タイトル:ぼくセザール 10歳半 1m39cm
公開:2003年
監督:リシャール・ベリ
出演:ジュール・シトリュク、マリア・デ・メディロス、ジャン=フィリップ・エコフェ、ジョセフィーヌ・ベリ、マボ・クヤテ、アンナ・カリーナほか
閲覧したVOD:Amazonプライム・ビデオ(2018年8月6日時点では配信終了)
まだ大人というには早すぎるけれど、子どもというとそうでもない…。
両親や同級生たちとの日常に、いろいろなジレンマを抱えて生きる、10歳半という微妙な年ごろの男の子と女の子の友情と冒険をみずみずしく描いた、ありえなさそうでありえそうな物語。
フランス映画らしいユーモアにも注目の秀作です!
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あらすじ
セザールの憂鬱
セザールの父親の共同経営者の葬儀に参列したセザールは、普通泣くのは子どもなのに、大人たちが泣いているのは変だなと感じていて、葬儀の時間はとても退屈だ。
セザールの苗字はプチ(小さいの意)。
パン屋で色とりどりのケーキを眺めるのはセザールにとっての楽しみだが、小さいセザールは大人たちから見下ろされ、店員からは「坊や」と言われ、敬語も使われずに子ども扱いされるのに嫌気がさしていた。
学校では目立たないようにしているセザールは、10歳半で1m39cm、ちょっと太めで甘いものには目がないが、そのことは秘密にしている。
だが、好きにしていいなら、甘いものしか食べないと言っていいほどの甘党なのだ。
その反面、ちょっと太っていることを気にしていて、プールの授業ではなかなか水着になれないでいて、太くなければ、学校で一番の美少女サラの気を引くこともできるのに…と考えている。
だが、乗馬や絵画教室、空手にピアノ…いろんな習い事をさせられているが、どれにも才能はなさそうなセザールなのだった。
パパが刑務所に…?
ある日、セザールの父親に元共同経営者のことで話が聞きたいと、自宅に警察がやってきた。
セザールは「大人の権威」を振りかざされ、何の説明もなしに自分の部屋へ行くようにと命令される。
しかも、それが「重大な話」になると、子どもはさらに仲間外れにされてしまう…。
結局警察は2時間ほど自宅にいて、そのことを親友のモルガンに話すセザール。
モルガンは冷静で背も高く、優等生で、母親と2人暮らしをしているが、夜勤で看護婦をしている母親とは、週末以外は会うことがない。
その状況がセザールにとってはうらやましい。
セザールは週に1度はモルガンの家に泊まりに来ていて、2人で晩ごはんを食べながらテレビを見る…そんな生活が最高だと感じていた。
ある日の学校の課題は、詩の暗唱。
セザールは教室の前に立たされて暗唱を始めようとするがフレーズがなかなか出てこない。
モルガンが後ろの方の席から助け船を出そうとしたところを先生に咎められ、モルガンとサラの席を替わるように指示する。
その結果、サラはセザールの隣の席につくことになり、セザールは俄然元気になって、無事暗唱できた。
先生からの評価は「悪くないわ。7点」とされ、セザールは心の中で「バカな先公!」と不満に思う。
だが、席につくと隣に座ったサラが「暗記したの? 10点満点よ!」と褒めてくれる。
それ以来、セザールは詩を1回読んで暗唱する宿題が好きになるのだった。
自宅に帰ると、玄関先には見知らぬ男がいて、両親はあわてて荷造りをしている。
父親が仕事で出張に出るので、しばらく帰れないという父親はセザールに「お前が大黒柱だ。ママを頼んだぞ」と言い残す。
セザールは、父親は何か警察がらみのことで出て行くことになり、玄関先の男は私服警官だと推理、もう父親には2度と会えないと思うのだった…。
翌日モルガンに、父親は警察に連行されて、刑務所に入ったと説明するセザール。
モルガンには口止めをしたのに、その矢先、ケンカの仲裁に入ったモルガンは「セザールの父親みたいに刑務所行きになるぞ!」と言ってしまう…。
