ある日さくらは、千春と苺鈴に「あちこちで悪戯をしているのではないか?」という疑いをかけられてしまいます。
しかしさくらはいつも別の場所で、誰かと一緒であり、さくらも身に覚えがありませんでした。
でも友達がさくらと見間違うくらい、悪戯をしている女の子はさくらそっくりらしいのです。
奈緒子から「ドッペルゲンガーではないか?」と言われ、恐怖で体を震わせます。
そしてついに、さくらは自分そっくりな女の子を目撃するのですが、どうやらクロウカードの気配がするのです。
しかし運悪く、自分そっくりな女の子に桃矢が連れて行かれてしまったのです。
さくらは無事に桃矢を助けることができるのでしょうか?
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あらすじ
【2人のさくら】
お休みの日、さくらがお使いから帰ると、庭で雪兎が桃矢の髪をカットしている。
桃矢は今貯金をしている最中で、床屋代を節約するために、髪を切ることも上手な雪兎に頼んだのだ。
(いいな!いいな!いいな!いいな!いいな!いいな!いいな!!)
大好きな雪兎に髪を切ってもらえる桃矢がうらやましくて仕方がない様子。
それに気が付いたのか、雪兎はさくらの髪も切ってくれるという。
大好きな雪兎に髪を切ってもらえたさくらは、幸せいっぱいだった。
一方そのころ、苺鈴と買い物に出ていた小狼は、商店街でさくらの後ろ姿を見かける。
さくらはたくさんのぬいぐるみが入ったワゴンの前に立っているのだが、なんとぬいぐるみの山をわざと崩したのである。
同じころ、商店街には千春と奈緒子が文房具店に買い物に来ていた。
2人を見かけたさくらは、店の中に入ると、2人の後ろにあった棚をわざと倒してして逃げて行ったのだ。
翌朝、さくらが登校すると、千春たちが微妙な表情でさくらを見つめている。
「さくらちゃん…あのね…。」
千春が言いづらそうにしていると、苺鈴が登校してきて「非行にはしっちゃだめよ!」とさくらに喝を入れる。
何の事だかわからないさくらが首を傾げていると、さくらに似た女の子が商店街で悪戯をしていると聞かされたのだ。
「さくらちゃん、昨日文房具屋さんにいた…?」
千春の問いに、さくらは首を振る。
確かにパスタを買うため商店街には出掛けたが、そのあとはずっと自宅にいたからだ。
「あれは絶対に木之本さんだったわよ!小狼も見たわよね?」
しかし苺鈴の問いには答えず、小狼はじっとさくらの顔を見つめていた。
疑いの眼差しを向けられ戸惑うさくら。
そしてチャイムが鳴り、さくらと小狼以外が教室に入っていく。
「気をつけろよ。」
小狼はそれだけ言って、教室に入っていく。
小狼の言葉の意味がわからないさくらは、ますます困惑してしまうのである。
放課後、チアリーディング部の練習中も、さくらの頭の中は自分とそっくりな女の子のことでいっぱいだった。
ぼんやりと練習に参加するさくらを、千春と奈緒子が元気づけようと声をかける。
その時、奈緒子が突然ドッペルゲンガーについて語り始める。
「それを見たらもうじき、死ぬんだって!」
笑顔でドッペルゲンガーについて語る奈緒子に、怖がりのさくらはすっかり青ざめてしまっている。
(李君の気をつけろって、そのことなのーー!?)
