タイトル:ハリー・ポッターと賢者の石(字幕版)
公開年:2001年
監督: クリス・コロンバス
キャスト:ダニエル・ラドクリフ/ルパート・グリント/エマ・ワトソン
視聴したVOD:Amazonプライム・ビデオ
ハリー・ポッターシリーズといえば、シリーズ累計発行部数が5億部を超え、児童書でありながら子供から大人まで、多くの人が愛読した作品ですね。
現在は、同シリーズ作品として「ファンタスティック・ビースト」シリーズが絶賛公開中となり、こちらの作品にも再びスポットライトが当たっています。
さて、今回紹介するのは2001年に公開されたシリーズ第1章です。
両親を亡くし、親戚の家で虐げられて育った11歳の男の子ハリー・ポッターに届いた一通の手紙により、彼の世界は一転します。
両親の死の真実や、宿敵との対決、真実の友との出会いなどなど、胸躍る第1章をさっそく見ていきましょう。
あらすじ
運命の子
暗闇に包まれる閑静な住宅街に、街灯の灯りをライターのようなもので集める老人が一人。
彼の名前はアルバス・ダンブルドア。
そして、ダンブルドアの傍に一匹の猫。
彼女の名前は、ミネルバ・マクゴナガルといって、ある学校で教師をしている。
彼らは、ルビウス・ハグリッドが連れてくる子供を待っていた。
「校長…本当にあの一家に預けるおつもり?」
ハグリッドから子供を受け取ったダンブルドアに、マクゴナガルはそう苦言を呈する。
彼女は一日、ある一家を監視していたそうだが、「最低のマグル」だそうだ。
しかし、それでもダンブルドアは他に親戚がいないことから、その一家に子供を預けることに決意したのである。
「この子は魔法界で、だれよりも有名になる子ですよ。」
「だからここで、静かに暮らすほうがいいのじゃ。時が来るまでな。」
ダンブルドアはそう言って、子供と手紙をある一家の玄関先に置く。
手紙の宛名面には【プリベッド通り4番地ダーズリー夫妻殿】と書かれていた。
「幸運を。ハリー・ポッター。」
物置部屋の男の子
それから約10年、ダーズリー家で育てられたハリーの人生は、とても幸福とは言えなかった。
ダーズリー家にとって、ハリーは邪魔者であり、彼に与えられたのは階段下の小さな物置部屋と、溺愛され太った従兄弟のおさがりばかり。
さらに、下働きのように家事をやらされたり、何か問題行動を起こせば暴力を振るわれるなど、冷遇され孤独感に苛まれる毎日を送っていたのだ。
しかし、彼の周りではたびたび不思議なことが起こった。
この日も、従兄弟ダドリーの誕生日で動物園に行ったとき、なぜか蛇と話をし、彼をとらえていたガラスを消失させてしまったのである。
そんなハリーの異常ともいえる能力に、叔父バーノンと叔母ペチュニアはよくヒステリックを起こしていた。
そんな彼に、転機が訪れる。
ハリーの誕生日直前、彼に初めて手紙が届いた。
その手紙の宛名には、「ホグワーツ」と書かれており、それを知ったダーズリー一家はすぐさま手紙を処分。
しかし、手紙は狂ったように毎日届けられ、ダーズリー一家を狂わせていく。
結局、ダーズリー一家はハリーを連れ、手紙から逃れるために荒れた海に浮かぶぼろぼろのホテルへ逃げたのである。
奇しくも、その日はハリーの誕生日前夜だった。
ハリーはダーズリー一家が寝静まったあと、床に描いたバースデーケーキに「おめでとう、ハリー。」と言って息を吹きかけた。
その時だった。
今にも壊れそうなドアの向こうから、大男が現れたのだ。
それはダンブルドアの命を受け、ハリーに「ホグワーツ魔法魔術学校」からの入学許可証を持ってきたのである。
しかし、ハリーは魔法のことはおろか、両親の死についても真実を知らなかった。
ダーズリー夫妻は、ハリーに「両親は交通事故で死んだ。」と告げていたが、真実はまったく違ったのだ。
リリー・ポッターの姉であるペチュニアは、妹のことを「化け物」と罵り、その血を継ぐハリーを「まとも」に育てると決め、すべて黙り込み、ハリーをホグワーツにも行かす気はさらさらなかったのだ。
「マグルがそんな偉そうな口を?」
マグルというのは、魔法が使えない人たちの俗称である。
ハグリッドは魔法で、ハリーの両親や尊敬するダンブルドア校長を侮辱するダーズリー夫婦を懲らしめるため、ハリーにプレゼントしたケーキを盗み食いするダドリーに豚のしっぽをプレゼント。
ダーズリー夫婦は発狂し、ハリーはハグリッドと共に準備のためロンドンへ向かうのであった。
ダイアゴン横丁
ロンドンへ向かったハリーは、ハグリッドに連れられて【漏れ鍋】というパブへ。
そこにいた魔法使いたちは、ハリーを見て目の色を変える。
その中には、これからハリーが通うホグワーツで【闇の魔術に対する防衛術】を担当しているクィリナス・クィレル先生に出会う。
彼は吃りがひどく、ハリーに対してもおどおどした態度であった。
ハグリッドは群がる群衆に別れを告げ、ハリーを漏れ鍋から通じるダイアゴン横丁へ連れ出したのである。
「さぁ、ダイアゴン横丁だ!」
見たこともない不思議なものに目を奪われながら、ハリーがまず向かったのはグリンゴッツ銀行。
そこで彼は初めて、両親が自分のために莫大な財産を残してくれていたことを知ったのだった。
ポッター家の金庫の後、ハグリッドはダンブルドアの使いで713番金庫から紙に包まれた小さな何かを取り出した。