おかげでセザールはその日のうちに、学校の有名人になってしまい、みんなから温かい言葉をかけられることに。
さらに、たまたま会ったサラと一緒に歩いて帰ることができた。
サラと仲良くなるセザール
サラの家に着くと、自宅の前にサラの両親もいた。
明るく仲が良さそうな3人家族に見えるが、「じゃあ、また来週!」と陽気に去っていく父親を見て、セザールが「お父さん、旅行に行くの?」と尋ねると、「両親は離婚しているのよ」とサラが答える。
翌日、授業中にセザールは校長室へ呼び出しを受ける。
座ると、セザールにお菓子をすすめる校長先生。
成績は悪くないが、先生は「もっと良くなるはずだ」と評価していて、暗唱についてはずば抜けていて素晴らしいとほめる。
だがその後、校長先生は家族のことについて尋ね始める。
父親が刑務所に入ったらしいことを本人から確認すると、校長先生は「相談したいことがあればいつでもおいで」と優しい言葉をかけるのだった。
その夜、セザールは父親に手紙を書いていた。
「パパが留守の間もうまくやってるよ。学校でもいい成績もとることにした。寂しいけれど我慢するよ。どんなことをしたってパパを誇りに思ってるから…」と刑務所にいることを前提でメッセージをしたためるセザール。
「何年経っても待っているよ。よく食べて友達を作ってね」
セザールはどん底へと突き落とされることに…!
すると、自宅に父親から電話がかかってくる。
母親に、土曜日に帰ってくるというようなことを話しているようだ。
セザールが電話口に出て、父親に居場所を聞くと「マルセイユの叔母さんの家だよ」というまさかの返事。
「もしかして…ぼくの早とちりだったの!?」とセザールは心の中で叫ぶ。
案の定、自宅に帰ってきた父親からは「この手紙は何なんだ?」と尋ねられ、どのフレーズにもしどろもどろながらもなんとか答えるセザールなのだった。
別の日、授業中にまた呼び出しを受けたセザール。
教室を出ると、両親がやってきていて、父親は明らかに怒っている様子だ。
セザールのもとに早足で歩いてきた父親は、セザールの頬を引っぱたき「囚人の挨拶だ」と冷たい目で言い放つ。
引っぱたかれたことを弁護士に訴えたら?とサラやモルガンにアドバイスされるセザール。
セザールの言っていたことがウソだったとバレたセザールの評判は地に落ちて、すれ違う生徒からバカにされるようになってしまったのだが、サラは「告訴しよう!」とセザールを元気づける。
校長室にも呼び出されたセザールを待っていたのは、前回から180度態度が変わった校長だった。
机の上のお菓子に触ることも許されず、「お前のような生徒は史上はじめてだ!これから厳しく監視するからな!」とすごい剣幕で叱られた。
セザール、大人の目覚め?
それから1週間の休暇となり、セザールは閉じ込められたかのようになってしまう。
サラにもモルガンにも会えず、1週間も田舎暮らし。
表向きには「息子のため」だが実際には追放だとセザールは考えていた。
もうすぐ産まれてくる妹のことを思うと、母親が妊娠するまでは弟も妹も両親が作らないのは、同じ過ちを繰り返したくないからだと思っていたが、本当はセザールが次の子のための試作品だったんだと解釈する。
そしてセザールたち家族は、母親の実家である田舎の家に到着し、みんなで食事を取ると、セザールを置いて、両親は帰ってしまった。
翌日に合流した従姉妹たちからは、デブであることをバカにされ、さらに憂鬱になるセザール。
夜中にふと目を覚ますと、従姉妹たちが下着姿でなまめかしくダンスを踊っているところに出くわし、生まれてはじめてセザールは勃起を経験する。
学校に戻ってからモルガンと女性の体とセックスのことについて話し、大人のビデオをモルガンの家で観ることにするのだが、途中で退屈して寝てしまっていたうえ、「僕のときには叫ばないでほしいな…」といまいち理解できずにいるのだった。
サラとモルガンとセザール、3人のお泊まり
バスに乗って浄水場の見学に向かうセザールたち生徒。
