タイトル:ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!
公開:2007年
監督:エドガー・ライト
出演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジム・ブロードベント、ディモシー・ダルトン、パディ・コンシダイン、ビル・ナイほか
閲覧したVOD:Amazonプライム・ビデオ(2018年8月23日時点では視聴可)
2017年に『ベイビー・ドライバー』を監督して大ヒットに導いたのが記憶に新しいエドガー・ライトと、イギリスが誇るコメディ・ペアのサイモン・ペッグとニック・フロスト主演の、とんでもなく面白いバディ・コメディ・ムービー。
ちなみに、サイモン・ペッグは主演だけじゃなく、しっかり脚本も担当してますから、サイモン・ペッグを俳優としてではなく、脚本家として評価されてる方もご安心を。
こちらの作品、2007年にアメリカで公開となったのに、その当時の日本では劇場公開されるような情報は皆無…。
そこで、有志たちがなんと劇場公開を求める会を発足させて、2000人以上の署名を集め、日本での劇場公開を実現させたという逸話を持つ作品なのです!
映画好きにはたまらん小ネタやオマージュも満載なので、見逃さずにしっかり見てください♪
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あらすじ
エリート巡査のニコラスは田舎に異動させられる…
ロンドン生まれのニコラス・エンジェル巡査は、カンタベリー大学で2つの科目を首席で卒業。
警察学校も優秀な成績で卒業し、スポーツも万能な、首都警察勤務の超エリート警官だ。
その業績は表彰され、検挙率も署内ダントツの1位を誇る。
怪我を引き合いに出され、上司から内勤への異動を示唆されるが、外回りの希望を告げると、すぐに巡査部長への昇進を約束された。
だが…勤務地はここロンドンではなく、超田舎町のサンドフォードだ。
その待遇について話し合いたいと、さらに上司となる警部補とも面談することになるが、警部補もまったく同じことを提案してくる。
さらに上の警部に相談したいというと、警部はすぐに現れた。
「正直言って、君が目障りなんだ。君が頑張るほど我々が無能に見えるんでね…。このまま活躍されたら君はヒーローだ。だが、それはできん」と単刀直入に異動の理由をニコラスに告げる警部。
「そんな無茶は通らない。自分には仲間がいて彼らが黙っちゃいない…」と部屋を出ると、そこには同僚たちが「ニコラス!元気で!」と書いた垂れ幕を飾って、ニコラスの異動を祝う準備が整っていた…。
ニコラスは婚約していたが別れてしまった彼女のジャニーンのもとに、彼女が犯罪現場で鑑識作業をしているにもかかわらず、異動になったことを告げに来た(ジャニーンも警察勤務で、鑑識メンバーとして働いている)。
別れた理由は、どうやらニコラスがジャニーンそっちのけで仕事に夢中だったこと。
さらに、別れを切り出したのはニコラスの方だったのだ。
すでにジャニーンは、鑑識仲間の男と交際をはじめていると言われ、少なからずショックを受けたはずのニコラスだが、そんなときでも気になるのは捜査の方で、犯罪現場で窓が内側から割られていることを指摘。
ジャニーンはその指摘に感謝するどころか「ほらまた…」といううんざりした表情を見せる…。
いくつもの電車やタクシーを乗り継ぎ、携帯電話の電波も圏外のド田舎、サンドフォードのホテルに到着したニコラス。
ホテルにチェックインすると、すぐに外出して街を歩き、近くのバーに入ると、クランベリージュースを頼む(基本的に酒は飲まない)。
バーの夫婦は、ニコラスが新しく赴任してきた警官だとすぐに気づき、フレンドリーに話しかける。
クランベリージュースを飲みながら周囲を見渡すと、あたりには未成年とおぼしき少年たちが多数いて、しかも飲酒をしているようだ…!
黙っていられないニコラスは1人1人に誕生日を聞いて回り、怪しいものは店から全部出した。
バーの夫婦は1~2歳ぐらい公共の利益のためにもいいじゃないか…と言うが、ニコラスは「法は法だ」と取り合わない。
おかげで、店はガラガラになってしまうのだが、そこでニコラスは悠々と時間を楽しむのだった。
ニコラスが店を出ると、ずっとカウンターでビールを飲み続けていた男が車に乗り、なんと勢いよくバックしてきてニコラスに衝突しかけることに!
ニコラスは男を飲酒運転の現行犯として警察署にしょっぴくことにし、他にも道中で酔っ払っていた未成年者たちを複数引き連れて警察にやってきた。
だが、署にいる警官は取り調べをするつもりは全くなさそうだ…。
ニコラスは仕方なく、すべての取り調べを一手に引き受けるのだった。
田舎町の警察事態も体たらく!