部活の練習が終わった千春と奈緒子が帰る途中、友枝小学校の制服を着たさくらが、再び悪戯をしている現場を目撃する。
そしてさくらも知世と一緒にアイスを食べている時、自分と同じ姿の女の子が逃げていくのも目撃してしまったのだ。
「さくらちゃーん!!」
「ほぇ…。」
ドッペルゲンガーに会ってしまったと、ショックを受けるさくらの元に、追いかけてきた千春と奈緒子が合流する。
「公園で小さい子に悪戯したの…あれ、さくらちゃん??」
千春の問いかけに、さくらは直ぐに否定。
「さくらちゃんは、私とここにいらっしゃいましたわ。ほら、これが証拠です。」
知世はさくらがもっていた、食べかけのアイスを2人に見せる。
「でも…制服着てたし…。」
さくらは、先ほど自分が見た女の子こそ、自分の姿で悪戯をしている犯人だと直感した。
【占い】
帰宅したさくらは、真っ先にケルベロスに相談を持ちかける。
「このままじゃ、ご町内で悪い子だと思われちゃうよ。」
それ以外にも、ドッペルゲンガーを見たかもしれないという恐怖で、さくらは若干パニックだった。
「見たとき怖い感じしたか?」
「ううん…怖いっていうより、変な感じ。」
ケルベロスの問いに答えつつ、ある可能性に気が付いたのだ。
「ひょっとしてクロウカードの仕業?」
「よっしゃ!占いしてみるか。丁度ええ機会や。クロウカード使こうた占いの仕方、教えといたる。」
そう言って、ケルベロスはこれまで集めたクロウカードを机に置かせる。
そして左手でカードを混ぜ、再び山を作り、3つの山に分けるように指示を出す。
今度は好きな順番で、3つの山を1つに戻すように指示。
「ほんなら今度は、好きなカードを1枚ずつ引きながら、順に並べる。」
そしてケルベロスは、さくらに目を閉じ呪文を唱えるように指示を出した。
「クロウの作りしカードよ、我が問いかけに答えよ。我が前に立ちふさがりし者の真の姿を示せ。」
さくらの声に従い、クロウカードは光を放つ。
「よっしゃ、一番上のカード捲って。」
ケルベロスに言われるまま、さくらがカードを捲ると、【風】の姿があった。
「やっぱり!カードにさくらのこと伝わっとる!!」
【風】は伝達や情報を示すカードで、さくらがクロウカードを封印していることに気が付いたカードがいることを示していた。
「じゃあ、やっぱりあの子もクロウカードなの?」
「その可能性が高いな。」
次にケルベロスは、中央にある3枚を捲らせる。
そこには【影】【水】【幻】が並んでいた。
どうやら、さくらの姿を借りたクロウカードは、この3枚から連想できるクロウカードらしい。
「で、最後。残ったカードの一番下を見てみぃ。」
「何がわかるの?」
「今カードが狙てるもん。」
現れたのは【花】のカードだ。
「花…。」
「お兄ちゃん!!」
さくらは桃矢を守るため、慌てて家の外に飛び出していく。
「兄ちゃんのおる場所わかるんか?」
「なんとなく!なんとなくだけど、こっちだと思う!!」
(さくらの魔力、また強なっとるな…。)
さくらの予感は的中し、桃矢はすでにクロウカードが化けたさくらと一緒にいた。
ニコニコと笑う偽さくらは、桃矢を林の中へ誘っていく。
どうやら落し物をしたと、桃矢を騙しているようだ。
「っ!!」
林の中に辿りついたさくらが足を止める。
「どなんした!!」
「だめ!カードの気配、わかんなくなっちゃったの!!」
周囲には誰もいないはずなのに、たくさんの人の気配や、よくない物の気配がするらしく、それらに紛れてクロウカードの気配を見失ってしまったのだ。
桃矢のピンチに、さくらは焦りを隠せない。
「どうしよう…。」
ついにさくらは泣きだしてしまったが、そこへクロウカードの気配を追ってきた小狼と合流することができたのだ。
さくらは小狼の持つ、羅針盤に視線を向ける。
「お願い!それでお兄ちゃんを見つけて!!」
【鏡ーミラーー】
偽さくらの謀りで、桃矢は高い崖から足を滑らせていた。
なんとか岩にしがみついていたものの、ついに手をすべらせて崖の下へ落ちていく。
偽さくらが桃矢が落ちた場所に行くと、桃矢は足を怪我したようで、岩壁に体を預けていた。
「で、落し物どこだって?」
桃矢の言葉に、偽さくらは目を見開いた。
「あのな…落し物ちゃんと探すから、さくらの姿でいるの、勘弁してくれねぇか?」
桃矢は、さくらではないことに気が付いていたのだ。
その上で、偽さくらが言う「落し物」の捜索を手伝っていたのである。
「どうも…あいつが幽霊になったみたいで…あんまいい気分じゃねぇんだ…。」
そう言う桃矢の手は、カタカタと震えていた。
「この林には、結構いるからな。なんかこの世にまだ用があるらしいのが…。」
それを知っていたからこそ、桃矢は偽さくらがいう落し物を探して、天国に逝ける手伝いをしてくれていたのだ。
「俺の母さんもいるから…よろしく言っといてくれ。」
偽さくらに語りかけてすぐ、桃矢は気を失ってしまった。
桃矢の言葉に、偽さくらは眉を寄せる。
その頃、さくらは小狼の羅針盤が示した方向へ走っていた。
「その下だ!!」
小狼の言葉に従い、さくらは【翔】を使って崖の下に飛んでいく。
そして崖の下で意識を失った桃矢を発見したのである。
「お兄ちゃんに怪我をさせたな!!」
さくらは怒りにまかせてクロウカードを使用する。
「ウィンディ!!」
【風】で偽さくらを捕まえようとするが、なぜか【風】は通り抜けてしまう。
「さくら!攻撃カード使うてみ!」
さくらは次に【水】と取り出すも、やはり偽さくらを通り抜けてしまう。
「やっぱり!呪縛のカードも、攻撃カードも効かんちゅうことは、こいつ特殊カードや!」
特殊カードとは、通常の方法で元の姿に戻せないクロウカードのことである。
元の姿に戻すためには、クロウカードの正体を言い当てなければいけなかった。
さくらに睨み付けられる偽さくらは、申し訳なさそうな顔をしていた。
『あなたが妹ね…。』
「そうよ!お兄ちゃんにひどいことして…っ。」
偽さくらは目を閉じ、まるで断罪されるのを待っているようだ。
さくらは一生懸命クロウカードの正体を考える。
先ほどの占いでは、【影】【水】【幻】のカードが示されていた。
(3つのカードから思いつくもの…っ!?)
