「アントキノイノチ」のあらすじ・感想・ネタバレ~命は繋がっている。今の自分に、そして出会うべき人に!~ | VODの殿堂

映画

「アントキノイノチ」のあらすじ・感想・ネタバレ~命は繋がっている。今の自分に、そして出会うべき人に!~

   
 

 

タイトル:「アントキノイノチ」
公開:2011年
監督:瀬々敬久
出演:岡田将生、榮倉奈々、松坂桃李、原田泰造、染谷将太 他
視聴したVOD:dTV(2018年4月24日時点では視聴可)

さだまさし原作の小説の映画化です。

過去に精神的な傷を負い、躁うつ病になってしまった青年が遺品整理の仕事を通して生きることの意味を考え始めます。
そして、同じく傷を負った女性との出会いで命の繋がりを感じ希望を見出していく物語。

主演の岡田将生、榮倉奈々を始め、豪華な俳優陣の共演も見どころです。
ちなみに、タイトルの「アントキノイノチ」はプロレスラーのアントニオ猪木さんとは無関係で出演もありません。
あらすじと感想をまとめてみましたのでご覧ください!

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【あらすじ】

『遺品整理』

僕は二度、親友を殺した。そして、僕の心は壊れた。
永島杏平(岡田将生)は、高校時代のある出来事からずっとそう思って生きていた。

杏平は、遺品整理業者「クーパーズ」に就職した。
社長に仕事内容を説明されても、同僚を紹介されても杏平は一言も発することができなかった。
先輩社員の佐相(原田泰造)は、そんな杏平を気にせず気さくに話しかけてくる。
佐相と、もう一人、どこか陰のある女性社員の久保田ゆき(榮倉奈々)と共に杏平は初仕事に出かけた。

初めての現場は、心筋梗塞で死亡し一か月後に発見された孤独死の老人の遺品整理だった。
指示を出されても黙っていると「永島くん、返事した方がいいよ」とゆきにたしなめられ、杏平は慌てて声を出す。
初めて見る知らない人が死んだ家、杏平は黙々と作業する先輩二人にならった。

 

『回想~小さな戦場』

杏平は幼い頃から吃音があり、咄嗟の受け答えが苦手だ。
緊張すると目が泳ぎおどおどしてしまう。
高校時代は、そのことでクラスメイトからよくからかわれた。
クラスの中心人物である松井慎太郎(松坂桃李)は、何がおかしいのかいつも率先してクラスの中の弱者を執拗にからかう。
杏平は自分がからかわれても、誰かがからかわれても、表面上は楽しそうにふるまった。
みんなだって、そうだ。
何かおかしいと思っても「関係ない」と気づかないふりをすることで自分を守っていた。

 

『跡は消えない』

遺品整理は、残されたものを判別する作業も行う。
遺族が立ち会っていない場合は、判断は業者にゆだねられるが初心者には難しい。
不要なものと遺品になるもの、杏平はゆきに教わりながら懸命にそれらを判別していった。
最後の仕上げは真っ新なタオルで床を拭き上げる。
この作業に没頭する杏平をゆきは静かな目で見つめていた。

ゆきは杏平に訊ねた。
「永島くんはどうして一生懸命やるの?」
杏平はゆっくりと考えながら答える。
「綺麗になるから、この仕事、跡がなくなるから綺麗に消える」
しかし、ゆきは言うのだ。
「勘違いしてる。跡は消えないよ」

 

『回想~親友の死』

杏平の親友、山木信夫(染谷将太)はいじめに遭っていた。
山木の趣味である熱帯魚のサイトに毎日悪質な書き込みがあり、それは全部松井の仕業だと杏平に相談する。
しかし、杏平は「証拠がないよ」と言うだけで、何も出来なかった。