翌朝。
ニコラスが町をランニングしていると、住民1人1人がニコラスににこやかに挨拶をしてくる。
さらに、同じようにランニングをしていたスーパーの経営者スキナーは、他の誰よりもフレンドリーにニコラスに挨拶をしてきた。
警察署に出勤したニコラスが飲酒運転をしていた男がいる留置場に行くと、そこには男の姿がない!
逃げられた…と思ったら、飲酒運転をしていた男が、警察の制服を着てすぐそこに立っていた。
実はその男、サンドフォード警察署長の息子ダニーだったのだ…。
警部補は「統計的にこの村は国内で最も治安がいい。だがそれには注意深い対応が必要だ。若者をパブに入れるのも理由がある」と説明。
ちなみに、ニコラスの前任者はノイローゼになってしまったのだという…。
とにかくのんびりしており、誰もまともに仕事をしていなさそうな雰囲気が全館に漂う署内だが、1つの部屋だけが違っていた。
それは、近隣監視同盟の連絡係が常駐する、最新システムを備えた指令センターで町中を監視できる場所だった。
そこにいた担当者の老人は、昨晩のニコラスの活躍をすべて見ており、さらに土曜日に町に出現したという『生きた彫像』(パントマイムで彫像のように動かずその場に立ち続けるパフォーマー)のことを気にかけている。
署長に厳しく取り締まるようにと、老人はその監視カメラの映像をプリントアウトしたものを渡すが…署長は同盟にもいい顔をするのが大事なんだけどね、とその資料はポイと捨てた。
署員全員でランチに行くが、ダニー以外のみんながニコラスのことをバカにしているようだ。
ただ、ダニーだけがニコラスの活躍に憧れているようで、ニコラスが経験したことを根ほり葉ほり聞いてくる。
それからは、ダニーとペアを組んでパトロールや取り締まりの日々が始まった…。
ある日、ニコラスは週に1度は開かれていると言う近隣監視同盟の会議に参加する。
そこには小学校の校長や農場主、牧師、外科医から、フレンドリーにニコラスに声をかけてきたスーパーの経営者スキナーもいた。
だが、その会議の中心となったのは、みんなが「害虫」と評するあの『生きた彫像』のこととなり、ニコラスは「ありえない…」というような表情を浮かべるのだった…。
ニコラス、事件です!
ある日、通報で城から逃げたという白鳥の捕獲に行くが、なかなかうまく捕まえられず取り逃がしてしまうニコラスたち。
町に戻ってパトロールをしていて、スキナーのスーパーにも立ち寄ることにするのだが、スキナーのオフィスに呼ばれて入った際に、監視カメラで男が万引きをしているところを目撃し、ニコラスは男のところに急行。
スーパーから逃げる男とニコラスの追跡劇が始まる。
その様子を見ている近隣監視同盟のメンバーたちは、互いに無線で連絡を取り合っていた。
男には路地に逃げ込まれてしまい、見失ったかのように見えたが、民家の柵を乗り越えるなどして追いつき、最終的に取り押さえることができた。
しかし、スーパーのスキナーが警察を訪れ、「犯罪率を上げても仕方がないだろ」と万引き犯を起訴しないと言う。
ニコラスは署長に抗議をするが「私にまかせろ。誰もが必ず報いを受けるから…」と言うだけで終わった。
スピード違反の取り締まりをしていても、ほとんどの車が制限速度を守っているため、取り締まりもほとんど意味がないと思われたそのとき、1台の車が制限速度を超えて走っていった。
違反したのはマーティン・ブロワーで、『ロミオとジュリエット』の演劇のリハのために急いでいたのだと言い訳をするが、ニコラスは容赦なく違反チケットを切る。
署に戻ると、マーティンから演劇の招待チケットが届いており、ニコラスは違反者からの物品は受け取れないと破り捨てる。
だが結局、直後に署長からチケットを渡され、警察代表としてダニーと一緒に演劇を見てくるようにと依頼されるのだった。
演劇はあまりにもひどいお粗末な内容で、ニコラスは度肝を抜かれる…。
ニコラスが演劇のあとバーで飲んでいると、そこにスキナーがやってきて、また住民たちをあれこれと紹介して回ってくれる。
そこには、ロミオとジュリエットを演じたカップルも「招待を受けてくれて光栄です」とやってきた。
ニコラスは2人が夫婦だと勘違いしていたのだが、そうではなく、ジュリエットを演じたイブは役所で働いていて情報通なのだとスキナーが説明する。
「頭をかち割ったら、いろんな極秘情報があふれてくる…」と意味ありげな言葉と笑みを残すスキナー…。
バーを出て2人は帰るが、その会場の外にはオノを持っているような怪しい人影が…。
主演の2人は祝杯をあげているところを、フードをかぶってオノを持った謎の人物に襲われてしまうのだった…。
本当の事件の幕開け!