バスの中では、モルガンとサラが隣同士で座っていて、仲良く話していることがセザールには気が気でない。
見学には、サラの両親も参加していて、自分の両親は来ようともしないことからうらやましく感じているセザール。
そして、サラの父親はサラとセザールとモルガンに、次の週末に3人で泊まりに来ないかと提案する。
「両親には僕が話しておくから」と話す父親だが、サラ曰く、友達を招待するのは恋人を紹介するためなのだという。
後日、両親の承諾もえて、セザールとモルガンはサラの父親の家に泊まりにいく。
そこには、サラの父親の恋人で、自由奔放で舞台などで女優をしているというサムがいて、セザールは離婚というものは最悪なものだと思っていたが、サラの父親にとっては離婚も明るくて楽しいものだな…と不思議がる。
みんなそろって食事をするが、サラの父親とサムだけがハイテンションで、子どもたち3人は微妙な雰囲気…。
その夜、寝室ではサラとモルガンが、父親とサムのやりとりを茶化して楽しそうにふざけ合っていて、セザールはなんでモルガンみたいなかっこいい男だけがモテるのか…と不満に思うのだった。
別の日、モルガン抜きでサラがセザールの家に泊まりにくることに。
だが、テレビを見ていると父親に早く寝ろと命令され、反抗したセザールが父親にむかって「バカ野郎」と言ったことから、父親は息子につかみかかって床に押し倒す。
セザールは痛いと泣きながら「話も聞かずに弱い者に暴力をふるうばっかりで、テロリストだ! 訴えてやる!」と言い返すのだが、父親を懲らしめるためにセザールは演技をしているだけだった。
そこで玄関のドアのベルが鳴る。
やってきたのはモルガンだった。
雷が鳴って停電し、1人では怖くて泣きながらやってきていたのだ。
結局3人でお泊まりすることになったその晩、モルガンは父親を探しにこの週末に1人でロンドンへ行くという決意表明をする。
英語が喋れるサラは一緒に行ってあげるといい、セザールも「君とは逆でパパの顔を見たくないから」と一緒に行くことに決めた。
ロンドンへ行くための作戦いろいろ
ロンドンまでのチケットは週末で110ユーロと意外と高い。
だが、サラは父親のへそくりの隠し場所を知っているし、セザールも父親のカードの暗証番号なら分かる。
モルガンは、父親を見つけ出したらお金を払ってもらうから、ということで3人の取引は成立。
ロンドンに行くと決めた3日前、セザールは父親の財布からこっそりクレジットカードを抜きだした。
玄関の外で待っていたモルガンにドアのすき間からカードを渡すと、モルガンはすぐ近くのATMへ走る。
なんとかお金を引き出せることができ、300ユーロでいいか、と尋ねるモルガンに「最大額で」と指示するセザールだった。
それと同時に、父親はセザールに「確かにお前の言う通り、ちゃんとゆっくり話すこともしていなかったし、ママもパパも反省した。大人として対等に話すぞ」と優しく話しかけてくる。
「仕事でうまくいってなくて、金銭的にも困っている。事態はかなり深刻なんだ…。最近の取引も流れてしまってクレジットカードも没収されそうだ。節約しないと…」
父親の話はともかく、モルガンはうまくお金を引き出すことができ、第1の作戦は成功した。
出発の2日前には作戦2として、大人びた格好をしたサラが予約したチケットを購入することに成功(12歳未満の子どもは現金でチケットを買えないという決まりだった)。
作戦3の「親をだます」は楽勝。
土曜日にサラの誕生パーティで別荘に招待されたから行く、というものだった。
いざロンドンへ!
ロンドンへ行く当日、駅では思いもよらぬ事態になってしまう。
ロンドンへ行くにはパスポートか、親の署名入りの書類が必要なのだが、どちらも持っていないセザールは列車に乗れないというのだ。
セザールを残して、2人だけで行こうとするモルガンとサラ。
自分の親友が、生涯の女性を2人きりでロンドンへ行くことになり、胸が張り裂けそうになるセザール。
だが、ちょうどそこに修学旅行に行くらしい小学生の団体がやってきたのだ!
