『A Film About Coffee(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)』のあらすじ・感想・ネタバレ~コーヒーフリーク必見!スペシャルティコーヒーの「いま」が分かるドキュメンタリー~ | VODの殿堂

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『A Film About Coffee(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)』のあらすじ・感想・ネタバレ~コーヒーフリーク必見!スペシャルティコーヒーの「いま」が分かるドキュメンタリー~

   
 

タイトル:A Film About Coffee(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)
公開:2014年
監督:ブランドン・ローパー
出演:アイリーン・ハッシ・リナルディ、ジェームス・フリーマン、ダリン・ダニエル、ジョージ・ハウェル、ケイティ・カージュロ、マイケル・フィリップス、田中勝幸、大坊勝次ほか
閲覧したVOD:WOWOWオンデマンド(2018年2月28日まで視聴可)

日本でも、朝食のときや、ほっと一息つきたいときに欠かせない存在となったコーヒー。
最高においしいコーヒーを追求するためには、どのような努力や苦労があるのか?
生産者、バイヤー、バリスタ…といった、コーヒーに携わる人々のインタビューと、コーヒー農園やコーヒーショップの美しい風景を切り取った映像で、コーヒーにまつわるあれこれを紹介するドキュメンタリー。
思わず「へー」、「ほー」と思わせられるエピソードが満載。
たかがコーヒー、されどコーヒー! 魅惑のコーヒーワールドへ、さあトリップしましょう。

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あらすじ

語り部は、世界的なコーヒー界のトップランナー

「コーヒーは毎日飲むけれど、カップを持って感謝する瞬間がある。神聖に感じるんです」と語るのは、リチュアル・コーヒー・ロースターズのオーナーのアイリーン。
「ベッドから出たくない朝でも、“コーヒーなら飲みに行ける”って、いつもそう思うんです」と、コーヒーへの愛は深い。
ブルーボトルコーヒーのオーナージェームス・フリーマンは、子どもの頃から開けたばかりのコーヒーの缶から漂ってくる匂いがとても好きだったが、同時に、香りはいいのになんでこんなにまずいんだ!?と違和感も抱いていたのだと過去を振り返る。

彼らはコーヒー界のトップを走る一人者たち。
一人ひとりが、このドキュメンタリーに寄せて、自身の経験や想いを語る。

コモディティとスペシャルティの違い

スペシャルティコーヒーという言葉は1974年に提唱され、高値で取引されていて世界最高と考えられている。
その反面、コモディティコーヒーは大手企業に売られ、取引価格は一律、品質も生産地も問われないものだ。
よって、スペシャルティコーヒーはコモディティとは全く別世界のコーヒーと言っても過言ではない。
携わる者全員がコーヒーの品質と味に影響をあたえ、それが大きな違いを生んでいるのだが、ほとんどの人がその違いを気にしていないのが現状だという。

商業コーヒー市場は60年代から停滞しているが、スペシャルティコーヒーについては毎年10%の成長を遂げている。
アメリカではスペシャルティコーヒーの市場シェアは、この25年で1%から20%までに飛躍したのだ。
その違いは「飲めばわかる」そうで、はじめてスペシャルティコーヒーを口にしたら、いままでのコーヒーはなんだったのか、と感じるぐらいの違いなのだという。

6世紀ごろからエチオピアで飲まれ始めたと伝えられているコーヒー。
その異国の飲み物がアメリカの生活の中心となり、日常的な文化となった。


1990年代にはスターバックスをはじめとするコーヒーショップが躍進を遂げるが、2000年になってコーヒー市場が大暴落。
生豆450gが1ドル25セントぐらいで取引されていたのが、一気に50~60セントにまで落ち込み、生産コストが売値を上回る事態となるほどの突然のコーヒー飢饉に見舞われたのだった。
食品産業では供給の安定のために、均一化し欠品しないよう同じものを大量生産することが大前提となっていた。
ただ、均一化されたコーヒーは特徴のない“ただのコーヒー”であり、その基準はとても低い。
その対極として現れたスペシャルティコーヒーは、当然値段は高いものだが、コーヒー生産国にとっては画期的な発想でもあるのだった。