路上にマーティンとイブの切り落とされた首が無残に転がっている…。
オープンカーを運転していて、標識にぶつかったところ首がはねられてしまったように見えるが…。
現場を確保し、交通整理を行っていると、スキナーが通りがかった。
「かわいそうなロミオとジュリエットだ…」と、もはや被害者を知っているスキナーに「なぜ犠牲者をご存じなので?」と尋ねると、「こういう知らせはあっという間に広まるんだよ…」と言って走り去った。
ニコラスは2人の死が事故ではなく事件の可能性もあると主張するが、仲間の刑事連中にはよそ者が模範の村をかき回すのが気に食わないらしい…。
「事務弁護士だったマーティンのクライアントは全住民だし、電話帳の初めから当たっていくか? イブとの不倫の証拠はあるのか?」とニコラスをバカにする刑事コンビに、ダニーが黙ってはいなかった。
昨晩のニコラスの弁をそのまま借りて、ダニーは「昨夜の芝居はひどかったが、キスだけ真に迫ってた!」と声を荒げた。
さらに、ニコラスは現場にスリップ痕がなかったことも不審な点として挙げるのだが、農場で他人の生垣を刈ったというトラブルを収拾させようと、署長はニコラスとダニーを現場に向かわせるのだった…。
生垣を切った男性は老人で、あまりにも強いなまりがあってニコラスには言葉が聞き取れないレベルだ…。
ふと彼が持つショットガンが気になり「その銃は許可を取ってるの?」と聞くと「これはね」と答えるので、「『これは』ってどういうこと?」と聞き返したところ、納屋に案内される。
その納屋にはとんでもない数の銃器がひしめいているのだった…!
機雷を含め、納屋にある武器はすべて拾ったという老人。
「こんなのただの鉄くずだぁ」とショットガンで機雷を叩くと、中で何かが動く音がし、カチカチカチ…と時計が動くような音がし始めたではないか…!
慌てて外へみんなで走り出したが…、機雷の起爆装置は不具合を起こしているのか爆発はしなかった。
納屋にあった武器はすべて押収し、署内でカラッポだった証拠保管室に運び込まれたのだった。
ニコラスとダニー、ついにバディに!
ニコラスとダニーは2人でパブに行き、祝杯をあげることにする。
ついにニコラスもジュースではなく、ビールを頼むことにしたため、ダニーは大喜びだ。
そのときニコラスは署の刑事コンビがいることに気づき、マーティンとイブの捜査の進み具合を聞きにいく。
鑑識では何も出ず、医者の検死からも事件性はなし、マーティンの奥さんにもアリバイはあるということから、事故だと刑事たちは思っており、担当ではないニコラスが首を突っ込んでくるのを明らかに迷惑がっている様子。
ニコラスとダニーは、プライベートの話をしてついに打ち解けると2人でガンガン飲み始めるのだった!
パブにはいつの間にかスキナーも来ていた。
「彼らの死を祝して!」と乾杯しようとするスキナーに、またさらに不信感を持つニコラス…。
スキナーと一緒に飲んでいたマーチャントはひどく酔っ払った様子で、それを見たスキナーは「明日には死んでるかも…」とつぶやく。
ぐでんぐでんに酔っぱらって一人で帰ることができなさそうなマーチャントを、ニコラスとダニーが家まで送り届ける。
自宅に入ったところを見て、2人はそこを去るのだが…、マーチャントの家の敷地内にはまたあの不審な人影が…。
ニコラスとダニーは、ダニーの自宅で飲みなおすことにし、ニコラス自身がよい刑事になりたいという一心で、記念日や誕生日、父親の葬式まですっぽかすようになったことで、彼女と別れてしまうことになった…というようなプライベートの話をする。
ダニーに「君はいい刑事だよ。でも切り替えを覚えなきゃ、頭が固すぎるよ」と言われたニコラスは「どうしたらいいか方法がわからないんだ…」と打ち明けると、ダニーが「教えてやるよ」とうなずくのだった。
ダニーの自宅の別室には、ビッシリと映画のDVDがコレクションされており、刑事映画好きのダニーが「『ハートブルー』か『バッド・ボーイズ』か、どっちがいい?」とニコラスに尋ねる。
「どっちが俺向き?」と聞き返すと「いや、どっちも観るんだ。どっちを先に観たい?ってことだよ!」とダニー…。
そのころ、2人が送り届けた酔っ払いのマーチャントは、殺人鬼に殺されてしまっており、さらに犯人はそれが事故に見えるようにと、ガスコンロに細工をしたことで、マーチャントの自宅は大爆発を起こすのだった…!