さくらが偽さくらに目を向けると、さくらと同じポーズをして佇んでいる。
そしてさくらが驚いて一歩足を下げると、偽さくらも同じように足を一歩下げた。
(同じような動きをするシャドウ…色んなものを映し出すウォーティー…でも本物はないイリュージョン…。)
さくらは占いが示した答えに辿りつく。
「あなたは【鏡ーミラーー】のカードね!!」
さくらに正体を暴かれた偽さくらは、【鏡】の姿に戻った。
【鏡】は桃矢に「ごめんなさい。」と呟いて涙をハラハラと零している。
その行動にさくらは戸惑った表情を浮かべるも、すぐに眉をキッと吊り上げて杖を構える。
「汝のあるべき姿に戻れ!クロウカード!!」
【鏡】を無事に封印したさくらは、すぐに気を失う桃矢に駆け寄っていった。
【災い】
足を骨折した桃矢に、さくらは「ごめんね。」と謝罪。
桃矢は首をかしげるが、さくらは何も言わず「ごめんね。」と続けるだけだった。
さくらは自分がクロウカードを集めていることを知られ、これからも周囲を危険な目に合わせることを心配していた。
「ねぇ…ケロちゃんが最初に会ったとき言ってたよね?『クロウカードの封印が解かれるとき、この世に災いが訪れる』って。その災いって何?」
さくらが問いかけるが、ケルベロスは災いの内容は教えてくれなかった。
とりあえず、地球が爆発するような災いではないらしい。
「人によっちゃあ、災いでもなんでもないかもしれん。」
ケルベロスの言葉に、さくらはホッと笑みを浮かべる。
「私、一生懸命カード集めるよ。カードが悪い事しないように、絶対全部集めるよ!」
「さくらやったら大丈夫や!」
ケルベロスの言葉を聞いたさくらはしっかり頷き、桃矢の部屋に飲み物を運びに行く。
「けど…人によっちゃあ地球がドッカンするより…辛いことかもしれんな…。」
感想
まずは今回登場したクロウカードを使った占いについて触れていこうと思います。
小学生の時、ちょうどタロット占いが流行っていた時期で、クロウカードを使った占いも好きな女の子多かったんですよ。
確かクロウカード編が最終回を迎えるころに、すべてのクロウカードが入った本が発売されました。
ただすごくお値段が高かったので、私はクリスマスプレゼントと誕生日プレゼントのあわせ技で買ってもらいました。
そしてクリアカード編がなかよしで連載されるようになり、クロウカードの復刻版が発売されました。
当時買ってもらえなかった子供たちが、我先にと購入したそうですよ。
ちなみに私も購入しましたが、一度封を切っただけで、再び袋に入れて玄関に飾ってあります。
そして本編、ドッペルゲンガーの正体は【鏡】のクロウカードでした。
桃矢は最初から正体に気が付いていて、さくらのために【鏡】の願いを聞いていたのです。
やっぱり桃矢はいいお兄ちゃんですね。
誰よりも妹を愛し、妹をまかせてもいいと思える人が現れるまで、桃矢はさくらを守り続けるのでしょう。
【鏡】も悪い子ではないのですが、今回はやり過ぎてしまいましたね。
しかし【鏡】にも、そうしなければならない事情があったのですが、それはクロウカード編の最終回までのお楽しみです。
ですが、ドッペルゲンガーに会ったら死ぬという迷信ですが、実際自分のそっくりさんに遭遇したら、驚きすぎて心臓発作で死んでしまうような気がします(笑)
幽霊よりも、そっくりな自分の方が絶対に心臓に悪いでしょうね。
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