ハリーはそれが何かハグリッドに尋ねたが、ホグワーツに関わる秘密だからと言って、その正体を教えてはもらえなかった。
その後、二人は順番に学用品を買い揃え、残ったのは杖だけになる。
何か用事があるハグリッドと別れ、ハリーは一人で【オリバンダーの店】へ。
そこは、かつて両親も杖を買った店で、店主オリバンダーは感慨深そうにハリーを見つめていた。
その後、ハリーはオリバンダーに言われるがままに、用意された杖を振る。
合わない杖はうまく魔力をコントロールすることができず、店の中をめちゃくちゃにしてしまうが、オリバンダーは特に気にした様子もなく、次から次へとハリーに杖を渡していく。
そして、ついにハリーにぴったりの杖が決まった。
ハリーが選んだ杖には、不死鳥の尾羽が使われていた。
オリバンダーは、これまで作ったすべての杖を記憶しており、同じ不死鳥の尾羽で作られた杖がもう一本あったらしい。
「運命の定めだ。あなたの杖はこれだが、あなたに傷を与えたのは、その兄弟杖なのだ」
「…その杖の持ち主は?」
ハリーの問いに、オリバンダーは「その名は口に出せん。」と返す。
「杖は自らその持ち主を選ぶ。なぜそうなのか、理由は分らんがね。あなたはきっと、偉大なことを成し遂げるじゃろう。【名前を言ってはいけないあの人】も、偉大なことをした。恐ろしいが、偉大なことを…したのじゃ。」
シリアスな空気が流れたところに、ハグリッドがハリーへの誕生日プレゼントをもってやってくる。
それは真っ白なフクロウで、初めてもらった自分のプレゼントにハリーはそれまでの重い空気を忘れて、思わず「すごい!」と声を出すのであった。
ヴォルデモート
その夜、ハリーはハグリッドにこれまで疑問に感じたことを尋ねることに。
両親は誰に殺されたのか、どうして自分の名前が魔法界でこれほどまでに有名なのかを。
「最初に大事なことを言っておく。魔法使いにはいいやつも悪いやつもいる。」
そして、悪の道を突き進んでいた男こそ、【名前を言ってはいけないあの人】だった。
その名は、【ヴォルデモート】。
暗黒の時代と呼ばれた頃、ヴォルデモートは仲間を集め、その勢力を急激に伸ばしていた。
ハリーの両親も戦ったが、ヴォルデモートによって命を落としたのである。
けれども、ハリーだけは、ただ一人ヴォルデモートに命を狙われたにもかかわらず生還しているのだ。
「その額の傷は、ただの傷じゃねぇ。邪悪な呪いをかけられたときにできる傷だ。」
「それでヴォ…例のあの人は?」
「死んだって話もある。」
しかし、ハグリッドはそう考えていないらしい。
「今もどこかで生きている。弱っとるだけだ。」
ハリーが持っている何かが、ヴォルデモートも退けた。
しかし、それが何かはわからないままだが、そういう経緯もあって【生き残った男の子】と魔法界で呼ばれ、英雄扱いをされているのであった。
出会い
翌日、ハグリッドと共にキングクロス駅に向かったハリーは、チケットに書いてある9と3/4番線が分からず、白フクロウのヘドウィッグを乗せたカーとを押しながらさ迷っていた。
幸いにも周囲にいる人たちを「マグル」と呼ぶ家族を発見し、ホグワーツ駅のホームへたどりつくことができたのだ。
その後、ハリーは空いているコンパートメントから外を眺めていると、先ほどホームへ案内してくれた家族の中にいた少年が「そこ空いてる?」と声をかけた来た。
彼の名前は、ロナルド・ウィーズリー。
【生き残った男の子】に憧れる、ハリーと同じ11歳の新入生であった。
彼は魔法界のことを何も知らないハリーに、いろいろなことを教えてくれた。
そして、ホグワーツ特急の中で、もう一人出会った人物がいる。
「ネビルのヒキガエルを見なかった?」
そう言いながら入ってきたのは、マグルの両親を持つ少女ハーマイオニー・グレンジャーだ。
彼女は魔法を使おうとして失敗したロンに対し、少し見下したような発言をした後ハリーのメガネに向かって「オキュラス・レパロ」と唱え、見事メガネを修復して見せた秀才である。
そしてついに、ホグワーツ特急は終点へ到着したのだった。
ホグワーツ
駅に到着した新入生たちは、森番であるハグリッドに先導され、小さなボートに乗り込む。
美しい城に、ハリーたちの心は踊る。
ボートを降りたハリーたちを待っていたのは、マクゴナガルだ。
彼女は新入生の歓迎パーティーの前に、寮への組み分け儀式があることを説明。
ホグワーツには、グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、スリザリンの4つの寮があり、点数を競いあうらしい。
ちなみにマクゴナガルは、グリフィンドールの寮監でもある。
説明を終えると、マクゴナガルは準備のため一旦席を離れる。
そのタイミングで、金髪オールバックの少年がニヤニヤした笑みを浮かべて、ハリーのもとを訪れる。
彼の名前は、ドラコ・マルフォイ。
純血一族マルフォイ家の嫡男で、同じ純血一族のロンとはくらべものにならない御曹司だった。
「魔法族にも、家柄の上下がある。友達の選び方は慎重に。」
ドラコはハリーにそう言いつつ、隣にいるロンに視線を向ける。
「僕が教えよう。」
そう言ったあと、ハリーに向かって手を差し出す。
しかし、ハリーはその手に一度視線を向けた後、はっきりこう告げたのだ。
「悪いけど、友達は自分で選ぶ。」