第二、第三の大事故(というか殺人)
「夜に料理をしてガスを消し忘れたんだ」というのが、マーチャント宅の爆発事故原因と思われていた。
現場のそばを、怪しげな笑みを浮かべてスキナーが車で通り過ぎて行く…。
ニコラスは死んだ3人が知り合いだったこと(ほかの刑事はこの町はみんなが知り合いだと言うが…)から、最新の監視システムを誇る近隣監視同盟のセンターに行ってみるが、爆発のあった邸宅のほとんどが死角となっていて、有力な情報は得られない。
だが、逃げたままとなっている白鳥はしっかりと映っていた…。
署長に言われて教会のバザーのパトロールにやってきたニコラス。
ダニーに誘われ、屋台の射的に挑戦することになるニコラスは、1発も外すことなく一番難しい標的をすべて倒した。
その直後、ダニーは店主の脚を間違って銃で撃ってしまう…。
そんなとき、2人のところに新聞記者のティムが駆け寄ってきて、爆発で死んだ男のことで話があるから、15時に教会の塔の前で…と言い残してすぐに去っていった。
だが、ニコラスは抽選会のステージに駆り出されており15時が間近になっても教会には行けない…。
すると、教会の屋上には、またあの怪しい黒いフードの人影が…。
15時の鐘が鳴り、あわててニコラスは塔の下へと向かうが、トムの頭に教会の塔の先端が落ちてきて、ニコラスの目の前でトムは無残な死を遂げた。
これも殺人だと主張するニコラスの声に、ついに耳を傾けたのは署長だ。
部下たちにテキパキと指示し、捜査を進めさせるのだった。
だが、仕事をしなければいけない羽目になった刑事たちからは非難ばかり。
しかも、誰もがまともな捜査をしようとはしない…。
さらに、唯一の味方だったダニーからも「切り替え下手!」と言われ、けんか別れになってしまった…。
ニコラスは、自分でトムの記事を読み漁り、キーワードを拾い出そうと独自で捜査を開始する。
手がかりをつかんだらしいニコラスは「2人でかかればきっと解決できる」と、「相棒」と呼んでダニーの機嫌を直すと、2人で動くことになった!
ニコラスのところにはロンドンから電話がかかってきたが、それを無視して2人は外へ出る。
ニコラスとダニー、2人の捜査はどこへ向かう?
死んだ4人の職業やプロフィールを洗い出し、関連性を見つけていくニコラスとダニー。
新聞記者のトニーは重要情報をつかんでいたらしいし、成金だったマーチャントは土地開発に手を出してとある計画を進めていて、公私でつきあっていたのはロミオ役を務めた事務弁護士のブロワーだ。
そのブロワーと浮気していたのが役所に勤めていたイブで、彼女の部署が豪邸の建設許可を出していたのだ…。
が、「やっぱり事故かも!」と言うダニーにがっかりするニコラス。
しかも、その日はダニーの誕生日だったらしく、サプライズでのお祝いが始まった。
だが、ニコラスだけがそれを知らず、慌ててパトカーに乗って花屋へと向かう。
ダニーに自分が育てているのと一緒の観葉植物を贈ろうと買いに来たのだ。
花屋には「売り尽くしセール」と書かれており、女主人のレズリーは引っ越しする予定らしい…。
引っ越しの理由を聞くと「ここだけの話よ。マーチャントがこの土地を買いたがってて、弁護士のブロワーを雇ったの。ここを売って引っ越そうと思ってね。実はブロワーは道路建設の場所を知っていたのよ。あの新聞記者がそのことを知って教えてくれたの。私の土地は提示額の10倍の価値があるって」
それを聞いたニコラスの顔は顔面蒼白となる。
「みな亡くなったから自分で売ることにしたの。亡くなった3人が交渉してた業者にね。大型の商業施設を建てるみたいよ」
これは重要な情報だと、パトカーに何かをニコラスが取りに行ったそのとき、黒いフードをかぶった人間が店内にいるレズリーの首に植木バサミを突き立てた!
