監督:橋本一
脚本:古沢良太、須藤泰司
原作:東直己『バーにかかってきた電話』(ハヤカワ文庫JA刊)
製作: 鈴木武幸、神山郁雄、木下直哉、日達長夫、畑中達郎、鈴井亜由美、古玉國彦、村田正敏、萩谷忠男、岩本孝一、山本晋也、大辻茂、古賀太
出演者:大泉洋、松田龍平、小雪、西田敏行、田口トモロヲ、波岡一喜、有薗芳記、安藤玉恵、松重豊、高嶋政伸 ほか
音楽:池頼広
製作会社:東映東京撮影所
公開:2011年9月10日
視聴したVOD:hulu(2019年9月27日時点で視聴可)
あらすじ
東直己の推理小説シリーズ『ススキノ探偵シリーズ』を原作とした大泉洋主演の探偵映画第一弾。「すすきの」のバー「ケラーオオハタ」に入り浸る私立探偵とその助手・高田がある事件に巻き込まれていくが…
原作ファン待望の実写化!キャストもスタッフも豪華!
ハードボイルドな探偵と相棒の高田が最高!
映画の舞台となるのは札幌の大繁華街ススキノで、主演は北海道出身の大泉洋。
これだけで原作ファンも大泉ファンもたまらないのではないでしょうか?
大泉洋は主人公の“探偵”を演じますが、この探偵最後まで名前は一切出ません。
「おまえ」とか「あなた」などと呼ばれ、一人称は”俺”です。
相棒の高田役には松田龍平。
なんだかちょっと抜けていて、それなのに空手の師範代で腕っぷしは強いからそのギャップに胸キュン!鼻血ブッー!(私は生粋の松田龍平ファンです)
しかも『探偵・大泉洋のもじゃもじゃ頭・松田』ときたら、私は真っ先に松田優作の『探偵物語』を思い出しちゃいました!
『探偵はBARにいる』の探偵と信念が似ている気もしますので、インスパイアされている部分があるのかもしれませんね。
探偵と高田の掛け合いや友情が最高で見終わったときにはきっと、二人のことを大好きになるはずです。
そのほか豪華キャストがやるべき仕事をしっかりとこなしていて、見ごたえ抜群でした。
ファン待望の実写化にふさわしいスタッフの
『探偵はBARにいる』の原作は、『バーにかかってきた電話』という”ススキノ探偵シリーズ”の2作目です。
実は1作目のタイトルが『探偵はバーにいる』なので、原作を読もうと思っている方はお間違えのないように!(※ちなみに本の『探偵はバーにいる』は、映画シリーズの3作目となっています)
日本推理作家協会賞を受賞していて12冊もシリーズ化されているほど人気なんですよ。
そして、映画の『探偵はBARにいる』のスタッフはテレビ朝日系で放送された大人気ドラマ『相棒』のスタッフと同じメンツが揃っています。
確かに相棒と2人で事件を解決していく様はドラマの『相棒』と似ていますよね。
長年タッグを組んでこられたスタッフの方々ですので笑いどころや泣きどころがしっかりと押さえられチームワークを感じます。
『探偵はBARにいる』配信先一覧 | |||
動画配信サービス | 配信状況 | 見放題 | 配信先 |
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hulu | ![]() |
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実際に観た感想と周りの評価
くすりと笑って、ほろりと泣かされました。
原作未読で観ましたが、何の予備知識もいらず頭を空っぽにして観てほしい作品かなと思います。
とにかくキャストの皆さんの演技が上手。
松田龍平ファンの私はよだれものでしたし、小雪のことが大好きになりました!
ほかの方々の感想はどのようになっているか見てみましょう。
探偵はBARにいる おもしろかったです。残暑のこの時期に札幌の雪景色で涼むとかもうねw そして真面目なハードボイルドなはずなのになぜか大泉洋の顔見るたびに笑うとかね。ダメな観客だねw
— 本田拓人@太刀駒 (@tact_H) September 14, 2011
これは私もよーくわかります。『水曜どうでしょう』が頭に浮かんじゃいました(笑)
でも、後半にかけての渋い顔には痺れます!
「探偵はBARにいる」は脇キャストも豪華。ネタバレになるので言えないけど「最後にすごく重要な役で出てくるに違いない」と思った人が写真だけだったりw そして、実は恥ずかしながら原作をスルーしてきたので、終演後本屋行ってシリーズ1とミレニアム(袋入り)と君に届け最新刊と共にゲット!
— Naoko Yamaθ (@bastet7o5) September 14, 2011
視聴者の推理を撹拌させるための、ちょっとした罠がありましたね。
私も危うく騙されるところでした。
探偵はbarにいる映画版、原作とは大分違うのね。原作の学生運動や右翼とかのくだりや、細かいやり取りが好きな人は微妙だろうけど、プロットの組み立て方は映画版の方が上手い印象。
— 梅沢ヤヨイ👹イキりラメババア (@ume_0214) September 11, 2011
探偵はBARにいる を見に行った~ まぁ普通に面白かったけど…なんか微妙な残念感も残る(笑)
— かなだ まこと (@mkckinta74) September 12, 2011
微妙な残念感は期待していたものが得られなかったからかなと思います。
この映画は全体的にちょっと外した感じを楽しむもので、王道の探偵ものではありません。
本格ミステリーを期待している人は期待を裏切られるので要注意。
ネタばれ
ここから先はネタバレになります。問題ない方は読み進めてください。『カトウ』という男のアクセントが最高
『コンドウキョウコ』が探ろうとした『カトウ』は、探偵を雪に埋めた男(高嶋政伸)だったことが分かります。
この高嶋政伸の怪演が本当にヤバイ!!