そう拒絶したタイミングで、準備を終えたマクゴナガルが戻ってくる。
そして、彼女の引率により、新入生たちは大広間の真ん中に置かれた組み分け帽子の前へ。
しかし、儀式の前にダンブルドアから、ある重大な発表が行われることになる。
「新入生諸君、【暗黒の森】には入ってはならんぞ。立ち入り禁止じゃ。」
「【右手の3階の廊下に近寄らぬこと】とな。もがき苦しむ死が待っておる。以上だ。」
ダンブルドアの警告に、新入生たちの表情が曇るが、教師たちは特に気にした様子なく、組み分けの儀式に入った。
「呼ばれたら前に出なさい。組み分け帽子をかぶせます。」
まず最初に名前を呼ばれたのは、ハーマイオニー。
彼女は緊張した面持ちで前に進み出て、マクゴナガルによって帽子をかぶせられる。
組み分けの結果は、グリフィンドール。
次に名前を呼ばれたのは、ドラコ・マルフォイだ。
彼は頭に帽子が触れるか触れないかのところで、スリザリンに決まる。
それを見たロンは、すかさず「悪い魔法使いを出す寮だよ。」と、ハリーに説明。
その後、組み分けの儀式は順調に進んでいくが、その途中でハリーは教員席から自分をジッと見つめる視線に気が付いた。
「っ!」
ハリーは、今まで傷んだことがない傷跡が痛み、額を抑える。
「どうした?」
「何でもないよ…大丈夫。」
ロンが心配そうに尋ねるが、原因がわからないので、ハリーは心配をかけないようにそう返したのだった。
その後、ロンはグリフィンドールに組み分けされ、ついにハリーの順番が回ってきた。
ハリーは恐る恐る前に進み出て、組み分け帽子を頭にかぶる。
『これは難しいぞ…すこぶる難しい…。勇気にあふれておる。頭も悪くない…。』
組み分け帽子が、ハリーにグリフィンドールとスリザリンの素養があることを告げたところ、ハリーはすかさず「スリザリンはダメ!スリザリンはダメ!」と祈るようにつぶやいたのである。
『偉大な魔法使いになる素養が、君の頭には詰まっておる。スリザリンに入れば、偉大なる者への道が開けるのだぞ。』
「お願い、スリザリンだけはやめて。」
『それならば…グリフィンドールだ!!』
組み分けの儀式が終わったあと、大広間では宴が催される。
ダンブルドアの合図で現れた料理に舌鼓をうちながら、ハリーは隣にいたロンの兄で監督生のパーシーに、先ほどハリーをジッと見つめていた教師のことを尋ねることに。
「スリザリン寮監のスネイプ先生だ。」
彼の名前は、セブルス・スネイプ。
魔法薬学の教師だが、生徒の間では闇の魔術に詳しいため、クィレルの席を狙っていると噂される人物だった。
宴が終わったあと、新入生たちは寮監に連れられて、それぞれの寮がある場所へ。
ハリーと同じく、マグル社会で育った子供たちは、動く階段や絵画にワクワクが止まらない様子。
寮の部屋に案内されたハリーは、同室の同級生たちが眠る中で、一人窓辺に座りこみ、いつまでもヘドウィッグの羽をやさしくなで続け、ぼんやりと外を眺め続けていたのである。
授業
そして、いよいよホグワーツ魔法魔術学校での生活がスタート。
しかし、変身術の授業ではさっそく遅刻をしてしまい、マクゴナガルに厳しく注意されてしまう。
さらに、魔法薬学ではスネイプによる、質問攻撃にあうことになった。
「ミスターポッター…わが校に名を加えた有名人。」
スネイプの無粋な言葉に、ハリーは思わず顔をしかめる。
「アスフォデルの球根粉末にニガヨモギを加えると?」
突然の質問に、ハーマイオニーがすかさず手をあげる。
しかし、ハリーは何を問われているか全く理解していなかった。
「分らぬか?それでは…ベゾアール石はどこにある?」
「わかりません。」
「トリカブトは何種類ある?」
「わかりません。」
「情けない。名前ばかり有名でも、何の役にも立たん。」
このように、初回の授業はさんざんで終わったのであった。
シーカー
大広間で勉強をする生徒たちに、フクロウたちが手紙や荷物を届けていく。
特に荷物が届くわけではないハリーは、ロンに許可を得て彼に届いた新聞を見させてもらうことに。
ちょうどその時、近くにいたネビル・ロングボトムには、祖母から【思い出し玉】が届けられたのだが、彼は何を忘れているのかさっぱりわからないそうだ。
そんな話を聞き流しながら、ハリーが新聞を読み進めていると衝撃的なニュースが目に入る。
「ロン、グリンゴッツ銀行に泥棒が入った。」
新聞には、闇の魔法使いか魔女により、グリンゴッツ銀行に強盗が入ったことを大々的に報じていたが、特に何も盗まれることはなかったそうだ。
強盗に入られた713番金庫はすでに空っぽで、盗むものなど最初から入ってなかったためだ。
「変だな…僕とハグリッドが行った金庫だ。」
ハリーの言葉に、ロンとハーマイオニーは首を傾げつつ、次の授業へ向かったのである。
校庭に並べられた箒の傍に、グリフィンドールとスリザリンの生徒が並ぶ。
これから行うのは、箒を使った飛行訓練だ。
魔法族は箒を使ったクディッチと呼ばれるスポーツを熱狂的に愛しているのだが、全員が最初からうまく箒を操れるわけではない。
自分に自信がなく、いつもオドオドしているネビルは、その授業で箒のコントロールに失敗し、高いところから転落し、手首の骨を折ってしまったのだ。