殺人犯である黒いフードの人間を追い、ニコラスは必死で追いかけるが、取り逃してしまうのだった…。
レズリーの首に大きいハサミが突き立てられていても、警察署のみんなはそれが殺人だとは思っておらず、事故だと考えている…。
「よくあることよ。なぜ殺人なんだ…?」とみんなが笑い、「現場にいたお前が犯人かもな…?」と、殺人だというのなら現場にいたニコラスが怪しいと言い出す始末。
署長までが、この町では20年間のうちに1度も殺人など起こっていないのだから考え直せと言うが、「犯人は分かっています」とニコラスはスキナーに会いに行くのだった。
レズリーほか3人の殺人容疑で逮捕すると告げられたスキナーは、なぜ自分が殺人をしなければならないのか教えてくれ、と言われニコラスはその理由を説明する。
家からも職場からも離れたマーティンとイブの事故現場に現れたし、イブの頭には情報が詰まっていると発言したのも道路の建設計画のことを知りたかったからだし、マーティンの土地買い占めのことも知っていて、大型商業施設への危機感もあり、自分を裏切るような邪魔者は事故に見せかけて殺していった…というのがニコラスの推理だ。
だが、スキナーは「証拠がなければ何を言ってもムダだ」と言う。
ニコラスは、レズリーのところから逃げた際、ガラスで負った傷があるはずだとスキナーの脛をみようとズボンのすそを両足ともめくるが、そこには傷がなかった…。
ニコラスはスーパーに残り、監視カメラの映像をすべて洗い出すことにする。
帰り際、スキナーはニコラスにいとこのレズリーの土地はメモリアル・ガーデンにする予定だ、と告げて部屋を出ていった。
次の殺しの標的は…なんとニコラス!
町のパトロールという通常業務に戻ったニコラスとダニー。
いつもアイスや新聞を買う売店で、女主人が言った言葉にピンとくる。
「犯人たちは見つかった?」
署に戻って署長に犯人は複数だと主張するが、「前任のポップウェルと一緒だ!とにかく今日は休んで、また明日から捜査しよう」となだめられると、ニコラスはおとなしくホテルに戻ることにする。
だが、ニコラスの部屋にはすでに侵入者がいたのだ!
黒いフードに身を包んだ男に襲われるニコラスはなんとか抵抗し、そのフードを脱がせると、犯人はスキナーのスーパーの従業員の1人のマイケルだった…!
射的で獲得したサルの人形を投げつけると、それが気に入ったらしく襲うことをやめたマイケルの頭に観葉植物の植木鉢を投げつけ気絶させた。
そこに、無線でマイケルを呼ぶ声が…!
「エンジェル(ニコラス)は片付いたか?」という問いに、マイケルの声音を真似して「は~い」と答えていき、自分が死んだことに見せかけることに成功したニコラス。
「お城へ帰ってこい」というマイケルへの指示を聞いたニコラスは、スキナーを追って城へと向かうのだった…。
町に隠された秘密とは…!?
城の敷地では、黒いフードをかぶった人間たちが無線を自分たちの目の前に置いた状態で円陣を組んで、何やらあやしい呪文のようなものを唱えていた…。
殺人犯は複数…しかも近隣監視同盟のメンバーたちだったのだ!
エンジェル刑事(ニコラス)が片付いたことが報告される。
予定では、ジョイスが風呂場で滑って首の骨を折ったニコラスを発見するという筋書きにしているというらしい。
「これでやっと不良少年たちの根絶に専念できる…」と安どの声を上げるメンバーたち。
そこにニコラスがやってきて、全員を殺人共謀の容疑で逮捕すると宣言する。
だが、ニコラスの推理とは違って、今までの殺人の理由は驚くべきものだった…!
ブロワーを殺したのは大根役者だったからで、イブを殺した理由は笑い方がムカつくから、さらにマーチャントに至っては豪邸が悪趣味だったから、ティムは地元新聞には低能過ぎる、レズリーにいたっては引っ越しをするから(才能を手放すわけにはいかない)…という勝手な理由ばかりだった…。
だが、彼らはそれを「公共の利益」だと主張していたのだ。
そして、そこに署長もやってきて、彼も主要なメンバーであることが発覚する…!
かつてビレッジ・オブ・ザ・イヤーのために奔走していた彼の妻が、1位の座を逃して自殺したことから、ビレッジ・オブ・ザ・イヤーで1位を獲るために「公共の利益」を守ろうと活動してきたのがこの結果なのだということが分かった。
ニコラスは全員を連行しようとするが、当然数で勝る近隣監視同盟が現時点では優勢だ。
「悪いが一緒に来てもらうのは、君のほうだ」とニコラスの前に全員が立ちはだかる。
しかも、そこにはダニーとマイケルまで現れた…!