生産地からのダイレクト・トレード

フェア・トレードという言葉もよく聞くが、現在、スペシャルティコーヒーの世界の間ではダイレクト・トレードもよく行われている。
これによって、丹精込めてコーヒーを作る生産者たちが、商品市場からはじめて独立することができ、コモディティのマーケットで市場価格が変動しても、生産コストはちゃんと受け取れるようになったのだ。

コーヒーの新潮流が生まれたそもそもの理由は、より良質で独特なものを求めたことに始まる。
「ダイレクト・トレードのはずみとなるのはその品質で、支援するためには現地へ赴く必要がある」と語るのは、スタンプタウン・コーヒー・ロースターズのダリン・ダニエルだ。

栽培期や収穫期についてや、なぜ特定のコーヒーを精製するのかという理由を知るために生産地を訪れ、話し合いをすることが大切だと考えている。
ルワンダのフイエに行き、コーヒーを買うだけでなく、コミュニティを築く手伝いもしたいというのがダリンの想いだ。

1杯7ドルの高価なコーヒーを提供する店もあるが、時間や労力を考えると実際はそれでも安すぎる値段だという。
ブラジル以外の農園では、コーヒーは手摘みされていて、1本の木から採れるコーヒーは450g。


手摘みだけでも大変な労力になるということは想像できるはず。
さあ、あなたならいくらまで1杯のコーヒーにお金をかけられますか…?

コーヒー豆の精製

「熟した果実やコーヒーは景色のようなもので、美しい景観を手に入れたら、精製という窓を通して眺めます。完ぺきでなければ汚れた窓と同じです」と語るのは、カップ・オブ・エクセレンスの創始者のジョージ・ハウェル。
精製に関わる人々に求められるのは大変な集中力。
職人の細やかな心配りと誠意で精製されたコーヒーを見つけるのが買い手には重要となってくる。

生産地に行くと、誰しもが1杯のコーヒーの神秘を目にして驚き、コーヒーというものは”生き物“だと実感するという。
ルワンダのフイエでは、発酵槽から豆を取り出すタイミングは、職人たちの手や足の感覚で判断している。
皮の粘液を取り除く作業は歌って踊りながら、職人たちが自分たちの体だけを使って行うのだ。


ほかにも、合わせて9つの異なる精製過程と手作業を経て、乾燥させたのちにようやく出荷に至るというのがコーヒーの知られざる真実。
生産地では人の手で大切に扱われていくことがよく分かった。

コーヒーの焙煎とその味

コーヒーが焙煎されると、あとは挽かれて淹れられるだけ、だが、コーヒーの特長をより引き出そうと、焙煎の仕方も日々研究されている。


特にスペシャルティコーヒーの違いを味わうために最適の焙煎は「浅煎り」なのだそうだ。
ジョージ・ハウェルも、スペシャルティのシングルオリジンであれば浅煎りがいいと言う。
深煎りは濃いソースのように味をごまかしやすいとも言われるからだ。

収穫された豆の品質がすべてで、その後から関わるものが品質を落とすことは簡単にできても、上げるということはない。
ゴールは品質の低下を最低限におさえて、収穫時に閉じ込められた風味を引き出すことだと、2008年に全米バリスタチャンピオンにもなったG&Bコーヒーのカイル・グランヴィルも語っている。

ダリン・ダニエルは年間に数千回ものカッピングを重ねる。
それでもまだ、探しきれていない何かがあるのでは、とまだ見ぬ素晴らしいコーヒーを求めるのだ。
「コーヒーはワインに似ていて、上品だし、甘みも酸味もある。そして最良のコーヒーには、余韻の残る後味がある」


そして、より多くを味わい、より高品質なものを味わうほど、コーヒーの作り方も淹れ方も変わってくるのだという。

淹れ方

ハウェルはペーパードリップにハマっていて、その澄んだコーヒーが好きだと語る。
コーヒーに澱があると、それが味孔を塞いでしまい、風味が味わえなくなると言うのが理由だ。
コーヒーは淹れたてが熱く、この段階では香りを味わい、少し冷めるのを待つとより多くの味と色んな香りが楽しめるようになる。
淹れたては90℃、温度がさがって57度になってようやく奥行きが感じられ、幾層にも重なった味のシンフォニーが奏でられるのだという。