マダム・フーチはネビルを一旦医務室に連れていくため、子供たちに「勝手に飛ばないように!」と釘を刺して出て行ったのだが、ドラコがネビルの思いだし玉を拾ったことで、ひと騒動起こってしまう。
彼はネビルの思い出し玉を持ったまま、「返せ。」というハリーから逃げるように上空へ飛んで行ったのだ。
ハリーはハーマイオニーに静止されつつ、そのままドラコを追って上空へ向かい、彼が遠くに投げた思い出し玉をアクロバティックな飛行で見事キャッチしてみせたのだ。
そして、それをクディッチを狂うほどに愛してやまないマクゴナガルに見られてしまったことにより、彼はグリフィンドールの最年少シーカーに選ばれることとなる。
通常1年生からクディッチチームに選抜されることはなく、ハリーも約100年ぶりだと聞いて興奮気味だった。
しかし、現役クディッチ選手であり、ロンの兄フレッドとジョージに危険なスポーツであると脅されてしまい、すぐに「ヘタクソならどうしよう。」と不安げな表情を浮かべたのである。
「その心配はご無用よ。優秀な血が。」
そうハリーに告げたのは、偶然近くにいたハーマイオニー。
彼女はハリーとロンを連れ、【優秀な血】とは何か証拠を見せることにしたのだ。
「わお、全然知らなかったよ。お父さんもシーカーだったのか。」
ロンは飾られたトロフィーを見て、感嘆の声を上げる。
トロフィーが納められた場所には、【グリフィンドールシーカー ジェームズ・ポッター】の名がしっかり刻まれてた。
「僕も知らなかった。」
隠されたもの
「他人のほうが君のことをよく知ってるなんて。」
トロフィーを見た帰り、ロンがハリーにそう告げたとき、3人が上っていた階段が突然動き始める。
ホグワーツの階段は気まぐれで、ハリーはとりあえず目の前の扉に足を進めるのだが、そこはダンブルドアが組み分け儀式の前に警告していた【3階の廊下】であった。
ハリーたちはすぐにその場から去ろうとするが、運悪く管理人フィルチの猫に見つかり、廊下の奥へ逃走し、手ごろな部屋に隠れることに。
しかし、その部屋のドアには鍵がかかっていたのである。
「どいて!アロホモラ!」
ハーマイオニーの機転により、扉の鍵は開錠。
侵入者を追ってきたフィルチを交わすことに成功したのだが、扉の中にはそれよりも恐ろしい存在がいたのである。
三人は悲鳴を上げて、グリフィンドール寮まで命からがら逃げかえる。
ロンはなぜ子供が多い学校に、あんな危険な生物を飼っているのか、と憤っていたが、ハーマイオニーは呆れたように言葉を発する。
「足元に仕掛け扉が…何かを守っているのよ。」
「守ってる?」
「そうよ。それじゃあ、あなたたちと付き合って命を落とす前に、失礼して寝るわ。」
そう言ってハーマイオニーは、プリプリ怒ったまま、女子寮へ戻っていった。
クディッチ
ハリーはグリフィンドールのキャプテン、ウッドにクディッチのルールを習うことに。
クディッチは危険も多いスポーツだが、ハリーの役目はただ一つ。
【金色のスニッチ】を捕まえて、ゲームを終わらせることである。
事件
入学してから些細なトラブルはあれど、平和な日常を満喫していたハリーだが、ここで事件が起こる。
フィリウス・フリットウィックによる呪文学の授業で、浮遊呪文【ウィンガーディアム・レビオーサ】を習っているとき、呪文がうまく使えないロンと使えるハーマイオニーが喧嘩をしてしまった。
ロンは授業の後、ハーマイオニーの真似をしながら「嫌な奴だ」と公言し、それを聞いた彼女は泣きながらどこかへ向かったのだ。
その日はハロウィンパーティーの日で、生徒たちは大広間に集まって甘いお菓子やごちそうに目を輝かせていたが、クィレルの報告により、ホグワーツの地下にトロールが侵入したことが発覚。
生徒たちは監督生に連れられて寮へ戻ることになったのだが、パーティーに参加していないハーマイオニーがこの事を知らないと気が付いたハリーは、ロンを連れハーマイオニーを探しに行くことに。
しかし、ハリーとロンは一歩間に合わず、地下室から上がってきたトロールはトイレにこもっていたハーマイオニーに襲い掛かっていたのである。
「ハーマイオニー!逃げろ!!」
ハリーとロンは女子トイレに乱入し、トロールに向かって杖を構える。
しかし、入学したばかりで碌に魔法が使えなく、ハリーはトロールに足を掴まれて宙吊りにされてしまった。
そんなハリーを助けるため、ロンはトロールに杖を向ける。
「ビューン、ヒョイよ!!」
「ウィンガーディアム・レビオーサ!」
ロンはトロールの棍棒を浮かせ、そのまま頭に落下させ昏倒させ、ハーマイオニーの救出に成功したのである。
その後、ハリーたちはトロールを退治するためにやってきたマクゴナガル、クィレル、スネイプにその姿を見咎められた。
ハーマイオニーはすぐに2人をかばうために、「自分が退治しようと勝手な行動をした。」と嘘をつく。
優等生であるハーマイオニーの言葉に、「判断力の欠けた行いの罰に、寮から5点減点します。」と厳しい処断を下した。
そんなマクゴナガルの言葉を、ハリーもうつむいたまま聞いていた時、ふとスネイプの足から出血していたことに気が付いた。
しかし、それはすぐにスネイプ自身によって、ローブの下に隠されてしまう。
その間も、マクゴナガルの説教は続いていた。
「あなたたちは、運よく無事だっただけです。トロールと戦い、生き残れる1年生は多くありません。」