とっさにダニーの首にナイフを突きつけ、みんなを下がらせて逃げるニコラス。
逃げる途中、足場が悪かったのか、ニコラスは地下の空間に落ちてしまった。
そこには複雑な通路や部屋があり、複数の白骨化した死体や、ニコラスの前任者、ニコラスが警察にしょっぴいた素行の悪かった少年たち、そして大道芸人などの死体がゴロゴロ転がっていた。
地上に上がったときに目の前に現れたダニーが、ニコラスの左胸をナイフで刺し、ニコラスはその場にくずおれる…。
ダニーはトランクにニコラスを押し込み、離れた場所まで運んだのち、ニコラスを外へ出す。
ナイフはオモチャで、血のように見えたのはケチャップ。
ダニーはニコラスを救ったのだ!
だが、ダニーは近隣監視同盟が殺人グループではなく、悪い行いを正す特別なクラブだと信じている。
署長がリーダーだと知った以上逮捕すべきだとダニーを説得しようとするが、さすがに自分の父親を差し出すことはできないとダニーは苦悩する。
首都警察の人間を連れてくるとニコラスが言っても、「きっともみ消されるよ」と言うダニーに、「俺たちは相棒だろ!」とニコラスは訴えるが、「無理だよ。ここはサンドフォードだ」と答えるダニー…。
ダニーはニコラスに車のキーを渡すと、ニコラスはロンドンまでの127マイル以上の道のりをひた走るのだった…。
だが、途中のサービスエリアで、ニコラスは思い直した。
「これは、俺一人でやる…」
サンドフォードでの決戦
翌朝、ニコラスは1人、サンドフォードへ車で戻ってきた。
町の入り口で、見張り役のメンバーの親子を縛り上げ、「住人全員を逮捕するつもりなのか?」と言われたニコラスは「ちょっと違うな…」とつぶやいた…。
ニコラスは警察署へ入ると、先日押収した武器をありったけ携える(機雷は残した)。
「エンジェル、ロンドンから電話があったぞ」とカウンターの警察官に呼び止められるが、武装して無言でふりむいたニコラスのすごみに「あとにしよう」と言わざるをえなかった。
ニコラスは白馬に乗って町へと繰り出す。
サービスエリアで買い込んだ物資を、途中の交差点で学校の生徒グループに「いいことするか?」と配るニコラス。
同盟の無線には「エンジェル刑事が戻ったわ。馬がステキよ」と知らせが入る。
町全体が臨戦態勢となる中で、ニコラスは悠々と馬でやってきて、ついに銃撃戦が開始された!
中年~老年の男女がニコラスにいたるところから銃弾を浴びせる。
ある女性は自転車に乗りながら2丁拳銃で撃ってくる!
パトカーの中にいたダニーは、肩などに被弾するニコラスを見て、助け船を出さないわけにはいかなくなる。
自転車の2丁拳銃の女性の目の前でドアを開けて転倒させると、ニコラスから銃を受け取り「それでこそ相棒」と言わしめたのだった。
街中はさらに激しい銃撃戦に。
ニコラスは次々と同盟メンバーたちを負傷させ、戦えなくしていくのだった。
そこに、同盟メンバーでもある牧師が「やめろ!こんな愚かな暴力はやめるべきだ」と歩いてくる。
ニコラスを思いとどまらせようとしたようだが、聞く耳を持たないということが分かると、汚い罵り言葉を吐きながら、両袖に隠し持っていた小型の銃でニコラスを撃った。
後ろにいたダニーが牧師の肩を撃ってニコラスに駆け寄ると、ニコラスは防弾チョッキのおかげで無傷だった!
…だが、次に出てきたのは、ドクター・ハッチャーだ。
彼は、ニコラスとダニーもろとも殺すつもりで迫ってくる。
「銃を捨てろ」と言われたダニーはショットガンをハッチャーの足元へ投げると、ショットガンは暴発してハッチャーの足先を吹き飛ばした!