カリフォルニア・サンフランシスコのブルーボトルコーヒーのジェームス・フリーマンは、もともとサイフォン・バーを持ちたくてエレガントで天井が高い物件を探していたて、ようやくいまの店をオープンすることになった。
スコットランドの造船技士が発明し、日本で完成に至ったサイフォンを使った淹れ方にこだわる。


「器具はカッコよくて光も放つし、すべてが楽しい。普通の店では作り置きのコーヒーをポットから注ぐだけだが、私の店では抽出の過程を目の前で見て、美しさを鑑賞して出来たてを受け取るということで、意味合いが大きく異なります」というのがジェームスの持論だ。

エスプレッソ

アメリカでの人気のコーヒーの淹れ方はドリップだが、エスプレッソもいまだに愛好者が増えている。
日本のベアポンド・エスプレッソのオーナーである田中勝幸は「エスプレッソは飲み物じゃない。一種の麻薬ですよ」と断言する。
彼が淹れるエスプレッソは1オンスか、時には半オンスのこともあるが、量は重要ではなく、なによりも大切なのは別世界に導くことだと語る。
彼の情熱はすべて宇宙のように感じられるエスプレッソに注がれており、エスプレッソの未知なる奥深さを常に追求したいと考えている。
人の意見も、他人の流行も気にせず「セクシーであることに集中したい。コーヒーピープルはセクシーじゃないとね」という言葉が印象的だ。

全米バリスタチャンピオンシップ

バリスタ競技会はスペシャルティコーヒーが最高の腕前で提供される場。
腕に自信のあるバリスタたちが最高の1杯にかけて戦う場であり、スポーツの競技大会と同じで、好調なら勝し、不調なら負ける、という勝負の場所でもある。
競う相手はコーヒーが人生の焦点である人たちばかりだ。
なぜ自分が淹れるコーヒーは他と違うのか、ということを伝えたいと願うバリスタもいる。


そしてコアヴァ・コーヒー・ロースターズのバリスタは1人の農園の責任者のストーリーを語り始めるのだった。
「コーヒーはたくさんの人の手を経てきますが、一番大切なのは誰だと思いますか?」
ホンジュラスのマンシア農園の生産者であるデヴィッド・マンシアはこう答えたという。


「君が売る相手、消費者だよ。消費者がいるから、私は家族を食べさせて、養うことができるんだから」

コーヒー農園の農夫たちがエスプレッソを飲む

ホンジュラスの農夫のみんなに、アメリカで人気のエスプレッソスタイルで、コーヒーを味わってもらうことに。
ほとんどの農夫が、エスプレッソを飲むのが初めてというなか、濃厚なエスプレッソと、ミルクを足したカプチーノとを提供する。
恐る恐るコーヒーを飲むと、みんな少々驚いたような表情を見せながら、ニヤリと笑顔を見せるのが印象的。


バリスタが「めちゃくちゃウマい!」と感嘆の声をみなの前であげると、デヴィッド・マンシアは「おいしいのは当然だよ」と茶目っ気たっぷりの笑顔で言うのだった。

インフラの整備まで

世界最高のコーヒーの精製はフルウォッシュド(完全水洗式)だが、水が不足する地域では難しい。
水不足の影響を強く受け、コーヒーの品質にも現れたルワンダ・フイエの農場は、その現状を相談。
近くに水源があるのだが、みんなはそこまで2キロ歩いて水を汲みに行っているという状況だった。
それを知ったスタンプタウンは、農場まで水道を整備することにし、さらに地域の人たちと水道を共有することにもしたという。
実際に、地域のコミュニティへの貢献も実現させたことになる。

コーヒー界の伝説の男は日本にいた

大坊珈琲店には、38年間自分のスタイルを貫き通した、コーヒー界の伝説と呼ばれる男がいた。


ガスコンロの上で、手動の器具を回しながら豆を焙煎し、大きい和風の竹ざるに移して団扇であおぐ。


おしまれながら、2013年12月31日にその店は閉店したのだが、ブルーボトルコーヒーのオーナーのジェームス・フリーマンもかつてそこに通い、大坊の所作も含めて、そのコーヒーを愛しており、「コーヒーへの接し方にある種の魔法がある」とも言わしめるほどだった。

