監督:三浦大輔
脚本:三浦大輔
原作:朝井リョウ『何者』(新潮文庫)
製作:映画『何者』製作委員会
出演者:佐藤健、菅田将暉、有村架純、二階堂ふみ、岡田将生、山田孝之、他
音楽:中田ヤスタカ
製作会社:東宝映画
公開:2016年10月15日
小説『何者』とは!?
あらすじ
それぞれの理由で大学5年生となった22歳の男女5人が、就活を通じて子供でもない大人でもない時期の曖昧な「何者」でもない自分に転びながらも向き合っていく物語です。
「内定」で人としての価値が決まる就活の中で友情や恋愛を織り交ぜながら、時としてSNSに本音を漏らし就職活動を共に進めていくのですが、「内定者」が現れてから徐々に5人の人間関係が崩れ、それぞれの本音が表れ始め…!?
朝井リョウの直木賞受賞作品!
『桐島、部活やめるってよ』で文壇デビューした平成生まれの若き作家・朝井リョウの直木賞受賞作品がついに映画化!主題歌は中田ヤスタカと米津玄師とのコラボ曲が話題になりました。
原作者の朝井リョウが実際に就活を経て社会人一年目に書いた小説なのでウェブテストやメールでの合否通知など、現代のSNSを駆使した就活の描写がやけにリアルな点も注目すべき点です。
主演級の役者揃いに注目!
大学生活を演劇に捧げ、人を分析するのが得意な普通の大学生である主人公・拓人を演じるのは朝ドラ『半分、青い』の終了と共に「律ロス」が話題になるほど切ない演技が記憶に新しい佐藤健。
その他にも多彩な才能をマルチに発揮している菅田将暉や朝ドラ女優でおなじみの有村架純、二階堂ふみ、岡田将生など、主演級の俳優陣が豪華勢揃い!
就活する学生の焦りや不安、不満、妬み、羨望、欲求を、生々しく演じている彼らが、青春の終わりを突きつけられたリアルな就活生に見えてくるのが流石です!
イケメン仮面ライダー出身俳優の佐藤健と菅田将暉の大学生役も見どころではないでしょうか!?
作品の概要
現代の就職難の就活を描く
少子化のはずなのに大学進学率の向上によって大学卒業生が多くなり就職難になってしまった現代の大学生たち。
大学を卒業するから就活をする…誰もが経験する大人への第一歩をそれぞれの思いを抱きながら「何者」かになりたくて…。
大学生の立場での目の前に広がる狭い社会と「内定」という二文字が異様に大きな存在である就活仲間5人を、劇作家として険しい道を歩んできた監督・三浦大輔はどのように描いているのでしょうか!?
現代の若者のSNS依存
何でも情報を得られるSNS類のツールを使うことが当たり前の現代の若者たちですが、原作者である朝井リョウもSNSを駆使して就活をしたのか、劇中でもSNSがそこかしこに散りばめられており、SNS依存が劇中でどう表現されているのかも注目です!
没個性を危惧!?
就活生は同じリクルートスーツを着て、同じような面接をして、一斉に人気企業にエントリーして…。
学生の終わりには同じ格好をして就活をするという、日本の就活生にとっては当たり前のことだけれども外から見れば個性のない集団に見えますよね。
演劇やバンド、留学など、キラキラな学生時代を送ってきた大学生たちが、この没個性ともいえる対照的な就活にどのように向き合っていくのか、学生時代に培ったものを活かせるのか、これから就活する学生や就活真っ只中の人は参考になるかも!?