「医者だろ、自分でなんとかしな」と言い捨て「次、行くぞ」というニコラスに、自分もサングラスをかけながらダニーは「例えば?」と尋ね、ニコラスは「パブとか?」と次の行き先を決めるのだった。
パブの中から銃撃を浴びる2人は、少し銃撃が収まると2丁拳銃で横跳びしながら突入。
激しい攻防を見せ、最後に天井に吊り下げてあったトラバサミのワナを撃ち落として、パブの主人の頭に見事ヒットさせたニコラス。
それを見た妻が「誰か警察を呼んで~~~!」と叫んだのを合図としたかのように、署長ほか警察の全メンバーがパブになだれこんできた。
ダニーにニコラスから離れろと署長は指示するが「それはできないよ、父さん。もう命令はきかない」とダニーは拒否。
署長は仕方なく、2人とも逮捕しろと部下に告げるが、ニコラスは同僚たちに説明を始める。
「無知な奴隷であり続けるのか?本物の警官になって茶番を終わらせろ!おかしいだろ!犯罪は少ないのに事故はやたら多い。洗脳されてるんだよ!この殺人オタクに操られてるんだ!」
署長は「バカ言うな!」と一蹴するが、ダニーがすかさず「バカじゃないよ! やっとマトモなことが分かった。母さんも死んでよかったとはじめて思うよ。いまの父さんを見たら母さんはまた自殺する…」とさらに反論するのだった。
まだ他の警官たちは話を分かっていない…。
「この町は虚構なんだよ!この20年、署長と監視同盟が支配してたんだ!完璧な村にするために邪魔者はすべて消したんだよ!」とニコラスは再度説明。
なんとなく事態が分かってきたらしい他の警官たちに愛想を尽かした署長は、天井のシャンデリアを撃ち落として姿をくらました。
ニコラスとダニーはさらに武器を調達して、次の戦いへと備える…。
最後の砦はやっぱり…スキナーのスーパーマーケット
ほかの警官たちも味方につけたニコラスとダニーは、スキナーのスーパーマーケットへ乗り込むことに。
スキナーは望むところだ…という感じで、店の奥で従業員たちと待ち受けている。
ニコラスはマイケルとの肉弾戦の一騎打ちに、ほかの警官たちは店員たちと激しい銃撃戦を繰り広げる。
マイケルの背中にしがみついたニコラスを振り落とそうと、その場で回転を始めたマイケルは、最終的にフリーザーの中へ倒れこんで気絶し、ニコラスはダニーの応援に駆け付ける。
肉売り場の2人からどんどん刃物を投げつけられ、膠着状態に陥っている状況を打開するため、大量のショッピングカートで肉売り場をつぶして制圧すると、奥から逃げ出したスキナーが、署長の運転するパトカーで逃げるところだった!
ニコラスとダニーは、その後を追跡する…。
激しいカーチェイスと銃撃戦を繰り広げる2台のパトカー。
署長の運転するパトカーは、例の白鳥を見つけ、なんとか避けるがそのまま路肩下にある、街のミニチュア模型が展示されてある広場へと落ちてしまい、横転してしまう。
一方、ダニーの運転するパトカーは例の白鳥を見つけ、なんとかその直前にパトカーを止めると、無事白鳥を確保して追跡を続ける。
ニコラスたちが駆け付けると、スキナーは車から走り去ろうとしていた。
ニコラスはスキナーと殴り合いの一騎打ちになり、途中、スキナーが優勢となってしまう。
「俺の村から出て行け!」とこぶしをふるわれるニコラスは最後の力を振り絞って、スキナーのこぶしを左手で受け止めると、「もうお前の村じゃない!」とアッパーでスキナーを倒した。
ミニチュアのそばにいた少年に話しかけていたとき、ニコラスの背後から、まだあきらめきれないスキナーがカッターナイフ片手に走ってくる…!
だが、スキナーは足元にあったミニカーに乗って足を滑らせてしまい、その拍子に前へ飛ぶ形で転倒。
落ちた先にあったミニチュアの教会の尖塔が顎から口へと貫通して身動きがとれなくなってしまった…(でも生きている)。
そこにやってきたのはダニーと署長だ。
なんと署長が、息子であるダニーの顔に銃を突きつけ、ニコラスに「下がれ!これ以上血を見たくないだろ…」と詰め寄る…。
「妻のために殺しを始め、息子で殺しを終わらせるのか?」とニコラスに言われた署長は「こうやって終わらせる!」とニコラスに銃を突きつけた。
だが、その瞬間をダニーは見逃さない。
なんとか父親の銃を奪ったダニーは、逃げて行こうとする父親の背後に銃を向けるが、撃てずに空に向かって銃を何発も撃つ(これは、ダニーの好きな映画『ハートブルー』のシーンの真似)。
署長は、ダニーたちが乗ってきたパトカーを奪ってその場から走り去るが、後部座席から白鳥が顔を出し、エイリアンよろしく署長を襲った!
署長の車は木に激突。
そして、署長もスキナーもお縄になるのだった…。
一件落着!…と思いきや…!?
