「不能犯」コミック7巻のあらすじ・ネタバレ・感想 〜宇相吹の闇に呑まれた人間の末路〜 | VODの殿堂

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「不能犯」コミック7巻のあらすじ・ネタバレ・感想 〜宇相吹の闇に呑まれた人間の末路〜

   
 

タイトル:「不能犯」第7巻
原作:宮月 新
漫画:神崎 裕也
登場人物:宇相吹 正、多田刑事、百々瀬刑事、夜目結夏、諏訪部警視
観覧した電子書籍:マンガボックス

赤い眼を持つ男、宇相吹は殺害依頼を受ければ立証することが出来ない方法で、依頼を遂行する不能犯です。
どのような方法で、殺害が行われるのか?

宇相吹は、自分の力が通じない人間に自身の殺害を依頼するのですが…今のところ、最後まで宇相吹の力に惑わされない人間は、表れていません。

宇相吹が、最も興味を持つ通じない人間の多田は、この先も宇相吹に惑わされる事なく、正義を貫く事ができるのでしょうか?

【あらすじ】

第42・43・44話 通じない男<前編・中編・後編>

多田と百々瀬は、宇相吹専従班に配属となり本庁へ出勤します。
しかし実際は、宇相吹専従第二班に案内されるのです。

第二班の仕事は、過去十五年内に発生した死亡事故などの全データから、宇相吹が関与した可能性があるものを割り出すだけで、実際の捜査には参加できないのです。
要は、多田と百々瀬に捜査の邪魔をさせない、という諏訪部の作戦です。

ある日、多田は気になる資料を見つけます。

【伊達春夫、元警察官で女子大生を刺殺し懲役10年の実刑判決を受けるも、精神疾患により医療刑務所で服役】
資料を見た多田は、写真の男と何処かで会っている気がするのですが、思い出せません。

多田は心理カウンセラーの結夏に「伊達春夫の事を、カウンセリングで思い出させて欲しい」と頼むのです。

結夏は多田に退行催眠と言う方法を行い、伊達は宇相吹の部屋で見たファイルの中に載っていた人物で【宇相吹の力が通じない人間】と、言う事実を知るのです。

女子大生刺殺事件では、第三者の血痕が残っていたという、唯一の疑問点があったにも関わらず、伊達は裁判で何も発言しなかった為、刑が確定したのです。

多田は田ノ上刑事と2人で、伊達に会いに行くのです。

伊達は当初、宇相吹の写真を見ても無反応でしたが、多田が諦めず伊達の元に通っていると、ある日「オレはずっと、宇相吹を追っていた…」と話し出すのです。

「友人の女を殺す依頼をした」と、聞いた伊達は、その女性のアパートに向かい、宇相吹の思い込みにより、死ぬ寸前だった女性を助けます。

そして伊達は、その場にいた宇相吹に「自分を殺してください」とナイフを渡されるのです。
宇相吹は伊達が【通じない人間】である事を分かった上で「貴方が僕を殺さなければ、僕は女性を殺す」と言います。

伊達は宇相吹を殺す選択をし、刺すのです。
しかし、「もっと深く刺して、僕を殺してください。お願いします」と言う宇相吹の眼を見た瞬間、心に迷いが出たと伊達は言うのです。
そして気付いた時には、宇相吹ではなく女性を刺していたのです。

伊達の話を聞き、多田は「一緒に宇相吹と戦って欲しい」と、涙を流し言うのです。

その頃、娘を伊達に殺害された両親が、宇相吹に殺人を依頼しています。

実は夫婦が宇相吹に依頼をするよう、諏訪部警視が裏で手を回していたのです。
女性の死に宇相吹が関わっている事を知らない両親を、利用する事を躊躇う部下に「下らない情は捨てろ、そして胸に刻め…何があろうと正義は我々にあると」と諏訪部は言うのです。

多田が何時ものように伊達を訪れていると、そこに宇相吹がやって来ます。
宇相吹は伊達に「10年前の話を、ちゃんと多田に話したのか?貴方がどんな正義を貫き、誰に恨みを買っていたか…」と言うのです。
次の瞬間、田ノ上が多田を殴り気絶させるのです。

そして田ノ上は、宇相吹に「恨み?そんな余計なことは言わず、お前は黙って伊達を殺せばいい」と言います。

昔、田ノ上は事件の証拠品から金品を盗んでいたのを、伊達に目撃されていました。
伊達は、田ノ上の不正を告発する前に、女性刺殺事件で逮捕され、精神も病んでしまった為に、その事は誰にも知られることが無かったのです。

しかし多田が現れ、伊達の目を覚まさせようとしする為、田ノ上はある方法を考ます。
その方法とは、伊達の存在を諏訪部に流す事で、諏訪部は宇相吹を使い伊達殺しを計画する、と言うもので、本当にその通りに進むのです。