そして、一旦呼吸を整えたあと、こう告げたのである。
「5点ずつ…2人与えましょう。」
その言葉に、ハリーとロン、そしてハーマイオニーの顔に笑顔が浮かぶ。
「幸運に対してです。」
そう言って、マクゴナガルとスネイプは、女子トイレから出て行った。
このトロールの事件以降、3人は一緒に過ごすようになる。
クディッチの試合
いよいよ、ハリーのシーカーデビューの日がやってくる。
ロンとハーマイオニーは、食欲のないハリーにもっと食べるように声をかけるが、緊張で食事が喉を通らないようだ。
そんな3人のもとへ、スネイプが歩み寄ってきた。
「健闘を祈る。トロールの後のクディッチは、軽くこなせるはずだ。対スリザリンでもな。」
そう厭味ったらしく言った後、スネイプは足を引きずりながら去っていく。
「あの時の血…。」
ハリーはロンとハーマイオニーに、スネイプがケガをしていたことを告げる。
彼はトロールを入れたのはスネイプで、騒動にまぎれて3階の廊下へ向かい、3頭犬に噛まれたのだ、と予測した。
「ハグリッドは銀行から何かを出した。学校の秘密だって。」
「つまり…。」
「それを番犬が守り、スネイプが狙った。」
しかし、この話に結論は出なかった。
フクロウ便の時間ではないのに、ヘドウィッグがハリーに荷物を運んできたのである。
ヘドウィッグが運んできたのは、新型の箒ニンバス2000だ。
ハリーがチラリと教壇のほうを見ると、荷物を運んだヘドウィッグをマクゴナガルが撫でながら、茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべている。
そしていよいよ、グリフィンドールVSスリザリンの試合の幕があける。
試合はまさに点取り合戦で、初めて生でクディッチの試合を見たハリーは上空で圧倒されつつ、スニッチを探すために目を凝らし続けていた。
目の前に現れたスニッチを捕まえるため、ハリーは勢いよく飛び出すが、ここでアクシデントが発生。
ハリーの箒に呪いがかけられ、コントロールができなくなってしまったのである。
そのことにいち早く気が付いたハーマイオニーは、教員席に座るスネイプがジッとハリーを見つめ、何かぶつぶつ呟いていることを発見した。
「見て!スネイプが呪文を!」
「何?箒に呪文を?」
ハーマイオニーは、ロンに双眼鏡を渡したあと、急いで教員席に向かい、椅子の下からスネイプのローブに火をかけたのである。
ローブに火が引火したことで、教員席はパニック。
スネイプの後方にいたクィレルも、椅子の下に叩き落されてしまった。
それと同時に、箒のコントロールは正常に戻り、ハリーは慌ててスニッチを追う。
その後、勢い余ってスニッチを飲み込むというアクシデントはあったが、ハリーは見事グリフィンドールのシーカーの役目を果たしたのである。
ニコラス・フラメル
試合が終わったあと、3人はハグリッドにスネイプが呪いをかけていたことを報告。
しかし、ハグリッドはスネイプを信頼しているのか、まったく取り合う気配がない。
「彼は頭が3つある犬にも近づいた。」
「フラッフィーに?」
なんと、あの3頭犬はハグリッドのペットで、名をフラッフィーというそうだ。
「あの犬が守っている物を、スネイプが狙ってる。」
ハリーは再度ハグリッドにそう訴えるが、長年ホグワーツで教員として働くスネイプに軍配が上がる。
「でも呪文をかけていたのは確かよ!まばたきもしなかったわ。呪文をかけてた証拠よ。」
「僕も見た。」
ハリーとハーマイオニーの言葉に、ハグリッドは重いため息をついてから、言葉を発する。
「お前たちに言っておく。余計なことに首を突っ込むな。」
ハグリッドは3人のことを、本当に心配して警告しているのだが、いかんせん彼は口が軽いのだ。
「この件は校長と、ニコラス・フラメルに任せとけ。」
ホグワーツに隠されている物は、ニコラス・フラメルという人物を辿れば明らかになることを知った3人は、ハグリッドの忠告を聞かず、その人物について調査することに。
しかし、クリスマス休暇を迎えても、ニコラス・フラメルに関する調査は進んでいなかった。
一度帰省するハーマイオニーは、魔法のチェスに興じるハリーとロンに「ニコラス・フラメルのことを調べてね。」と言葉を発する。
「もう100回も調べたろ?」
ロンが心底うんざりとした表情で、声を上げる。
しかし、ハーマイオニーは笑みを浮かべて2人に顔を近づけて、こう言った。
「閲覧禁止の棚は、まだよ。」
「よいクリスマスを。」
ハーマイオニーは、最後にニッと笑って大広間を出ていく。
「…校則破りは僕らの影響?」
ロンはハリーに同意を求めるように、そうつぶやいたのであった。
透明マント
クリスマスの朝、ハリーはロンの声で目を覚ます。
グリフィンドールの談話室にあるクリスマスツリーの下には、ハリー宛にプレゼントが届けられていたのである。
初めてのプレゼントに、ハリーはワクワクしながら封を切る。
まず最初に開けたプレゼントの中には、不思議なメッセージカードが同封されていた。
【お父さんから預かってた物を君に返す時が来た。上手に使いなさい。】
その内容にハリーは首を傾げつつ、とりあえずプレゼントを広げてみることに。
「知ってるぞ!それは【透明マント】だ。」
「レア物だぜ。誰から?」
「名前は書いてない。ただ【上手に使いなさい】って。」
みぞの鏡
