タイトル:「亜人」第6巻
作者:桜井画門
登場人物:永井 圭 ・海斗 ・戸崎 優 ・下村 泉・田中 攻次 ・佐藤・オグライクヤ・中野 攻・曽我部・琴吹 武
観覧した電子書籍:マンガボックス
静かに暮らしたかった永井の思いは叶うことなく、佐藤たちと闘う運命にあるようです。
お互いにとって手を組むことが最善であると考えた永井と戸崎。
2人が手を組むことで、本当に佐藤たちを倒すことができるのか?
6巻では久々に海斗も登場してきます。
さらに、新たな亜人も出てきますがその亜人は、どのような存在なのか?
佐藤たちとの闘いも気になりますが、男の子同士の友情的なとこも見所ではないでしょうか。
【あらすじ】
FILE:25 初日
佐藤たちは亜人管理委員会のメンバーを殺害し続けている。
そんな状況の中、永井と中野は戸崎達と共に今は使われていない宿泊施設を前哨基地としこれからの戦いに備えての準備をしている。
永井と中野は、戸崎の部下である下村に会わせたい人がいると、オグライクヤのもとに連れて行かれる。
オグラは永井にIBMを出してみろと言うが、永井は「殺されてしまうからやめておいた方がいい」という。
しかし、オグラは「患者を診ないでカルテを書くことはできない、俺を殺す気でIBMを出せ」と言うのでした。
永井は、どうせIBMを出したところでオグラには見えないくせにと思いながらも指示通りにIBMをだすがオグラにはそのIBMがハッキリと見えている。
さらにオグラは永井にIBMに命令をしろと言うも、永井のIBMはまったく言うことを聞かずに中野に攻撃を与えたのです。
言うことを聞かないのは、長い間放っておいだからと言うオグラに、永井は「初めて出したのは1ヶ月くらい前だと」言うのです。
その答えにオグラは「幼少期の頃からのはず」と、永井の答えを否定するのだった。
その時、永井のIBMがオグラを襲おうとするが下村のIBMが阻止するのでした。
その様子をみたオグラは、「そのままにしておいても5分から10分で消える」と断言するが、それを聞いていた永井は、「30分もったこともあった」というのです。
その答えにオグラは驚いたように「連続で何体出したのか」と問うと、永井は「調子が良いと9体だした」と答えるのでした。
オグラは永井が異常なほどIBMが濃いと驚いたのです。
そして、亜人である期間だけが関係するのではなく、人間の自我や心の発育段階によっても変わってくると考えるのでしょう。
永井は中野とある事で喧嘩になり、戸崎の仲間達を捨て駒とし利用できるという永井に、中野は「ふざけるな、人を大切に思った事がないのか?」と詰め寄るのです。
さらに、永井の逃走を助けてくれた海斗の事をどう思っているのかと問う中野に永井は「今の状況では何の役にも立たない、メリットもない」といい、「余計な感情は状況を悪化させるだけ」と平然と言ったのです。
その答えに中野は永井に「クズ」といい、永井は中野に「バカが」と返すのでした。
そのやり取りを扉の向こうで戸崎の仲間の1人が聞いているのだが…。
FILE:26 Genius…!?