『何者』配信先一覧 | |||
動画配信サービス | 配信状況 | 見放題 | 配信先 |
---|---|---|---|
U-NEXT | ![]() |
![]() |
視聴ページ |
hulu | ![]() |
||
dTV | ![]() |
![]() |
視聴ページ |
Amazonプライム・ビデオ | ![]() |
![]() |
視聴ページ |
実際に観た感想 Twitterの声&評判
豪華な主演級の俳優陣がキャスティングされており、なんだか華やかなイメージですが、大学生特有のキラキラが一切なく(汗) 皆が「何者」かになりたくて必死に就活して誰かに認められたくてもがいている、見ていて苦しくなる映画でした。
本当に息苦しい、切ない…。
人間の嫌な部分がすごく見えるのに、そこに自分が感情移入してしまうからしんどいんです。
朝井リョウに「ほら、ほら、あんたもそうなんだろ?」と言われているような…。
とても一般的でありふれていて誰でもが共感するけれど、そんな自分は嫌だし認めたくないっていう…「うんうん!あるある!」っていう嬉しい共感ではなく、なるべくなら目を背けていたかったものを突きつけられた感じの共感なんです。
自分もたいした人間じゃないのに虚勢を張り、自分が正しいと思っていて人の目ばかり気にしていた20才前後の青い時代を思い出して恥ずかしくなりました(汗)
最後までドギマギして、ちょっとモヤッと残る、浅井リョウらしい終わった後まで考えさせられる映画です。
映画『何者』面白かった。佐藤健の痛々しさの演技はすごいなーと、部分的には誰もが過去の自分で見てて苦しくなるような気がする。あとはやっぱり観察者じゃなくて生み出す人はどんなものでも偉い、というのは共感。何者かになりたいですよねぇ。ほんとに。#何者
— カケヒマサヒデ (@kakehi_) 2016年11月6日
拓人のような観察者には誰でもなれるけど、ギンジのように生み出す人になるには一筋縄ではいかないということですね。本当にその通り!
映画『何者』は現代を生きる若者が就活という社会の波に飲まれて葛藤する鬱な映画でした。
感想は「この映画をすべての大学生、高校生に見てもらいたいな」って感じこの映画を見ても意味がわからないかもしれない
けど、きっとわかるときが来るはず#何者— くゎぃあ (@kuwachaaaaanK) 2016年11月7日
全体的に色で言うとグレーな感じ。天気で言うと終始曇天な感じ。と言いましょうか。でも、観ればきっと何かを感じるはず!だから、この劇中の子たちみたいな若者に観てもらいたいです。
#何者 映画を観た後は怖い…が強かったけど原作を読み終わると頑張ろう!と前向きな気持ちになった。今の私にできる100点を見せなきゃ、見せたいって思ってたけど、少し考え方が変わった。自分の中から出さないと伝わらない。分かってた事だけど皆が必死で。だから私に出来る事を全力でやりたい。 pic.twitter.com/bxdIknUEcN
— 美紅 (@39_kato) 2016年11月25日
#何者
ラストのシーン見たら、自分も頑張ろうって思える。ベタだけど笑でも、それを思わせるだけの説得力と表現だった。
あと、有村架純は可愛い
— おののの。 (@nonosuk1945) 2016年11月23日
怖いって感じた後にがんばろう!と思えた若者よ、なんて前向きな…。
そう、自分は自分でしかない、自分でできることを全力でやるしかないんだ、と一人でも感じる人がいたら朝井リョウも監督も俳優陣もすごい。
落ち込んだけど、怖かったけど、ラスト良かった!という感想が多かったです。
拓人に共感してしまう人が多く、苦い思い出が蘇った就活経験者も続出していますね。
『何者』見どころとネタバレ
ここから先はネタバレになります。問題ない方は読み進めてください。烏丸ギンジは誰が演ってるの?
かつて拓人の演劇サークルの仲間だったギンジは劇中では終始拓人のイライラをぶつける対象であり、拓人と対極にいる人物として描かれているのですが、物語の始めから終わりまで顔出しがないままなんです。
公式でも発表がなくシルエットから「もしかして米津玄師!?」などという噂もありましたが、実際演じているのは藤原季節という役者さん。
ギンジが現れるシーンの度に「今度こそ見られる!」と期待してしまいますが、後ろ姿や横顔チラ見せくらいでミステリアスな描写となっています。
正体が明かされない烏丸ギンジ
物語の始めから終わりまでギンジ本人は後ろ姿だったり横顔だったり、最後まで顔出しがないままでミステリアスな描写。
就活して社会に収まろうとしている自分は間違っていない、評判の悪い公演をさも才能がある人間のようにSNSで発信し続けるギンジは「なんてマヌケなんだ」「俺は間違ってない」と、ギンジの劇団の公演の悪口が書かれている掲示板を見ては、ほくそ笑んで安心する拓人。
なかなか内定をもらえないイライラをギンジを否定することで自分を肯定し、認められたい欲求を満たしている姿は何とも哀れ。
ギンジのことが羨ましくてたまらないのはわかるけど、ちっちゃいのよ、ちっちゃい男だな~と。
でもわかる…人を非難して自分を守るというか、認めたくないけど誰でもあるある!なことなのかも。
激団「毒とビスケット」
同じ演劇サークルの仲間だった烏丸ギンジが就活せずに立ち上げた劇団である激団「毒とビスケット」の演劇シーンは、実際に劇団メンバー役の俳優陣が本物の劇団のように稽古を重ねたものなんです!