その夜、ハリーはさっそく透明マントをかぶり、閲覧禁止の棚を目指して図書室へ。
しかし、閲覧禁止の本を開いたところ、本から叫び声が聞こえ、危うくフィルチに見つかりそうになり、慌てて寮へ向かって歩き出す。
その途中、偶然クィレルと脅すスネイプを目撃したのであった。
ハリーはスネイプやクィレル、フィルチが閲覧禁止の棚に入った生徒を探していることから、一旦身を隠すため、近くの空き教室へ。
そこには、【みぞの鏡】と書かれた不思議な鏡が設置されていた。
それは、心の奥底にある望みをうつす鏡だった。
ハリーの望みは、顔も覚えていない両親とともに歩むこと。
ハリーはすっかり【みぞの鏡】のとりことなり、毎日のように鏡の前へ赴くハリーのもとへ、ダンブルドアが現れる。
彼は鏡の真実を伝えたあと、「見るものに知識や真実を与えてはくれぬ。」と言葉を続けた。
「この鏡に魅入られ、身を滅ぼしたものは大勢いる。」
ダンブルドアは、この鏡にハリーがこれ以上魅入られてしまわないよう、別の場所へ移動することを決めていた。
「言っておこう。二度と、この鏡を探すでないぞ。夢にふけってはならん。生きることが大事じゃ。」
その言葉に、ハリーは何も返すことはせず、ただうつ向くだけだった。
ドラゴンの卵
ホグワーツを覆う雪も溶けたころ、ニコラス・フラメルの正体がようやく判明した。
ニコラス・フラメルは、かつてダンブルドアとともに賢者の石を制作した錬金術師だったのだ。
仕掛け扉の先にあるものが、賢者の石だと知った3人は、早々にハグリッドのもとへ。
しかし、そこである大きな問題が発生したのである。
なんと、ハグリッドが許可なく飼育してはならないドラゴンの卵をふ化させていたのである。
そして運悪く、その現場をドラコに見られてしまった。
ドラコはすぐに3人が夜中にうろついていることを告げ口したのだが、生徒に平等であるマクゴナガルは、ハリーたちだけではなく、ドラコを含めた4人に1人あたり50点の減点と罰則を言い渡したのである。
そして罰則は、ハグリッドとともに暗黒の森を見回ることだった。
ちなみに、ハグリッドがふ化させたドラゴンは、すでに回収されて、ロンの兄が務めるルーマニアに送られていた。
4人はハグリッドに連れられ、暗黒の森に足を踏み入れる。
最近保護動物であるユニコーンが襲われているらしく、ハグリッドは定期的に巡回してケガをしたユニコーンを探しているそうなのだ。
「ロンとハーマイオニーは俺と。ハリーはマルフォイと行け。」
ハグリッドにそう言われたハリーは、しぶしぶ了承し、老犬ファングと半泣き状態のドラコを連れて森の中へ。
そして、森の奥でユニコーンを襲う何かと遭遇したのである。
悲鳴を上げたドラコとファングは、一目散に逃げ出す。
取り残されたハリーは、その何かと対峙するが、間一髪のところをケンタウロスに救出された。
「ハリー、森を出なさい。森の住人はみな、君を知っている。夜の森は危険だ、特に君はね。」
星を読み、未来を予知する能力に長けたケンタウロスには、あの化け物の正体がわかっているようだ。
「ユニコーンを殺すのは大罪。その血を飲めば、死の一歩手前でも命は蘇る。」
しかし、その代償は大きい。
穢れなき生き物を殺し、その血が唇に触れたとき、その者は生きながら死ぬ呪いをかけられる。
けれども、あの化け物はそれを承知してユニコーンを殺めているのだ。
「じゃさっき…血を飲んでいたのはヴォルデモート?」
「学校が守ってるものを知ってるかい?」
「賢者の石。」
罠
グリフィンドールの寮に戻ったハリーは、さっそくロンとハーマイオニーにヴォルデモートがユニコーンを襲っていること、スネイプを使って賢者の石を狙ってるという推理を話す。
ロンは、ヴォルデモートが復活すれば、ハリーを殺しに来ると恐れおののくが、ハーマイオニーは心配していなかった。
「校長先生がいれば安心よ。あなたに指一本触れさせないわ。」
しかし、事態は悪いほうへ進んでいく。
期末試験終わりから、ハリーは傷がズキズキ痛んで顔をしかめていた。
それは、ハリーに危険を知らせる前兆である。
「そうか…わかったぞ!!」
ハリーは、急いでハグリッドのもとへ向かい、誰からドラゴンの卵をもらったか尋ねることに。
ドラゴンの卵は非常に希少価値が高いものであり、都合よくパブでもらえるような代物ではないからだ。
しかし、ハグリッドに尋ねてみても、相手はフードを被っていたので顔は見ていないらしい。
「どんな話をしたの?」
「どんなペットを飼っているか、とか…。」
その時、ハグリッドはうっかりフラッフィーのことも、相手に話してしまっていた。
フラッフィーは音楽が大好きで、聴くと眠ってしまうため、コツを知っていれば簡単に攻略できるのだ。
ハリーたちは、慌ててマクゴナガルのもとへ。
すぐにダンブルドアに賢者の石が危険だと知らせたかったが、肝心の校長は留守。
マクゴナガルに報告しても、彼女は「安全です。」と告げて、ハリーたちの話をまったく取り合わなかった。
ダンブルドアの不在や、フラッフィーの攻略法が漏れていることから、ハリーたちは今夜敵が動き出すと考え、夜中に寮を抜け出すことに。
その途中、寮の入り口でネビルがこれ以上点数を引かれるような事態を避けるために、3人を待っていたのだが、ハーマイオニーによって石のように動けなくされてしまう。