永井はオグラに「自分自身の IBMがなぜ暴力的なのか、そして何が原因なのか」と質問するが、オグラは「自立したIBMの挙動は飼い主の性質に起因する」というのです。
そして、「永井自身が人間嫌いである事が IBMを暴力的に走らせている、IBMを変えたければ自分自身を変える事だ」と永井に告げるオグラに「人は変わらない」と返す永井でした。
戸崎達が佐藤達と闘うための作戦会議を行なっている。
佐藤達が殺害すると公表した亜人管理委員会メンバーで残っているのはあと7名。
佐藤達はその中のどこかに現れるということで、待ち伏せが得策と考えた。
そして選んだのが亜人管理委員会のメンバーであり、フォージ安全の社長である甲斐 敬一と秘書の李 奈緒美が働く自社ビルである。
フォージ安全とのアポは戸崎が取ると決まるが、あとはどう戦うかという事になる。
永井は自分たちには亜人が3名と言うと、中野は女性である下村に戦いをさせる事に反対するが、そのやり取りを聞いていた下村は「嬉しいけど、迷惑。仕事をさぼる気はない」と中野の意見に反対するのでした。
喧嘩をするなよと、内心思う戸崎は休憩をとることに。
ふとその時、永井の手元の用紙に目をやると多くの作戦のメモを取っているようだ。
場所が変わり、屋外での訓練が行われている。
今村が2体のIBMを出し指示を与えるが、司令塔は一つであるため、どちらかは充分に指示を受けることができない。
オグラはその様子を永井たちに見せ、2体同時に動かすより1体ずつ使ったほうが有意義であると永井たちに教える。
他にもIBMを相殺する手段など、オグラが知りえる情報を永井たちに伝えるのだった。
永井は集団での訓練以外でも一人、佐藤達とどう戦うのか常に考えている。
その様子を見ていた、戸崎の仲間の平沢は永井に「寂しいのか?」と問う。
その質問に呆れたように返答する永井。
さらに平沢は「他人の心を一切汲まない行動を正しいとおもっているのか、変わるべきではないか?」と続ける。
その質問に永井は「僕は合理的に判断を下しているだけで変わる必要がどこにあるのか」と逆に平沢に問う。
平沢は全てを悟っているのだろう、永井に「中野は他人の信用を得るのが上手く、同じ教室にいれば中野はヒーローでお前はただの嫌なやつだが、ここは学校でない」「倫理や感情を断ち切り圧倒的な判断が必ず必要になる」と言い、それが出来るのは永井で信頼を築くという事は永井の仕事ではないと話す。
そして、「お前はそれでいい」と断言するのだった。
永井は、自分自身を理解してくれている平沢に恥ずかしそうに「自分でもわかっている」と答え、その言葉をきき立ち去ろうとする平沢に自身の父親の話をするのだった。
優秀な外科医であった父親の最大の欠点が、患者に親身になれる事だという。
「その欠点のせいで臓器売買に手を出しすべてを失った」と、「そして自分はバカじゃないから同じ失敗はしない」という永井に平沢は「頭の出来は年功序列ではない、永井の好き勝手にふるまっていいと」答える。
中野は永井に、いい感じの死に方を教えて欲しいという。
IBMを出せない中野はオグラにどうしたらIBMを出せるのか聞いた時、オグラは死にまくる事と答えた。
オグラはIBMの発現は「運」であるという。
そう言った事もあり、中野はその為に永井に死に方の方法を聞くのだった。
永井は、1番簡単で低コストである首を吊るという方法を教える。
死ぬ事を怖がっている中野は永井に怖くないのかと聞く。
永井は、「そうしなければ先に進めない、怖がる必要性もない」と真顔で答えるのだった。
FILE:27 下村 泉
時は遡って、19ヶ月前。
神戸のとある病院のベットで寝ている女性。
田井中陽子(下村泉)である。
亜人に関係する人物という事で戸崎が訪れているのだった。
医者の話ではもって1日か2日。
戸崎は亜人であればどんな状況でもリセットできるはずと考える。
その時、陽子が目を覚ます。
戸崎は陽子に、自分は亜人対策管理委員会の人間である事をつげ、亜人であると報告を受けた人に話を聞きにきていると告げる。
陽子は母親と義父と3人で暮らしている。
義父はろくに働きもせず、陽子の母親のヒモのような男。
アルバイトをしている高校生の陽子にお金を貸して欲しいというくらいのクズである。
陽子はアルバイトで貯めたお金を一人暮らしをする資金としてコツコツと貯めて、もうすぐ100万円になろうとしていた。
ある日、そのお金が通帳から全て引き出されている事に気づく。