セザールはその後ろにこっそり紛れ込んで、列車に乗ることに成功した。
ロンドンに到着すると、まずは電話帳で父親の名前を探し、住所を突き止めようとする3人。
サラが駅員に電話帳を探していることを伝えて方法を尋ねると、教えてもらったとおり地下鉄に乗って図書館へ行き、電話帳を調べる。
だが、名前はイニシャルだけしか掲載されていないため、膨大な数だ…。
全部書き写すのは難しいからと、こっそり電話帳のページを破り取って、急いで逃げる3人。
途中でサンドイッチを買って食べ、サラの父親からの電話も何とか切り抜けると、父親捜しを開始するのだった。
モルガンの父親を探して…
電話帳の住所をたよりに、3人は1軒ずつ尋ねて回る。
もちろんだが、人違いが続く。
ある1軒の男性に、11年前にフランスにいたかと尋ねると、そうだということで、話をするために家にあげてもらうことに。
「あなたの息子かも…」と切り出すと「まさか、ありえない」と言いながらも、思い当たるふしがありそうな男性。
3週間しかいなかったが、ステキな女性に出会ったといい、「確かに…俺に似ているな…」と男性は感慨深げに話す。
だが、その出会った女性はスチュワーデスを目指していたこと、クラシックが好きでフルートを吹いていたこと、当時はメッツに住んでいたということで、話がかみあわない。
その女性の写真を見せてもらうことにすると、その女性はモルガンの母親とは全くの別人だった!
慌てて3人は逃げだすと、男性は「モルガン、一緒に暮らそう!」と追いかけてくるが、なんとか振り切って逃げることに成功したのだった…。
たどりついた公園で、サラにコーラを買ってくるように頼まれ、なんとか手に入れた2人が元の場所に戻ってくると…サラがいない!
必死で公園の中や周りを探すが、彼女の姿は見当たらない。
トラブル発生だ!
コーラを買ったバルに戻ると、フランス語をしゃべることができる女主人のグロリアをたよって、友達のかわいい女の子が消えたと事情を説明すると、グロリアが一緒に探すことを手伝ってくれることになった。
ロンドンでの一夜
辺りは暗くなり、すっかり夜になってしまう…。
不気味な雰囲気の公園を、3人で手分けして探していると、セザールも怪しげな男性に連れて行かれそうになる。
抵抗しているうちに男性の携帯を地面に落としてしまうと、逆上した男性に引っぱたかれ、ナイフで脅されてしまうセザール。
すんでのところで、グロリアが駆け付け、男に反撃をして間一髪で助けてくれた。
そして、その傍らにはサラの姿もあった。
サラは2人を探して迷子になっていただけで、無事だったのだ。
3人はグロリアの家でお風呂や食事を提供してもらい、さらにモルガンの父親のことも警視庁の友人に掛け合ってみる、とあたたかく協力してくれるのだった。
3人で寝ようとしたとき、モルガンの携帯電話が鳴る。
電話はサラの母親からで、「お礼を言いたいからモルガンの母親に代わって」と言われ、万事休すとなる3人。
だが、機転を利かせたグロリアが電話に出てくれ、事なきをえた。
ついにモルガン、父親と対面
翌日、グロリアの車に乗って、モルガンの父親の家へと向かう一行。
セザールとサラはバックシートで楽し気だが、モルガンだけはいつもと違って神妙な面持ちだ。
その家にたどり着くと、モルガンだけが車を降り、玄関へと向かう。
モルガンは家の中へと入っていき、3人は車で待つことに。
長い時間待ったのち、男性が車の方へとやってきて、みなさんも中へお入りください、と誘ってくれた。
男性は結婚して3人の子どもがいて幸せに暮らしているようで、子どもたちに「お兄ちゃんのモルガンだよ」と紹介する。
みんなで楽しく談笑し、みんなはモルガンの父親の家族に別れを告げる。
3人では無理かと思っていたが、モルガンの父親を本当に見つけることができたのだ。
パリに戻ると…!