その後、3人は問題の部屋へ。
フラッフィーはすでに自動で演奏するハープによって眠らされており、ハリーたちはそのまま隠し扉の奥へ。
その先で待っていたのは、教師たちが用意した様々な罠だった。
まず最初は【悪魔の罠】。
これはハーマイオニーが、「もがかなければ脱出できる」「光に弱い」など、攻略法を知っていたので簡単に抜けることができた。
次の部屋に用意されていたのは、羽の生えた鍵が無数に飛ぶ部屋。
そこには箒が一つだけ用意されており、次の扉につながる正しい鍵を捕まえなければならなかった。
これは、シーカーであるハリーによって攻略。
その次の罠は、実物大のチェス盤を使った魔法チェスによる対決。
ここは魔法チェスが得意なロンが活躍したのだが、戦略上、彼が乗ったナイトの駒が攻撃された衝撃で気を失ってしまう。
ハリーはハーマイオニーに、ダンブルドアへフクロウ便を送ることと、気を失ったロンを任せることに。
「僕は先に進まなきゃ。」
「あなたならやれるわ。偉大な魔法使いだもの。」
自分の背中を押すハーマイオニーに、「君こそ。」とハリーは返す。
「私は【ガリ勉】優等生。もっと大切なのは、友情と、そして勇気よ。」
ハリーは、その言葉に小さく頷き、奥へ向かって歩き出す。
ハーマイオニーは、その背中を少しだけ笑みを浮かべて見送った。
ヴォルデモートと賢者の石
最奥の部屋でハリーを待っていたのは、ハリーの予想した人物とは全く異なる人だった。
クィリナス・クィレル、彼こそ、ヴォルデモートの手先となり、ハリーを害し、賢者の石を狙っていた真犯人だった。
彼はずっとオドオドとした教師を演じており、賢者の石を狙う悪者が【セブルス・スネイプ】であるという風に思わせる演技をしていたのである。
ハリーの箒に呪いをかけていたのもクィレルで、スネイプはその呪いを跳ね返すために反対呪文を唱えていただけなのだ。
スネイプがフラッフィーに噛みつかれたのも、クィレルから賢者の石を守るために先回りしたからだ。
「さて…この鏡に何がうつる。」
クィレルはハリーに背を向け、鏡の中を覗き込む。
それはクリスマス休暇にハリーをとりこにした、【みぞの鏡】だった。
「賢者の石を持っている私…だが石はどこだ!!」
クィレルが苛立たし気に声を荒げた瞬間、どこからともなく『その子を使え。』と声が聞こえる。
「こっちへ来い!ポッター!!」
名を呼ばれたハリーは、恐る恐るクィレルの横に立ち、鏡を覗き込む。
再びみた鏡には、ハリーだけが写っていて、鏡の中のハリーはニッと笑ったあと、真っ赤な石を自分のポケットに入れた。
ポケットの中に現れた賢者の石に気づかれぬよう、ハリーはクィレルに嘘を言うが、すぐに見破られてしまう。
『わしがじかに話そう。』
「そんなお力が…。」
『そのぐらいの力はある。』
どこからともなく聞こえる声に導かれ、クィレルは頭に巻いたターバンを外す。
すると、その下にヴォルデモートの顔が現れたのだ。
ハリーに退けられたあと、彼は人の体に寄生しながら生きながらえていた。
彼は肉体を取り戻すため、賢者の石を求めてホグワーツへ忍び込んだのだ。
「それは都合よく、お前のポケットに入っておる。」
賢者の石のありかを見破られたハリーは、一目散に出口へ向かって走っていく。
しかし、クィレルは魔法で出入口に火を放ち、ハリーの逃げ場を完全に塞いだ。
『愚かな真似はよせ!苦しみ悶えて死ぬか、このわしと手を組んで生きるか。』
「嫌だ!!」
ハリーの拒絶に、ヴォルデモートが声を上げて笑う。
『勇敢だな。両親もそうだった。』
ヴォルデモートは、ハリーに「わしと手を組めば、二人を呼び戻せる」と誘惑。
ハリーは賢者の石をポケットから取り出したあと、【みぞの鏡】にうつる両親を見つめる。
『わしとお前なら、思うさま、偉大なことができよう。』
しかし、ハリーはそんな誘惑に惑わされなかった。
その証拠に、【みぞの鏡】から両親の姿が消える。
「嘘つき!!」
『殺せ!!』
ヴォルデモートの声を合図に、クィレルが賢者の石を奪おうとハリーに襲い掛かる。
だが、なぜかハリーが触れたところから、クィレルの体がボロボロと崩れ始めた。
クィレルは絶叫し、そのまま砂のように崩れ落ちた。
彼に寄生していたヴォルデモートも、黒い霞のような姿となり、ハリーに体当たりをしたあと、どこかへ消え去っていったのである。
その衝撃によって倒れたハリーの手には、賢者の石がキラキラと輝いていた。
真実
ハリーが次に目を覚ましたのは、医務室だった。
ベッドの周りにはたくさんのお見舞いが届いており、そばにはダンブルドアが立っていた。
彼が行ったことは、すでに学校中に広まっており、ダンブルドア曰く「ハリーとクィレルの間にあったことは極秘、ということを学校中が知っておる。」らしい。
ダンブルドアは、数日間眠っていたハリーにあの後のことを説明。
ロンとハーマイオニーは、特に大きなケガもなく無事。
賢者の石は、ニコラス・フラメルと相談したうえで破壊したそうだ。
【みぞの鏡】を見たハリーの手に、賢者の石が渡った理由は、ダンブルドアがそう仕組んだからだ。
賢者の石を使おうとする人間ではなく、見つけたいけれど使おうとしない人間が鏡をのぞいた時、石が出現するように魔法をかけていたらしい。
しかし、賢者の石を破壊したとしても、ヴォルデモートの復活を完全に阻止したことにならないそうだ。
