が始まることに。
冴えない映像ディレクターの赤星(綾野剛)は高校の同級生である里沙子(蓮佛美沙子)の証言によってこの殺人事件に興味を持ち、スクープのため単独で美姫の周りの取材を始めます。
取材をしながら赤星はSNSでつぶやいては無責任な言動を拡散させ、確信を得ないままテレビの報道番組は加熱し、ネットは炎上する・・・。
果たして城野美姫は犯人なのか?
白雪姫を殺した魔女は一体誰なのか?拡散する情報と思い込みで視聴者のあなたも騙されるかも!?
湊かなえらしい緻密な構成を支える人間模様に切り込む!
『白ゆき姫殺人事件』は日本を代表するミステリー作家と言っても過言ではない湊かなえが、集英社「小説すばる」とWEB文芸「レンザブロー」で並行して連載を行った小説です。
「小説すばる」では美姫を直接知っている人たちの話を書き「レンザブロー」ではSNSの動きや週刊誌報道を書き、事件がどれだけ一人歩きしていくかを両者の連動によってうまく表現し、新しい小説の形を作り上げました。
さまざまなシーンの異なる視点での描写、典子や美姫が人によってどう見られていたのか、噂や嫉妬、妬み、妄想、SNSでの拡散など、どのように映像で表現されるのか注目です!
SNSやマスコミへの皮肉満載!
事件をおもしろがり無責任につぶやくSNSに集まる暇人たちと、あることないことを垂れ流す、見る人が見たら個人も特定されてしまうような報道をするマスコミのクズッぷりなどが描かれており、無関係な人々が無責任に騒ぐ現代のSNS現象についての警鐘とも取れます。
個人情報があっという間に拡散されたり、ターゲットをとことん追い詰めたりする集団心理の恐ろしさと、匿名であるがゆえに起こる無意識の悪意を浮き彫りにしている点は観ている側がハッとするところではないでしょうか。
人間の思い込みや記憶の曖昧さを表現
殺された被害者は「白雪姫」のような清らかな心を持った美女であり、殺人を犯した加害者は被害者を妬み嫉妬していた「魔女」である。
などという誰もが納得する殺人のストーリーがSNSへのつぶやきや関係者の証言で、真実とは別に作り上げられていく恐ろしさを感じます。
何度も同じ回想シーンがそれぞれ別の視点で描かれていくのですが、人によって受け取り方が違い「人間って自分の都合よく解釈しているんだな」とつくづく感じました。
湊かなえらしい、人によって捉え方や感じ方が違うんだよ!という構成になっています。
『白ゆき姫殺人事件』配信先一覧 | |||
動画配信サービス | 配信状況 | 見放題 | 配信先 |
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U-NEXT | ![]() |
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視聴ページ |
hulu | ![]() |
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dTV | ![]() |
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Amazonプライム・ビデオ | ![]() |
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視聴ページ |
エイプリルフールにポスターが「ざわちん」になっていたとのこと
2014年3月29日に公開されてから2日後の4月1日エイプリルフールに『白ゆき姫殺人事件』のポスター登場人物の主要キャスト6名が、全てものまねメイクしたざわちんになりました!