その話を田ノ上が言い終えたとき、殴って気絶したはずの多田が立っているのです。

多田と思い殴ったのは、伊達だったのです。
宇相吹は「貴方が何を企んでいたか興味はないが、僕の依頼は完了です」と、伊達が死亡した事を告げるのです。

そして、伊達の事を「今は、ただの塵だ」と言う宇相吹の言葉に、多田は怒ります。
宇相吹は、怒る多田の顔を両手で包み「僕にはもう、貴方だけです」と言い消えて行くのです。

伊達は、死ぬ間際「宇相吹に勝ちたいのなら、正義のために悪になる覚悟を決めろ」と多田に言い残していました。

多田は、その言葉の意味を考えるのです。

第45話 見て見ぬフリ

昔から、見て見ぬフリが出来ない中年男性の森尾。
ある日、経営する居酒屋に、明らかに暴力を受けていると思われる女性、真奈が面接にやって来ます。

森尾は、暴力男から逃げてきた真奈を、見て見ぬフリが出来ず採用するのです。
真奈は1年が過ぎても、暴力男の恐怖から抜け出せずにいるのです。
森尾はそんな真奈を助けたい一心で、宇相吹に元カレの殺害を依頼するのです。

ある日、真奈から「森尾さんの誕生日を、一緒にお祝いしたい」と言われ、森尾の部屋で誕生日会をする約束をします。
職場の事務所でも、二人きりになれなかった真奈からの誘いに森尾は喜ぶのです。

しかし森尾は、未だ宇相吹が依頼を遂行してない事に、不安を感じます。
それを聞いた宇相吹は「標的は、もう既に見つけてはいるが、今回の依頼は場合によって殺すまでに長引く可能性がある」と言い、「僕が真奈さんでも、この事務所で二人きりになりたくない」と意味深な言葉を残し出て行くのです。

森尾がアパートに帰ると郵便物があり、事務所にあった指名手配犯のポスターが入っていたのです。

森尾は、そのポスターに驚き部屋を出ると、そこに宇相吹が立っています。

交際していた男性と警察官を殺害した指名手配犯として、真奈の顔が載っているポスターが警察官から配られた時、森尾は既に真奈に好意を持っていたのです。
森尾は、指名手配犯が真奈に似ていると思いながらも、どうしても認める事が出来ずにいたのです。

そんな森尾に、宇相吹は「それは、隔離の心理と言い、大切なものを守る為なら、いくらでも自分の心に嘘をつける事だ」と、 言います。
森尾が元カレの殺害を依頼したのも、敢えて手配書を事務所に貼っていたのも、その殺人犯が真奈さんと認めたくない裏返しの行為だと、宇相吹は話すのです。

宇相吹は「元カレは既に殺害されているので、貴方が彼女と別れて元カレになった瞬間、依頼通り貴方を殺します」と、告げます。

死にたくなければ彼女に自首を促し、共に一生添い遂げるか。
若しくは見て見ぬフリをし、生きていくか。
森尾は宇相吹に、どちらか選択を迫られます。

どちらかを選べる程、強い人間ではない森尾が出した答えとは…。

第46話 少女の夢

4人組ガールズバンドRAPPORTは、プロを目指し活動しています。
そんな中、ボーカルのマドカにだけソロデビューの話があがります。
他の三人には、レコード会社の周防が説明すると言います。

そんな事を知らない3人は、新曲の練習の話題で盛り上がるのです。

そこに宇相吹が現れ、3人が飲むジュースを手に持ち、吐き気がしなかったか聞きます。
その場にいた人を巻き込み、騒ぎ出す3人でしたが、マドカが騒ぎを収めるのです。
数日後、公園で練習中の4人の元に再度、宇相吹が現れ「依頼を受け、君たちを殺しに来た」と言います。

マドカは、周防が依頼をしたと思い込み、3人にソロデビューの話があったことを打ち明けます。
そして、宇相吹に3人を殺さない様頼みます。
そんなマドカに宇相吹は、3人がマドカの悪口を話す様子を、ボイスレコーダーで聞かせるのです。
それを聞いたマドカは、宇相吹に「依頼通り殺せば」と言います。
しかし宇相吹は「猫のえさを忘れてた」と、さっさとその場から立ち去るのです。
次の瞬間、逆上したカナとレイナが、マドカに殴る蹴るの暴行を加え殺してしまうのです。

実は、全ては一人残ったハルコが、宇相吹に依頼していた事でした。

周防がマドカにソロデビューの話をするのを聞いていたハルコは、全ての曲を作っている自分がいるからバンドが成り立っているのに…と怒りを感じていたのです。

ハルコの願い通り、ソロデビューする事になるのですが…。
その裏には、ハルコが知らなかった現実が待ち構えているのです。

第47・48話 光と闇の中で<前編・後編>

結夏は師匠である瀧医師の紹介で、スクールカウンセラーとして働いています。
瀧は、昔の明るく、自分の誕生日にプレゼントを準備してくれてた頃の結夏に、戻ってほしいと願っているのです。
宇相吹への復讐を止めさせたい、と考えている瀧は、宇相吹に会いに行きます。
そして「夜目結夏に殺されないでくれ」と依頼します。