彼が復活する方法はいくつか残されており、今後も何かしら仕掛けてくるだろう、とダンブルドアは予測していた。
そんなダンブルドアにも、わからないことがあった。
「ハリー、クィレルはなぜ、君に手を出さなんだ?」
その質問に、ハリーは首を横に振る。
なぜそうなったのか、ハリー自身にもわからないからだ。
「ハリー、君のお母さんは、我が身を犠牲に君を守り、君にしるしを与えた。」
ハリーはしるしと聞いて、すぐに額の傷を触るが、ダンブルドアはすぐにそれを否定。
「目に見えないしるしじゃ。君の肌に生きておる。」
「どんなしるし?」
「愛じゃ、ハリー。愛じゃよ。」
最高の友達
医務室から出たハリーは、外で待っていたロンとハーマイオニーに声をかける。
「大丈夫?」
「ああ、君は?」
「大丈夫。ハーマイオニー、君は?」
「最高よ。」
エピローグ
学年末を迎え、大広間はスリザリンカラー一色だった。
しかし、最優秀の寮を表彰する直前、ダンブルドアが最近起こった出来事に対して加点したのである。
冷静に頭を使い、友達を危機から救ったハーマイオニーに50点。
近代まれにみる、チェスの名試合をしたロンに50点。
その強靭な意思と卓越した勇気をたたえ、ハリーに60点。
「最後に、敵に立ち向かうには勇気が必要じゃが、友に立ち向かうほうが大変じゃ。その勇気に10点を、ネビル・ロングボトムに。」
合計170点の加点により、グリフィンドールの点数は一気に上がり、大広間の飾り付けがグリフィンドールカラーに染まる。
そして、ついにハリーがダーズリー家に戻る日がやってきた。
ホグワーツ特急に乗る直前、ハリーは見送りに来たハグリッドのもとへ。
「さよならは聞けんのかと。」
そう言いながら、ハグリッドは大きなポケットからあるものを取り出す。
「お前さんに。」
「ありがとう。」
ハグリッドは飛びついてきたハリーを、やさしくぎゅっと抱きしめる。
「そうだ、お前の馬鹿従兄弟のダドリーだが、いじわるされたら【豚のしっぽに似合う耳をつけてやる】と。」
「学校の外で、魔法は使っちゃいけないんだよ。」
「分っとる。だが、ダドリーは知らん。」
その言葉に、ハリーは笑みを浮かべたあと、ロンとハーマイオニーが待つホグワーツ特急へ。
「うちに帰るの、変な感じ。」
「僕のうちは…別にある。」
こうして、ハリーにとって最高の1年は幕を閉じたのだ。
感想
ハリーポッターシリーズは、きっと知らない人のほうが少ないのではないでしょうか?
最近では、このホグワーツ魔法魔術学校で使用されている教科書「幻の動物とその生息地」の著者が主人公となった「ファンタスティック・ビースト」シリーズも公開されたので、再びハリポタブームが到来しております。
当時、この「ハリー・ポッターと賢者の石」が映画化されたとき、日本では第3作目の「アズカバンの囚人」までが書籍化されていました。
私は書籍版からこの作品にのめり込み、シリーズ全作品を読破しております。
今回、改めてあらすじを書く上で、書籍版と映画版を視聴したのですが、当時は原作を忠実に再現していると感じたのに、今見るといろいろ省略していたんだなと感じました。
ハリーのライバルでもあるドラコ・マルフォイは、特に【賢者の石】で見せ場を奪われたようですね。
原作では、ロンよりも先にハリーに会っているのに(笑)
また、シリーズを最後まで読んでいると、重要なフラグがいろいろ用意されていたことに気が付きました。
特にスネイプ先生役のアラン・リックマンは、原作者からスネイプ先生の真実をすべて聞かされて撮影に臨んでいるので、最終巻を読んだうえで視聴すると、もともと大好きだったスネイプ先生がさらに大好きになりました。
今でこそ人気もののスネイプ先生ですが、当時は本当に人気がなく、最初から「スネイプ先生大好き!!」を公言していた私はよく変人扱いをされていたのも、いい思い出です。
さらに、ダンブルドア校長先生についても、見る目が変わりましたね。
初めて視聴したときは、「なんていい先生だ!」と純粋な目で見ていましたけれど、今は「う~ん。」という気持ちでいっぱいになってしまいます。
もちろん、人によってダンブルドア校長に対する印象は異なると思いますが、私はダンブルドア校長は「いい人じゃない。」と思っているので、今回改めて視聴している最中ももやもやした気持ちがずっと続いていましたね。
しかし、学生時代に呼んだ作品を、今なお色あせることなく楽しめるというのは、すごいことだと思いませんか?
ファンタスティック・ビーストが公開されたことにより、今後もますますハリーポッターシリーズが注目されるでしょうから、見たことがある人も、まだ見たことがない人もぜひ、どんな立場に立っても、ワクワクドキドキ、ハラハラできる素晴らしい作品ですので、ハリーポッターシリーズを視聴してみてください。
『ハリー・ポッターと賢者の石』配信先一覧 | |||
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小学生と幼児のママ。常に娘のコスネタを模索中。育児のストレスはアニメ鑑賞と妄想でリカバリー中。今のブームは型月&刀剣乱舞。
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