犯人は義父である。
母親に「なぜ、あんな男と一緒にいるのか?自分だけいればいいだろ」と吐き捨てる。
家に帰った陽子は下着姿のまま手首を傷つける。
そこに義父が帰宅、陽子を襲おうとする。
抵抗した際、床に頭を打ち付けた陽子は気を失い、目を覚ました時には腕の傷も無くなっている。
不思議に思いながらも、隣の部屋で義父が母親に「陽子の身体は金になる」という話をしているのを聞き、陽子は家を飛び出す。
1人で眠る陽子の側に時々出てくる黒い物体=IBMに驚く事もなく、「あんたたまに出てくるけどいったい何なん?」と話しかけIBMに抱きしめられ眠るのだった。
陽子は1人で生活をしていたがろくな生活をしていなかったのだろう、救急車で病院に運ばれる。
そこに戸崎が訪れているということだ。
戸崎が義父と母の名前を出すと、陽子は嫌悪感を表す。
戸崎が2人とも亡くなっている事を告げると、驚きながらも陽子は「娘を売ろうとした罰、仕方ない」と口にする。
戸崎はボイスレコーダーを取り出し、陽子が知らなかった真実をきかせる。
義父が陽子を襲おうとした直後、母親が帰宅。
陽子に何かしたのか?と問い詰めている時、陽子の傷口が復活していく姿をみる。
それを見た義父は、陽子が亜人であると知り警察に電話をかける。
警察に亜人が居ると話しをする義父に母は電話を置いてと頼むが、義父は聞く耳を持たない。
止める母に義父は「よく考えろ、陽子の身体は金になる」と…。
陽子が家を飛び出す前に耳にした言葉である。
警察に電話が繋がったままだった為、この会話が警察に録音され残っていたのだった。
その直後、母親は台所にあった包丁をもち出し「俺の子が亜人」と電話で話している義父を刺しながら「あの子(陽子)は私の子よ」と呟いていた。
そして、「ごめんね」という母の最後の言葉。
義父が警察に電話をかけた時の会話が録音され残されていたのだった。
陽子は、全てを知り涙を流す。
戸崎は陽子が亜人ではないと病室を立ち去ろうとする。
その時、陽子の身体が復活していくのを目の当たりにする。
戸崎は陽子と2人だけの契約をする。
本来であれば亜人と分かれば、人体実験をされる運命にある。
それをさせないように陽子を別人として生まれ変わらせるという。
その代わり、亜人の道の脅威から戸崎自身を守る事と言うのが取引条件のようだ。
新しい名前は陽子の希望で、下村泉となる。
FILE:28 壁
場所は変わり、とある少年院。
琴吹武という少年がいる。
佐藤が亜人を召集した8月6日に少年院を脱走、2日後に自ら帰ってきたという。
帰ってきた琴吹はどうやって脱走したのかは覚えていないという。
何もなかったという事で、この事実は公にされないという判断になる。
琴吹は個室から集団部屋にうつされる。
そこには、永井の親友海斗もいる。
琴吹は脱走をしたいと考えている少年たちからどうやって脱走したのか教えるように言われるが、話そうとしない。
看守の目を盗み、琴吹に嫌がらせをする少年達をみて海斗は止めるよう声をかける。
琴吹は、そんな海斗に余計なことをするなという気持ちを込めて「お前ウザいぜ」というも、海斗はまったく気にしていない。
トイレの中で琴吹は脱走をしたい少年から暴力をうける。
琴吹は、殴るのは構わないが大事にはしないでくれと心の中で呟く。
抵抗を全くしない琴吹。
そこにまた海斗が現れ少年達を止めに入る。
そこに看守が現れその場はおさまるも、少年たちは海斗に「次、邪魔をしたら殺すと」告げる。
食堂で、海斗の目の前の席にすわる琴吹。
少年たちが脱走をしたいと言うのは明日なので、1日我慢すればいいだけの話なので、自分に関わるなと海斗に忠告をする。
そして、海斗が少年院に入った理由を知っている琴吹は海斗に「亜人の友達と逃げて、結局その友達は何かをしてくれてのか?」と問う。
海斗は「置いて行かれた」とだけ呟く。
琴吹は「与えた恩が帰ってくる事はない」と、「そして海斗が自分自身を守ったとして手にするのは降級と後遺症付きの大怪我だけである」という。
「俺にお前を助ける力があったとしても助けない」と、続ける琴吹を黙って見つめる海斗だった。
その日の夜、何が何でも脱走したい少年たちは就寝中の琴吹に暴行をする。
それに耐える琴吹。
海斗が気づかないふりをしてくれている事に、そのままでいるよう願いながら。
殴られながらあの日の事を思い出す。