ある日、山木が松井にナイフを突きつけて脅す事件が起こった。
山木は不気味なまでの冷静さで松井を追い詰める。
恐怖のあまり立てない松井は土下座をするが、山木は容赦ない。
「松井、死ね」とナイフを振り下ろそうとした瞬間、杏平は「山木、やめろ!」と止めた。
教師たちに取り押さえられた山木は言った。
「永島くん、君は味方だと思ってたんだけどな」
何も言い返せない杏平に、山木は、
「良いんだよ、仕方ないよ、みなさんさよなら」
と、そのまま走り出し、渡り廊下から飛び降りて死んだ。

 

『杏平とゆき』

今度の現場は古い一軒家だった。
屋内の害虫駆除に散布した薬剤から逃れてきた一匹のゴキブリ。
しかし、無残に踏みつぶされたのを見た杏平は、高校時代の記憶が蘇る。
山木が死んだ後、松井の標的は杏平に変わったのだった。
何を見ても、クラスメイトから暴行を受けた日々の記憶が蘇ってしまう。
作業の間も、杏平は記憶のトラウマ状態になっていた。
動けなくなってしまった杏平は家を飛び出して行ってしまった。

その日の帰りは、心配したゆきが杏平を送ってくれた。
ゆきから、佐相から一度飲みニケーションしてこい、と5千円貰ったと誘われて二人は居酒屋へ行く。
ゆきから「昼間どうしたの?」と聞かれ、上手く答えられない杏平。
今度はゆきにどうしてこの仕事を始めたのか質問する。
誰もいなくなった部屋に行くとドキドキする、と言うゆきに「そこで人が死んだから?」と聞く杏平。
しかし、ゆきは否定し「『ああ、ここで人が生きていたんだ』って、でももうその人はいなくて…ごめん、上手く言えない」と言葉を詰まらせた。
そんなゆきに杏平は、自分は重度の躁うつ病であることを自然に明かすことができた。

 

『ゆきの心の傷』

生きるっていうことはすごく恥ずかしいことだ。
亡くなった人の良いところを残して、隠したいものを処分し、メンツを保つことが俺たちの仕事だ、と佐相は言う。
でも、亡くなった人にメンツなんて必要ないけどな、と笑うのだった。

遺品の中に金目のものが残っていたはずだ、と遺族がクーパーズにやってきた。
すっかり逆上したその男に腕を掴まれたゆきは悲鳴を上げてしまう。
仕事の帰り、杏平はゆきにどうして悲鳴をあげたのか聞いてみた。
「私、高校の時一度殺された」
ゆきは、レイプされたことを明かし「男の人に触られるの怖いの」と泣き出した。

杏平はゆきを元気づけようと遊園地に誘った。
観覧車の中で、高校の同級生に襲われて高校も中退したとゆきは話す。
「杏平くんはなんで病気になったの?」と聞かれたが、杏平はまだ心の傷を明かすことができなかった。
そして、また高校時代の記憶が蘇り、杏平はゆきの手を取って走り出す。
逃げるように走る杏平に「誰も追ってこないよ」とゆきは安心させるように言った。
そして、永島くんとなら大丈夫、とホテルに誘ったが、二人は何も出来なかった。

ゆきは、まだ話していない事件の顛末を杏平に語った。
レイプで妊娠してしまい、母親と一緒に相手の家に行った。
しかし「お前が誘ったんだろう」と言われてしまい、庇ってくれるはずの母親からも疑われた。
それから、全部自分が悪かったんだと責めつづけ、自殺未遂を繰り返した。
今度こそ死のう、と決めた時に流産をしたのだ。
赤ちゃんは私のために自殺した、あの時の命が私を救ってくれた。
だけど、あの子の命はなんだったんだろう?代わりに自分が生きてていいの?とゆきは今も考えながら生きているのだった。
ゆきの苦しみを聞いた杏平は言う。
「俺も自分がどうして生きているのかわからない。でも生きてる」

 

『回想~山での殺意』

高校時代、山岳部だった杏平と松井。
登山の時に、危険な山の峰を松井と二人で渡ることになった。
子供の頃から山に親しんできた杏平は自信があったが、明らかに登山が不得意な松井は杏平への対抗心から志願したのだった。