前髪を下ろした変な髪形、鼻ピアスに舌ピアス、光のない黒い目と、くちゃくちゃと嫌な音を立てて噛んでいるガム。
しかも噛み終わったやつをポッケにしまう……。
「気持ち悪い」を通り越して「逆にかっこよくない!?」と感じるほどです(笑)
残虐性も素晴らしく、彼がこの映画をピリッと絞めていましたね。
死に方も最高の一言に尽きます。
誰もが小雪に振り回されたはず…
正直、『コンドウキョウコ』からの電話の声を聴いた瞬間、「小雪じゃん」と思いました。
え、思いましたよね?
小説なら上手に描けるところですが、音声のある映像では難しかったかな……。
でも、小雪の性格の豹変ぶりは本当に素晴らしかったです。
電話口で小生意気な口を叩いたかと思えば猫なで声でか弱いふりをしてみたり男を惑わす悪女。
クラブのママの姿は「立てば芍薬、座れば牡丹。歩く姿は百合の花」そのもの。
霧島が亡くなった場所へ毎日花を手向ける、けなげな姿。
そして背中がばっくり 開いたドレス姿が抜群に美しい。
悪女かと思えばけなげな一面も見せる、ミステリアスでまったく心が読めないけどそれが魅力的。
そんな難しい役をここまでやり切ったことで彼女の女優魂を確かに感じました。
沙織がなぜこんなことをしたかというと、近藤京子(街田しおん)を殺害しそれを突き止めようとした近藤京子の本当の父親、霧島をも殺害した黒幕への復讐のためです。
自分を殺して、すべてを復讐にささげた一世一代の計画でした。
そのために探偵(と視聴者)は振り回されてしまうのですが、見終わった後はそんな事どうでもよくなるほど胸が締め付けられます。
沙織の最後は、黒幕のカトウ、南、岩淵貢(本宮泰風)、岩淵恭輔(石橋蓮司)の4人を自分の手で撃ち殺し、自分も頭を打ち抜いて自殺をするのです。
復讐が正しい選択だったかはわかりませんが、彼女の霧島への愛は本物に間違いありませんね。
しっかり笑わせて、ちゃんと泣かせてくれる
前半は、探偵のナレーションを交えながらコミカルなテンポで笑えるシーンが多かったですが、後半急にナレーションがなくなりましたね。
シリアスな展開へと進むためだったのかもしれませんが、ちょっと違和感がありました。(どちらかと言えば、前半のナレーションの方に。なくてもよかったので?)
でも、笑いのセンスはレベルが高く、笑わせてくれたからこそ感動が胸に沸き上がったと思います。
例えば探偵と高田の掛け合いは日々ギャグみたいなものでしたが、探偵が本当に危険な道へ進もうとしたとき高田は「手を引け。一人きりの友達なくしたくねーや」と頼むのです。
男同士の熱い友情をこんなに静かに感じたのは初めてかもしれません。
名コンビとはまさにこの2人のことでしょう。
そして極めつけが、沙織が復讐を終えて自殺した後、探偵が一人バーに戻ってきたラストのシーン。
そこには沙織から時計のプレゼントが届いていました。
それは霧島が使っていた時計。
「あなたに使ってもらえたら、霧島もきっと喜ぶでしょう」という手紙と共に……。
これは探偵が雪に埋もれたとき時計が壊れたと怒るシーンの伏線回収となっていて、なんとも小粋なラストでしたね。
さらにエンディングにカルメン・マキが歌う『時計をとめて』が流れ、こんな怒涛の攻めを受け、どうやったら泣かずにいられるのかを教えてほしいです。
感動さめやらずにエンドロールを見つめていました。
まとめ
総じて、大満足の映画でした!
探偵ものではありますが、頭を悩ませるような巧妙なトリックやミステリーが仕掛けてあるわけではありません。
これは人の生き様を描いた作品で主役がたまたま探偵だったというだけなのです。
なので、1番見なきければいけないのはそれぞれのキャラクターだと感じました。
とにかくすべてのキャラクターに無駄がなく、それぞれの役割をしっかりこなし、それを素晴らしいキャストの方々が演じ切っているという点が最大の魅力でしょう。
もちろんストーリーもアクションも面白いのですが、これが違うキャストだったらここまで面白かったかはちょっと疑問です。
冷徹で感情を出さない昔のハードボイルドではなく、キャッチ―でコミカルな新感覚ハードボイルド作品として次回作にも期待します!!
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ドラマも映画も、魔法のドアです。楽しいとき、悲しいとき、現実世界からちょっとだけ抜け出したいそんなときに、いつだって私を連れ出してくれたエンターテインメントでした。気分に合わせたドラマや映画をご紹介できる案内人として、あなたに寄り添う素敵な情報をお届けします!
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