現場には、ニコラスのロンドン時代の上司であった、首都警察の警部たち3人がやってきていた。
「ずっと電話してたんだぞ。君がいなくなって数字が落ちて困ってるんだ…。戻ってこい。こんな田舎に君はもったいないよ」と異動を持ちかけられるが、ニコラスはそれを断る。
「でも実を言うと…ここが好きなんです。それに事務処理が山ほど残ってるしね…」
署に戻り、一同で書類業務を終わらせようと作業をしていると、署の2階の監視センター担当の老人がショットガンを携えて部屋に入ってきた。
ニコラスに向かってショットガンが撃たれたそのとき、ダニーがニコラスの盾となり撃たれてしまう…!
老人は押収した証拠保管室に逃げ込んで転倒してしまった拍子に機雷が転がり、老人にまたがる形でなんと起爆装置が作動、大爆発を起こして警察署は吹っ飛んだ!
瓦礫の中で血を流して倒れるダニーのところに駆け寄り、ニコラスは「大丈夫だ。大丈夫だからな…」と言い続けることしかできない…。
1年後。
ニコラスは墓参りにやってくる。
ダニーの墓参りなのか…と思ったそのとき、ニコラスの隣にダニーもやってきた。
2人はダニーの母親の墓に花をたむけにやってきていたのだった。
パトカーでパトロールをしているところに、無線で「スーパーでゴミを漁っている人がいます」と通報が入り、2人はサングラスをかけると猛スピードで現場へ急行するのだった…!
まとめ・感想
とんでもなく良くできた映画です!
これは単なるコメディと一言で終わらせるわけにはいかない作品。
メインはもちろんコメディではありますが、少しサスペンス・スリラーの要素もあり、派手な銃撃アクションもありの、盛りだくさんな内容で単純に「おバカコメディ」と済ませることはできない作品です。
そもそも日本では全く認知されていなかった作品でしたが、あまりの面白さを知った日本の映画ファンが2000人の署名を集めて、日本でも劇場公開にこぎつけたというほどのイギリス映画なのであります。
そのできの良さや細部へのこだわり、『ハートブルー』や『エイリアン』シリーズの有名シーンを踏襲するような笑えるオマージュも散りばめられていて、映画ファンの人なら最初から最後までとにかく楽しめること間違いなしです!
それでは映画ファンじゃなければ楽しめないの?ということになると、そんなことはありません!
誰でもその面白さに舌を巻くこと間違いなし。
ところどころで露呈する、ダニーのおバカ設定には辟易するかもしれませんが、序盤ではダニーは救いようのないバカだ…と観客に思わせておきながら、最後にはニコラスの良きパートナーに昇華させるところもニクい演出の1つ。
さらに、ニコラスという超完璧な警察官が対峙する極悪集団が、中年~老年のド田舎の住人たち(しかも、女性も大暗躍)という意外性にも、笑わずにはいられません。
今となっては『ミッション・インポッシブル』シリーズのベンジー役でも知られるようになったサイモン・ペッグは、『ショーン・オブ・ザ・デッド』や本作、『ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!』といったコメディ作品で、主演するだけでなく脚本も書き上げた才能の持ち主。
私もはじめは俳優として「なんか面白い人やなぁ…」と思っていただけでしたが、あまりにも面白すぎる脚本を複数手掛けてるということを知り、そのまさかの天才っぷりに驚愕。
私の中では「結婚したら死ぬまで面白すぎる生活を保障してくれそうな人第1位」の座をここ数年守り続けている人ですから、彼が出演していると聞けば、その映画を観ずにはいられませんね(笑)。
この作品でペアを組んでいるニック・フロストも、サイモン・ペッグと一緒だとステキな化学反応を起こして、冴えない男のはずなのに、キュートに思えてしまうほど!
サイモンとニックのペアでは『宇宙人ポール』もサイコーに面白い作品で、我が子にも間違いなく語り継ぐ映画です(笑)。
さらに特筆すべきなのがこの作品の監督エドガー・ライト。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』、『ホット・ファズ』、『ワールズ・エンド』と話題作を監督したのち、マーベルの『アントマン』も監督と脚本を務める予定でした。
ただ、ライトはクリエイティブ面の相違により『アントマン』からは降板(脚本と原案のクレジットは残る)。
しかしその後、2017年に『ベイビー・ドライバー』を監督し、世界中で大ヒットさせました(これまたとんでもなく面白い映画です)。
エドガー・ライトとサイモン・ペッグ、ニック・フロストの3人が名前を連ねれば、その映画が面白くないわけがない!
みんな売れっ子になってしまって以前よりも超多忙になっているはずですが、今後もこの3人がタッグを組んで、面白すぎると思わせてくれる映画作品を世に送り出してほしいものです。

子どものころから映画大好き! ヒマさえあれば、むさぼるように映画を観るアラフォー女子。いまはドラマ『チェルノブイリ』のビッグウェーブに飲み込まれてます。
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