足元がふらつき、腰が引けている松井の背中を見つめ、杏平には殺意が芽生えた。
恐怖で動けなくなった松井は、背後からの杏平の殺気を感じる。
杏平が手を伸ばすと、バランスを崩した松井は足を踏み外した。
しかし、杏平の手は松井を掴み助けた。
死ねばいい、と思っていたのに…

 

『誰かと繋がっていたい』

今度の仕事は特殊な現場だった。
水商売の母親が男と遊ぶために幼い子供二人を部屋に閉じ込めて餓死させたのだった。
窓はガムテープで貼られ開けられず、水道の蛇口も針金で固定し水が出せないようにしてあった。
悪意に満ちたその部屋で、幼い命が奪われたのだ。
突然泣き出したゆきが心配で近づく杏平。
「やっぱり跡なんか消えない、私は忘れられない、ちゃんと生きたい」
ゆきの手には子供服が握り締められていた。

ゆきは突然居なくなってしまった。
どうしていいかわからない杏平は、ただひたすら毎日遺品を片付け続けた。
ある日の現場は、子供を捨てて家を出た女性の家だった。
そこには娘に宛てた出せなかった手紙の束が残っていた。
伝えたかった想いが詰まっている、伝えたかった相手に届けなければいけない。
そう思った杏平は佐相に反対されたが、独断で届けにいくことにした。

娘はもう家庭を持っており子供もいた。
しかし、自分を捨てた母親のことを強く恨んでおり「関係ない」と、手紙は受け取ってはもらえなかった。
杏平は「関係なくないんです!」と必死に訴え、手紙をそのまま置いて帰った。
しばらくののち、母からの手紙を読んで涙を流す女性の姿があった。

残された遺品たちは色んなことを語りかける。
テレビは亡くなった人の話し相手であり、ランプはその人を明るく照らしたのだろう。
死は一人で迎えなければいけないけれど、生きている間は誰かと繋がっていたい。
杏平は、遺品整理を続けていくうちにそう強く思うようになった。

 

『ゆきとの再会』

ゆきが老人ホームで働いているのがわかった。
杏平はゆきに会いに行くが、避けられてしまう。
「ずっと考えてたんだ、全部あの時の命なんだ。あの時亡くなった命がゆきちゃんに繋がって、俺ゆきちゃんに会えた」
杏平は自分の想いを精一杯に伝えた。
しかし、ゆきは忙しいからと言って行ってしまう。

後を追った杏平は、老人ホームで亡くなった女性の夫が来ている場面に遭遇する。
認知症で夫に迷惑がかかるから、と内緒で老人ホームに入所した妻のことを夫は怒っていた。
遺品なんか要らん、処分してくれ、という夫に杏平が遺品整理を申し出る。
夫は背を向けていたが、杏平が遺品と判別したお揃いのマグカップを見た夫の表情が変わった。
そして、妻の最期を看取れなかったことを悔い涙を流すのだった。

 

『回想~僕が壊れた』

文化祭で、山で杏平が滑落した松井を助けている写真が貼り出された。
写真を撮った山岳部の顧問は、「あの時『自分が永島を助けた』と松井が言っていたが、誰もそんなこと信じていない。それを黙って聞いていたお前はえらい」と杏平を褒めた。
そして、今までよく頑張ったな、と松井からのいじめに耐えた永島を称賛した。
自分の撮った一枚の写真のおかげでお前は救われる、とでも言いたげで満足そうな顧問。
杏平は「なんで何もしてくれなかったんですか?知っていたのに…みんな知っていたのに、なんで?」と顧問を責めた。

松井は写真を見て真っ青になり、はがすように杏平に言う。
松井の顔を一瞥し「君だけのせいじゃないんだ」と憐れむように言う杏平に、カッとなった松井はカッターナイフを持って襲いかかった。
二人は揉みあいになり、カッターナイフを奪った杏平が優勢になった。
周りの生徒たちは、そんな二人を見つめるだけだ。
「なんで黙ってるんだよ!僕、今から松井殺すよ?それでもいいの?」と杏平が叫んでも誰も動かない。