おいしいコーヒーを求めるなら…

買うことは意思表示。


農夫たちに体を使って手作業でおいしいコーヒーを作ってほしいなら、コーヒーが好きならお金を払う意識が必要で、おいしいコーヒーが欲しいなら選ぶべきなのである。
どこにでもある商品で、広く手に入る廉価なものだと思われがちなコーヒーだがそれは誤解。
どこにでもあってすぐに手に入るもの、それはコーヒーではないのだ。

まとめ・感想

私もコーヒーは好きで、ドリップもインスタントも、日常的に飲んでいます。
でも、私、痛感しました。
この映画の最後の締めくくりに「コーヒーは広く手に入る廉価のものだというのは誤解だ」という言葉が出てくるのですが、私、コーヒーのこと、いままでに完全に誤解していました…(涙)。

このドキュメンタリーはスペシャルティコーヒーに焦点を絞ったものではありますが、コーヒーの実を摘み取るところから精製して乾燥するまでに、どれだけの労力がかかっているのかを目の当たりにすると、コーヒー好きならちょっとそれに報いなければいけないな…と思うようになるはずです。
コピ・ルアックは1杯5000円だとか、ローソンで最近登場した『パナマ ベイビー・ゲイシャ』は通常ラインナップのものから比べるとはるかに高い値段設定の500円で販売しているけれど、専門店で飲むと1500~2000円もするんだとか…、そんな話を耳にしても、私には縁のない世界だなぁ…と思っていて、インスタントで十分!と開き直っていたんです。
ただし、インスタントだから労力がかかっていないか、といえばそんなことはなく、どんなコーヒー豆もたくさんの人の手を経て商品になっているということが分かります。
どれだけ手間がかかっているか、ということで金額が変わってくるわけで、高いコーヒーはそれなりにちゃんと理由があり、コーヒーが本当に好きなのであれば「高いから飲まない」というのではなく、「高いのには理由があるのだから、ちゃんとお金払って飲もう」という思考回路が本来であれば正しいということになります。

昔であれば、コーヒーの生産者たちはコーヒーを安く買いたたかれ、生活にも苦労していたであろうことが分かるのですが(今もそういう人たちは多いのかもしれないけど)、ちゃんと丁寧に栽培・精製をしている農園のコーヒーは、コーヒー界のトップランナーたちに評価され、直接契約を結ぶことで、生活の保障もされるようになってきているという流れは、非常にいい傾向だな、と思いました。

そんな生産者側の農夫たちが、はじめて自分たちの豆を使ったエスプレッソコーヒーを飲むシーンが印象的。
みんな、はにかみながらおそるおそる一口飲んで、ちょっと戸惑ったような表情を見せながらも笑顔になるところが微笑ましかったです。
でも、実際にはエスプレッソのダブルはちょっとキツすぎたようで、シングルを飲んでる農夫の1人が、バリスタの好みがダブルのカプチーノなのだと言うのを聞くと「これより強いのか? え、本当にこれよりも強いって?」と2度聞き返すところが、味覚の違いというか文化の違いだなぁ…と思いました。
うん、普通はエスプレッソはじめてのんで「ウマーーーーイ!」とは思いませんよね…(笑)。

ほかにもスペシャルティコーヒーの基礎知識から、コーヒー農園の苦労や、スペシャルティコーヒーを追い求める人たちの熱意などなど、コーヒーのことがもっとよく分かり、意識も変えてくれるドキュメンタリー。
惜しまれながらも閉店してしまった『大坊珈琲店』のコーヒーを淹れる所作のすべてが見られるのもステキでした(私、この店の存在は知らなかったけれど、美学をビンビン感じました)!
ぜひぜひ、コーヒー好きの人はご覧あれ!
この作品を観ると、気軽に飲んでる1杯のコーヒーに感謝すべきだと感じるようになるはずですから。

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