宇相吹は「そんな依頼をする前に、夜目を説得してください」と言ます。
「それが出来れば」と、悩む瀧に「僕と遊びすぎておうちへ帰れなくなってしまった人間の哀れな姿を…」と以前、宇相吹に成りすまし殺人を犯していた保坂に、会わせる提案をするのです。

瀧は結夏を、保坂に会わせます。
保坂は、宇相吹のアパートに放火した際に負った火傷や失明などの外傷よりも、精神状態が深刻で逮捕状請求も未だされずにいるのです。

「俺は保坂じゃあねえ、宇相吹だ」と叫ぶ保坂を、瀧は「これが宇相吹の闇に呑まれた人間の末路だ」と、結夏に言います。
そしてこれ以上、宇相吹に関わらない為に「君は絶対、こうなってはいけない」と続けるのです。

しかし、妹の美冬を闇から救い出せなかった結夏は「同じ目に合っている保坂を見捨てられない」と、言い「保坂のカウンセリングをしたい」と、瀧に懇願するのです。

瀧は「宇相吹の呪縛から抜ける為」と言う結夏の言葉を信じ、保坂のカウンセリングを許可するのです。

保坂のカウンセリングを始めてから、結夏は明るくなり、保坂の状態も安定していきます。
そんなある日、瀧は自分のデスクに誕生日カードとプレゼントが、置かれているのを見つけます。
結夏からと知り、昔の彼女に戻ってきたと喜ぶのです。

結夏は、保坂の状態が良くなってきた事を理由に屋外散歩を提案します。
病院職員たちは、何の疑いもなく賛成します。
しかし結夏の本当の狙いは、保坂を使い宇相吹を殺害させる事、だったのです。

結夏は依頼人を装い、病院の屋上に宇相吹を呼び出します。

結夏は「目の見えない保坂に、催眠により、更に聴覚まで遮断させる事で、残された感覚は常人の何倍も鋭敏になる」と、宇相吹が愛用する香水を見せるのです。
そして「聴覚と視覚を奪われる事で、極度に鋭敏になった嗅覚だけを使い、保坂に宇相吹を殺害させる」と、言うのです。

その話を聞き終えた宇相吹は、慌てる事無く、瀧から依頼を受けた話をします。
そして「依頼を受ける条件で、瀧に人質になって貰っている」と言うのです。

宇相吹は「貴女が保坂と今すぐ立ち去れば、瀧は死なずに済むが、自分を殺害しようとすれば、瀧は死んでしまう」と、説明します。
結夏は悩んだ末、宇相吹殺害を選ぶのです。

保坂は宇相吹にナイフを向け走り出します。
しかし保坂が向かう先に居たのは、瀧だったのです。

保坂も瀧を刺した弾みで、階段から落ち死亡するのです。

結夏自身も自殺し、多田にも連絡がくるのです。

そして何故、屋上に瀧がやって来たのか…。
瀧は、宇相吹が置いた誕生日カードである事を知るよしもなく、メッセージ通り屋上にやって来たのです。

まとめと感想

今回も様々な方法で、依頼が遂行されました。
今までの様に、単純な思い込みで殺害されると言ったものでは無かったと思います。
しかし、これもこれで面白いなあ、と感じました。

好きになった相手が、指名手配犯と知った男性の気持ちも分からなくはないですが、そこまで思い込むことが出来るのか?、とも疑問に感じます。
しかし、そこまで誰かを好きになった事が無いからでは?と突っ込まれると、返す言葉もないですけどね。

不能犯は、【言葉であらわせない部分】と言うのが多数あるので、そう言った所はそれぞれで感じ取ってもらいたいので、機会があれば漫画を手にとって貰いたいですね。

今回、残念ながら死んでしまいますが、結夏の話も、あらすじでは本当に端折っていますから(笑)

結夏が死んでしまった事で、多田の精神状態がどうなっていくのか?刑事として真っ直ぐに宇相吹に向き合えるのか、気になります。

さて、「不能犯」映画も公開されましたね。
私自身、漫画とテレビドラマは、全て目を通しているのですが、映画はまだ観てないのです。
漫画では多田刑事は男性ですが、実写では女性刑事になっている等、漫画との違いがあるようですね。
どんな風に映画化されているのか、楽しみで仕方ありません。

早く観に行きたい気持ちは、イッパイです。
しかし、節約主婦という事と「映画はレディ―スデイに行く」と、公言している手前、その日狙いで行ってこようと思っています。
そして早く、漫画8巻が出る事を祈るのです。

 

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