パッと見はわからないくらいポスターも本物同様に作られていて、みんな騙されたはずです。(よーく見ると、男子がちょっと違う…汗)
「私は私がわからない」という映画のキャッチコピーになぞらえての面白企画ですね(笑)
今でもTwitterなどで画像が確認できるので、チェックしてみてくださいね。
実際に観た感想 Twitterの声&評判
とにかく、SNSって怖いな~、人の噂って怖いな~とブルブルッと背筋から震えがくる後味がなんとも悪い感じは菜々緒の美しさと真央ちゃんのかわいさをもってしてもぬぐえない感じです(笑)
さすがイヤミスの女王!(イヤミスとは、読んだ後に嫌な気持ちになるミステリーのこと)
得意げに話す証言者たちにイライラしながらも、他人からどう自分が見られているか気になってしまいました。
私は「いい人だったよね」と言われるのか「あの人ならやりそう」と言われるのか、そんなに知りもしない人からの評価で自分が決まっていってしまう噂の恐ろしさと、見も知らない無関係な人たちが騒ぎ立てるネットやマスコミの報道…。
自分が被害者にも加害者にもなってしまう危うい世界である現代。
物事はいろんな角度から見ることができて、三者三様の答えや考えがあるとわかってはいても、一つの方向からしか見ることができない人間がどれほど多くいるのか、そして自分もその中の一人なんだと痛感させられました。
「白ゆき姫殺人事件」楽しめました。視点の多い語り方で進むので、あえて作ってある小さな違いを見つけるのが楽しかったし、もっとじっくり見たいな、とも。超人的な美人の菜々緒さんがいてこそ成り立つ作品でもありました。美しい井上真央さんをとことん「平凡」と表現する為に…(; ̄O ̄)
— 末次由紀ちはやふる43巻12月発売! (@yuyu2000_0908) 2014年4月3日
湊かなえらしい視点の多さと、その中にある捉え方や記憶の違いを発見するのも視聴者は楽しいですよね。
だから、もう一回じっくり見て確認したいの、わかります!
『白ゆき姫殺人事件』本作は登場人物の多くが二面性を持つ人物として描かれているが、それを体現するキャストの演技が素晴らしい。なかでも女性陣が印象的で、井上真央をはじめ貫地谷しほり、菜々緒、蓮佛美沙子、谷村美月、小野恵令奈、宮地真緒らが見せるダークサイドにすっかり魅了されてしまった。
— れい (@rei013) 2014年3月29日
そうかぁ、俳優さんたちの演技がすばらしいからイライラするんだ!
女の闇ね、それは無意識なのか意識的なのかで全然違うけど、結果傷つけてしまったのならば、罪だと思います、はい。
『白ゆき姫殺人事件』 #白ゆき姫感想
女は怖いな~って思うような映画だったけど最後に女の友情が見れてなんだかぽろりした
何より真央ちゃんの演技がすごすぎる
さすが真央ちゃん演技派です!!!!— ぴかじゅん (@pika_shakeit) 2014年4月1日
そう、女は怖い!平気で手の平返したり、裏切るよね~!と嫌な気分になったところで、本当の友情もあるんだとちょっと安心する場面も。
『白ゆき姫殺人事件』見どころとネタバレ
ここから先はネタバレになります。問題ない方は読み進めてください。オーラを消した井上真央に注目!
社内一の美人社員である典子を演じる菜々緒と対照的に地味な同期社員・美姫を演じる井上真央は「特徴のない、素朴な顔の人」として大女優のオーラを消しています。
終始モゴモゴ喋る姿はいかにも自分に自信なさげで、明るくて負けず嫌いで頼りになる牧野つくし(映画『花より男子』)を演じていた真央ちゃんとは思えないくらい。
仕草や表情だけで幸薄く地味な女性になれちゃうのはスゴイです!
メイクや立ち居振る舞いを正したら「美人美人!」ともてはやされる菜々緒演じる典子よりも美人なのに!と思いますが、そこは演技派!見事に根暗な女性を演じています。
いくらでも盛られていく情報
赤星の同僚の長谷川を演じる染谷将太の「みんな、本当のこと言ってんすかね?」という一言は、視聴者の私もハッとさせられました。
赤星目線からの前半の映画の流れによってSNSや報道からの情報を鵜呑みにしていく劇中の無関係な人たちと同じく、私も偏った見解に飲み込まれつつあったのです。
時として人間は期待よりもその上を行かなければならないという勝手なサービス精神によって話を盛ってしまうことがあります。
ちょっと盛った話が積み重なって真実のように私たちを支配することは珍しくなく、赤星に取材される美姫の周囲の人たちの証言の中にも小さな嘘(思い込み?)がいくつも散りばめられているのです。
同じ出来事でも人によって捉え方や見え方が違い、都合のいいように解釈して、無意識に人をおとしめ…記憶にはその人の主観が加わり真実を見えなくする可能性がある、という…人間って怖い~SNSって怖い~と底知れぬ恐ろしさを感じました。
白ゆき石鹸が大ヒットの背景
「はごろも石鹸」という商品名を「白ゆき石鹸」に変えただけで売れ行きが上がったと、上司である篠山(金子ノブアキ)が言っていますが、中身は同じなのに名前で印象が変わり大ヒットとなった白ゆき石鹸。
成分や使い心地、効果などを重視することなく、商品名に魅了されて購入する人が多くなった…という状況が今回の「魔女狩り」の流れのように上辺だけを知った人間が知ったかぶりをして騒ぎ立てることと同じ。
つまり、作り上げた印象や思い込みによって心証が変わることを表しているのではないでしょうか。
ここまで計算している湊かなえさんって天才!