少年院のテレビで佐藤が亜人召集を募っているのをみた琴吹は実際にその場にいくのだった。
そして、多くの亜人をみる。
幾体かのIBM達が、再集合である場所に行くかどうか相談をしている。
面倒だから行かないというIBMもいる。
琴吹も同じように判断し、その場から立ち去るのだった。
琴吹自身も亜人なのである。
殴られながら、その日の事を考えていると突然海斗が少年達に反撃を開始する。
あれだけ自分には関わるなと言っていた海斗が琴吹を助ける行動に出る。
琴吹はその姿を見て、こいつはバカか?と思う。そして、そうではない「超バカなんだ」と確信するのだった。
そして次の瞬間、少年たちは何者かに反撃をされ意識を失う。
海斗は薄れゆく記憶の中、その状況をみているのだった。
翌日、1人でいる海斗に琴吹が近づいてくる。
少年たちは個室行きになった事をつげ、海斗に永井圭について尋ねる。
海斗は「圭は友達だ、あいつが俺を要らないと言えば引くが、何かあれば必ず助けに行く」という。
琴吹は「お前ウザいやつだな」というが「もしこれから先、永井圭に何かあってどうしてもここから出たいという時には、1度だけこの壁から出してやる」と海斗に伝える。
琴吹のIBMには羽根をもっているのだった。
海斗は全て悟って居るかのように「分かった」と一言答えるのだった。
まとめと感想
亜人は男の子向け漫画ですが、とても面白いと思うのは闘いだけかクローズアップされていない所だと個人的には思っています。
登場人物それぞれを取り巻く人間模様というか、生活感溢れる話にも同時進行されていてちょっと泣けたり…なんて所がありますからね。
6巻に関してはその部分がおおく描かれているのではないかと感じます。
永井と中野は、戸崎達と手を組む手段を取るわけですが本来は敵同士である人たちが少しずつ距離を縮めてきている部分もあります。
色んな世界で闘ってきているからこそ、永井の気持ちも理解できる部分もあるのだと思います。
永井も自分だけが孤立していると感じていたと思いますが、徐々にそうではないのかもと感じているようです。
永井と中野は性格的には正反対の2人です。
それぞれの良い部分を理解して対応してくれようとしている、戸崎達の仲間というは永井にとってこれから先大きな存在になるのではないかと思いますね。
戸崎も、佐藤達に勝つためにはどうすればいいかと真剣に考え取り組んでいる永井の姿をみて何か心境の変化があるように見えます。
そして、戸崎の部下である下村泉ですが亜人であると言う事は初めから分かっていたのですが、どのような経緯で戸崎の下で働くようになったのか、というのは謎の部分でした。
それが今回、解明された訳です。
下村の過去には悲しいくもあり、嬉しくもある真実が隠されていました。
子供を持つ母親としては、このお話は涙なくては見れない部分でしたね。
母親でありながらも女性であり、悲しいかな女性の部分だけが出てしまう母親であったのですが最終的にはやはり母親の力が上回ったということです。
女として生きてきた時間が長かったからこそ、最後だけは母親でありたかったのかもしれませんね。
そんな事を考えるだけで目頭が熱くなってきてしまいます。
そして、もう1人の需要人物である海斗が久々に登場です。
彼を外して亜人は進んで行かないと思ってます。
そして海斗が少年院で出会う新たな友、琴吹も又亜人であるわけです。
ここでも、海斗は永井にしてきた事と同様のお節介を琴吹にするわけです。
琴吹はそんな海斗を、超バカであるという褒め言葉で表しています。
きっと、永井もそう思っていると私は信じています。
他人に恩を与えてもそれが返ってくることは無いと信じていた琴吹の想いを変えさせたのは、海斗の見て見ぬ振りは出来ない性格でした。
そして、最後に男同士の約束をするわけです。
このシーンも胸が熱くなりましたねー。
海斗はきっと琴吹も永井と同じ亜人である事に気付いている筈です。
亜人だから、という先入観のない海斗の行動はやりたくても簡単にできることではないですね。
この先、海斗は琴吹の力を借りる状況になるのでしょうか。
この辺も、要チェックであると言えますね。

日々、忙しく働くママナースです。家庭でも仕事でもストレスが多いですが、漫画やアニメを見ることで現実逃避している今日この頃…。常にダイエットをしている万年ダイエッターでもあります。
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