ナイフに怯え「死ぬの怖い…」と泣き出す松井。
臆病なのに虚栄心の強い、愚かな松井をみんなわかっている。
そんな松井が弱いものをいじめているのもわかっていたのに、自分には関係ないと傍観者になっている。
助けを求めた山木に何もしなかった自分も同じだ。
松井を解放した杏平は、山の写真をカッターナイフで何度も切り裂いた。

 

『あの時の命』

杏平は、ゆきと浜辺を歩いていた。
そして、どうして自分が壊れたのか、クラスメイトを殺そうとしたことも全部話した。
ゆきは「あの時、亡くならなかった命が今の杏平くんに繋がっているんだね」とほほ笑む。
ふと、杏平は思いつき「あの時の命、って口の中で何度も言ってみて」とゆきに言った。
あの時の命、あの時のいのち、あんときのいのち、アントキノイノチ…
「プロレスの人になった」と二人は笑い合った。
ゆきは、みんなに言う言葉が見つかった、と海に向かって叫んだ。
「元気ですかーっ!」
そうして、杏平とゆきは抱きしめあった。
お互いを想うことで、一人じゃない、これからも生きていけると確認しあったのだった。

ある現場に、佐相と杏平はいた。
今日は杏平がリーダーだ、と佐相は指揮を取るように言う。
いつものように、遺品の判別に取りかかった。

この部屋の亡くなった住人、それはゆきだった。
ゆきは、小さな女の子を庇って車にはねられ死んだのだ。
部屋には、杏平の写真ばかりが納まったアルバムがあった。
いつも現場で部屋の写真を撮っていたゆきはこっそり杏平も撮っていたのだ。
泣きながら写真を見つめる杏平。

そこに、ゆきが助けた少女と母親が遺族に挨拶をしたいと訪ねてきた。
杏平は、ゆきが救い、繋げたあの時の命に向かって大きな声で言った。
「元気ですかー!」
少女は笑い、杏平も笑顔で応じた。

 

感想

130分ほどの映画でしたが、もっと長く感じました。
「アントキノイノチ」と言う、少しエッジの効いたタイトルからもっと軽い映画なのかと思ってたのですが違いました。
サラリと観られるように作られていますが、テーマはヘビー級に重かったです。

誰でも、自らトラブルに巻き込まれようとは思いません。
だから、目の前で苦しめられている人がいても色んな理由をつけて傍観者になってしまいます。
関係ないから、勘違いかもしれないから、気づかないふり。
主人公の杏平は、親友の死と自分へのいじめから、その問題にがっぷりとハマってしまいます。

そんな杏平の過去と人生の再生の過程を、遺品整理の仕事と、ゆきという女性との関わりで描いているのですが、深読みするのが好きな私がいかにも好きそうな内容です。
しかし、観ている最中から、何だかよくわからないけど違和感があり、観終わった後も何かが足りない気がしました。

ストーリー自体は、足りないどころか詰め込み過ぎやろ!ってほどなんです。
もしかして、そこが原因?
杏平の問題、ゆきの問題、遺品整理、それらが私の中では上手くシンクロしなかったのかも。

だけど、どれもエピソードとしては見応えのあるものばかりです。
アントキノイノチ、への繋げ方も上手いし。
主演の岡田将生さん、榮倉奈々さんの演技もすごく良いし、原田泰造さんも重い映画の中で唯一の癒しになっていました。
しかし、なんといっても山木役の染谷将太さんの演技はすごかったです。
少しだけの場面だけど、強く印象に残りました。
松井役の松坂桃李さんも、上手かったですね。
それに、端役なのに、宮崎美子、柄本明、檀れい、とか豪華過ぎました。

やっぱり、詰め込みすぎなのかなぁ?
映画自体に不自然なところはなかったんですけどね。

もしかして、この内容に対して「そうだ、そうだ!」と言ってしまうと、人生で何度も傍観者になっている自分を省みることになるからでしょうか?
無意識の自己防衛反応が私を納得させないのか?
なんて、また深読みしてしまうのでした(笑)
不思議な作品なので、もう一度観てみようと思うし、観た人と語ってみたいです!

 

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