劇中ところどころに公演シーンと就活シーンが対照的に出てきます。
自由に生きている若者と自由を奪われた若者を表すかのように…。
どこを切り取っても本当の公演に見えるように稽古した演劇シーンも見どころの一つです!
拓人は就活浪人生だった!
実は、拓人は就職活動2年目だったのです。それを示唆するセリフや演出は、見終わってから考えると結構あったんですよ。
・映画始まりのバンドシーンで、リクルートスーツ姿の瑞月に対して拓人が「スーツ買ったんだ。」というシーン。=拓人は着ていて当たり前的な雰囲気。
・光太郎が瑞月のスーツ姿を見て「就活を思い出して萎えた~!」と言うが、同じくスーツを着ていた拓人には「拓ちゃんはイイの!」と寛容なところ。
・サワ先輩宅で、エントリーシートを書いている拓人が「書き慣れてんだろ。」とサワ先輩に言われる。
・光太郎が「拓人先ぱーい」と言うところ。
・隆良が「拓人が一番就活詳しいから、いろいろ教えてくれよ。」と言う発言。
・拓人が裏アカウントで、「今年も内定が出ない。理由がわからない。」とつぶやいている。
その他4人も大学5年生なのですが、光太郎はバンド活動で単位が取れず留年、瑞月と理香は留学していたからで隆良は1年休学していたから。
そう、同じ大学5年生でも就活経験者は拓人だけなのです。
しかも…就職浪人(汗)
裏アカウントだけが本音を言える場所
拓人は冒頭からスマホを肌身離さず持ち歩いています。
出会った人をすぐに検索し、その動向を調べ、そしてまた自分もツイート。
この拓人のスマホを使用している描写は物語の中によく出てきます。
現代の若者の代表のイメージですね。
まさにTwitter依存症。
しかも拓人は裏垢(裏アカウント)で、目の前にいる友達のこともこき下ろしていました。
それは、まるでストレス発散の憂さ晴らしのよう。
拓人は、自分のことは棚に上げて見てみないふりをし、裏アカウントに悪態をつくことで、現実から逃げていたんですね。
がんばっている友達を嘲笑い、かっこ悪いと下に見て、がんばっているはずの自分がなかなか内定をもらえないのがなぜかわからず…。
何者でもないことに気づきながら見ないふりをする…その逃げ場が裏アカウントだったのです。
裏アカウントの名前が「何者」
自分が一番だと思いながらも、何者にもなれていない自分を一番わかっていたのは拓人本人だった…ということ。
潜在意識の中に自分が「何者」という疑問があったのでしょうか。
自分じゃない誰かになれる場所。それが、拓人の裏アカウント「何者」だったのですね。
まとめ
就活中や就活前の学生さんは観た方がいいのか悪いのか。
就活終わって20年以上経ちましたが、このお腹痛くなる感じ。懐かしいけど、二度と嫌ですね~(笑)
普通の大学生である主人公の拓人が演劇をやめて社会に出る不安と「内定」という形での承認欲求を抱え、希望企業から内定をもらった友達や夢に邁進するかつての仲間によって焦りを抱き、どんどんSNSに依存して行く姿は現代の「若者あるある」なのかもしれません。
そう、内定がゴールではなく人生の序の口にいる彼ら就活生やこれから就活をする若者には胸が痛い話かもしれませんが、誰もが抱く社会に出る不安や緊張、羨望、妬み…などリアルに描かれていて、目を背けたくなる感じが、逆にいい!
就活の世界だけではない、誰にでも陥る闇を描いている作品なのかもしれません。

ヨガインストラクターもしている連ドラ好きな2児のママです。観たいドラマは録画してCMとばして観るのがおすすめ!最近では、横浜流星くんのドラマにハマってます。
この記事へのコメントはありません。