魔女のデスクに毒リンゴ!?
まさかの犯人。推理する間もなくニュースでいきなり犯人出ました(笑)
なんとなく真央ちゃんが犯人じゃないのはわかっていましたが、「まさかのお前かよ!こわ。」という感じ。
そう、警察は世間の噂に惑わされずにしっかりと捜査してましたよ。
殺人も社内の盗みを働いていたのも、冒頭から登場する証言者・同僚♯1の里沙子だったのです。
その盗み癖を典子に知られて、いつバラされるか気が気じゃなかった&普段から美人を鼻にかけて嫌な女だった典子に憎悪を募らせていたという…。
そんなんで殺しちゃう!?って感じですが、平気な顔して赤星に「美姫が犯人かも」という情報をバラまいて拡散させたり…今思えば赤星を最初から操作していたんだなってことですね。
伏線回収の答え合わせはワクワクしましたが、里沙子のデスクにリンゴの置物発見!
きっと魔女の毒リンゴに違いない(笑)
他にも赤星の取材を自宅で受けるときに、リンゴジュース出してたんですよ!
隠れミッキー的な隠れ魔女を里沙子の周りに散りばめていたんですね。
女の醜い争いと清らかな友情の対比
テレビでの報道を受けて「てんちゃん(美姫のあだ名)を守りたい。」とダラダラ抗議の手紙を書いていた大学時代の親友だった前谷みのり(谷村美月)は実は美姫のことを見下していました。
知ってか知らずか、SNS上でシラーッと美姫のフルネームを載せちゃうし、自分よりも先に彼氏ができた美姫に嫉妬心を燃やしていた様子。
それに引き換え、幼いころの親友であった夕子(貫地谷しほり)とは二人で起こした放火事件を期に会っていないにも関わらず、心を通わせていました。
同僚や同級生たち、近所の人、果ては両親まで自分を疑っていた身近な人の裏切りを受けながらもこの一人の親友によって立ち直ることができるのです。
まとめ
ネットの無責任さやマスコミの危うさだけでなく、嫉妬やプライドからの嘘や思い込み、妄想など、人間の奥底に潜む悪意を描いている湊かなえワールド健在!といった作品です。
赤星の無責任なSNSでのつぶやきは美姫を犯人と思い込ませるためには十分な材料となり魔女狩りが始まってしまいますが、真犯人が捕まるや否や間違った情報を流した赤星が新たなターゲットとなり、次は赤星の個人情報が流され潰されていきます。
自業自得というか「ざまあ!」といったところですが、SNS住人のクズさは継続中となり新たな犠牲者が出ただけ。
いい年齢にもなって正義を気取ってストレス発散のためにネタを探しているダークサイドのネット社会は続き、その中でも信じるものが一つでもあれば、這い上がり日の当たる場所へ戻れることを湊かなえは言いたいに違いない。(気分が悪いから、そうあってほしいのです…。)
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ヨガインストラクターもしている連ドラ好きな2児のママです。観たいドラマは録画してCMとばして観るのがおすすめ!最近では、横浜流星くんのドラマにハマってます。
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