その日の夕方、3人は無事パリの駅に到着すると、そこには3人の親たちが怒りの形相で腕組みをして待っていた…。
あわてて一緒にパリにやってきたグロリアに助けを請う3人。
モルガンの父親が母親に電話をし、事情が知れ渡っていたのだ。
グロリアがいなかったら、死者も出たかもしれない。
グロリアは「まかせて!心配ないわ」と、親たちに事情を説明してくれるのだった。
最終的にロンドンへの1泊2日の冒険は、3人だけでなく、家族の人生まで変えた。
サラの母親は前夫のサラの父親と元さやに戻ったようで、セザールの父親は母親のことや産まれてくる妹のことをひっきりなしに話すようになって、息子との時間を取り戻そうとしているようだった。
モルガンの父親も時々モルガンを訪ねてくるようになり、親子の交流が始まった。
さらにグロリアはパリでも人気者になり、みんなの「グロリアおばさん」となって、今までは家族がいなかったが、突然一気に複数の家族が増えることになった。
そしてセザールとサラもちょっといい雰囲気になって…、セザールはサラが自分の婚約者になったと考えている。
もうセザールは「小さな坊や」ではない。
生まれて初めて自分に自信を持つことができたことは、彼にとって驚くべき変化で、どんな小さな人間でも、自分の運命は変えられ、本当の自分になれたと気づくのだった。
まとめ・感想
小学校高学年ぐらいのときの自分を思い返してみると、自分は大人と同等のつもりでした。
大人が観ている映画を観て面白いと思うし、好きな異性も当然いるし、レストランでお子様メニューを渡されると恥ずかしいやら腹が立つやら…。
思春期一歩手前の時期って、自分では見た目がまだまだ追いついていないことは承知の上でも、精一杯背伸びをして大人と同じように扱ってほしい!
でも、大人が言っていることや考えてることは、まだちょっと理解できないこともある…って、大人と子どもの究極の板挟み期だと思うのです。
改めて、アラサー、アラフォーになってから小学生の子どもたちを眺めてみると、やっぱりどう考えても大人には見えないですよね。
どう見ても愛らしい子どもとしか考えられず、これから青春時代を謳歌して、輝かしい未来が待っているんだよ…とうらやましくなります。
でも、そんな老婆心が、10歳前後の子どもたちには単純に「ウザい」んだと思います(実際に私もそうだった)。
そんな子どもたちの純粋でまっすぐな心情を丁寧かつ的確に描いたのが本作。
フランス映画なので、子どもたちも日本に比べるとだいぶ大人びたことやってるな、と思ったりもしますが、その子どもたちの思考回路の根本的な部分は、国を超えても時代を超えてもさほど変わらないな…と随所でくすくす笑わせてくれます。
カメラワークも139cmのセザールの目線に合わせて動くことがほとんどで、大人の背の高さなどが強調され、自分自身も子ども目線で見られることも工夫されているなと感じます。
映画の核心部分は、セザールとモルガン、サラの3人が、親には内緒でロンドンまで行き、モルガンは会ったことのない父親探しをするということで一気に成長を遂げ、家族との関係性もガラリと変わるというところなのですが、その大イベントに至るまでのセザールの考えていることや気持ちの変化、勝手な思い込みなどがつぶさに描かれているところが、私にとってはとても印象に残りました。
というのも、ロンドンで経験することがかなり突拍子もないことが多く、ちょっと現実離れしてるな…と感じてしまうことが理由かも。
とはいえ、ロンドンでの大冒険は、とんでもない危険な目に遭ったり、ステキな人との出会いもあったり、見どころ満載でハラハラドキドキ。
私がセザールの親であれば、本当にこっぴどく叱り飛ばして、しばらく外出禁止!と言ってしまうことは間違いないですが、子どものころの冒険って、この映画も最後で語るとおり、人生を変えるほどの成長を与えることになるのは間違いないし、万事OKであれば笑って済ませるのが親心、かもしれませんね。
親として、子どもの行動に責任を持つのは当たり前ですが、やっぱり冒険をさせてみること、子どもを信じてやること、そしてなによりも、子どもだからと半人前の扱いをするのではなく、一人の人間として対等に接することが大事だな、とセザールを通して、かつ、自分の子ども時代を振り返って再認識するのでした。
でも、黙って子どもだけで勝手に旅行したり、泥棒したりするようなことは決して許しませんよ!(笑)

子どものころから映画大好き! ヒマさえあれば、むさぼるように映画を観るアラフォー女子。いまはドラマ『チェルノブイリ』のビッグウェーブに飲み込まれてます。
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