タイトル:魔法使いの嫁 第4話 ーEverything must have a beginning.ー
放送局:TOKYO MX、MBSほか
アニメーション制作:Lerche
キャスト:羽鳥チセ:種﨑敦美/エリアス:竹内良太/ルツ:内山昂輝/シルキー:遠藤綾
視聴したVOD:dアニメストア(2017年12月25日時点では閲覧可)
教会から与えられたペナルティを片付けるため、ウルタールを訪れたチセとエリアスを出迎えたのは、たくさんの猫たちでした。
猫の王に目的地へ案内される途中、ウルタールで起こった悲劇を語り始めます。
たった一人の男によって、殺されたたくさんの猫。
そしてその男を殺した残された猫。
それによって生まれた澱みを、猫の王は代々封印してきたのですが、最近澱みの動きが活発化しているそうなのです。
猫の王は教会に要請して、澱みを浄化してもらおうと考えます。
そして派遣されたのが、チセとエリアスでした。
しかし泉の澱みは簡単に浄化できないようで、何者かがチセとエリアスを邪魔しようと動いている人物がいました。
果たしてチセとエリアスは無事に澱みを浄化することができるのでしょうか?
2人を邪魔する者の正体と、澱みに秘められた過去に隠されたこととはいったいどのようなものなのでしょうか?
『魔法使いの嫁』配信先一覧 | |||
動画配信サービス | 配信状況 | 見放題 | 配信先 |
---|---|---|---|
U-NEXT | ![]() |
![]() |
視聴ページ |
hulu | ![]() |
![]() |
視聴ページ |
dTV | ![]() |
||
Amazonプライム・ビデオ | ![]() |
![]() |
視聴ページ |
あらすじ
【列車の旅】
(猫の…鳴く声がする…。)
ベッドの上で、猫を撫でる女性の姿が見える。
『ねぇお前、猫の命は9つもあるんでしょう?そんなにたくさんあるなら、1つくらい私にくれてもいいんじゃないかしら。』エリアスの膝の上で眠っていたチセが目を覚ます。
竜の国で倒れた後、ずっと眠っていたチセが目を覚ました場所は列車の中だった。
(そんなに疲れてたかな…。)
長く眠っていたことに驚くチセ。
二人は既に教会から渡されたペナルティー、エリアス曰く「2つ目のハニームーン先。」へ向かっている途中だった。
そこにトカゲのような姿をした乗務員がやってきて、目的地から使いの者がやってきたそうだ。
どうやらこの列車は人間用ではないらしく、現れた使いの者も猫だった。
「お初に御目文字いたします。魔法使い殿。」コンパートメントに足を踏み入れた猫は、スルリとチセの膝の上に体を横たえる。
「喋った…。」
猫がすらすらと喋る様子に、チセは唖然と猫を見つめていた。
「1つ目や3つ目ならいざしらず、私などは7つ目ですから、喋れない方がどうかしてます。」
猫の言葉にチセが首をかしげていると、エリアスが口を挟んだ。
「聞いたことはないかい?猫には9つの命があるってね。」
「9つの命…?」
「その通り。我ら猫は、命を経るごとに賢くなります。国を理解し、我らの王を掲げる程。」
「我らの猫の王がウルタールにてお待ちです。魔法使い殿。」
【ウルタール】
長閑な田舎町に到着した2人は、猫に案内されるまま歩き続ける。
行く時々に猫の姿があり、2人のことを観察しているようだった。
ウルタールは猫を好きな人が多いので、自然と猫が多くなり、猫の国を作ることができたそうだ。
その時、一匹の猫がチセに飛びついてきた。
どうやら猫の王の命令で、二人を迎えに来た猫のようだ。
「おめぇ懐かしい匂いがすんな。昔よくいた魔法使いと似た匂いが…っ。」
チセに抱っこされた猫は、クンクンとチセの匂いを嗅ぎながらそう言うと、エリアスに掴み上げられた。
「口が軽いケダモノだな。」
「なんでぇ!刺々しいな、茨の魔法使い。心配しなくても嫁っこに爪なんざ立てやしねぇよ。」
猫の言葉を聞いたチセは、渋い顔で「猫にまで知られてるの…?」と言葉を発する。
猫の噂話は1日100マイルを彷徨うらしく、地球の裏にだってあっという間に届いてしまうそうだ。
再び猫の案内でウルタールを歩くチセは、前からやってきた赤いパーカーの人物を避ける。
視線を感じたチセは、赤いパーカーの人物の方へ振り返った。
(今…こっちを見てた…。)
【王様】
「そういえば、王様はどこにいるの?」
ウルタールを歩きながら、先導する猫に問いかけると、すでに猫の王はチセの隣に立っていた。
「こんにちは魔法使い。そしてお弟子さん。」
「あなたが、猫の王様?」
「えぇ。私はモリィと申します。」
猫の王、モリィはチセを見て「この偏屈な方と番になるなんて、物好きなお方と思っておりましたの。」と言葉を発する。
その言葉にがっくりと肩を落とすチセ。
モリィは2人を歓迎しながら、やってきたのが魔術師でなくてよかったと安堵していた。
猫たちは魔術師が大嫌いで、狡猾な卑しい無法者だと罵った。
「お姉ちゃん誰?」
モリィが本題に入ろうとした時、塀の奥から女の子が一人現れる。
「うちの前で立ち止まって、誰をお話ししてたの?」
その言葉にチセが周りを見渡すと、エリアスの姿がない。
チセは青ざめながら、「可愛い猫が壁にいるなって…。」と、当たり障りのない言葉を返す。「その子うちの子なの!とっても綺麗でしょ!」
どうやらモリィの飼い主らしく、生まれたときから見ているモリィから見れば、娘のような存在らしい。
女の子はモリィに言葉をかけた後、家の中に戻っていった。
ふとチセが気配を感じて下を見ると、エリアスがチセの影の中に潜んでいた。
子供という生き物は、魔力がなくても本質を見る力が強いので、嫌いなんだそうだ。
「ちょうどいい。このままちょっと調べてくる。」
何か嫌な気配を察知したエリアスは、チセを置いてどこかへ行ってしまった。
取り残されたチセは、モリィの案内である場所へ向かうことに。
【澱み】
モリィの案内で森の中を歩いて行くチセ。
「遠い昔、9つ命を持つ我々でさえも語り継げないほど遠い昔。この地には我々を殺すことを楽しむ者がいました。」
どこへ隠れても、猫を見つけ出して殺していった者の命を終わらせたのが、初めの猫の王だったそうだ。
初めの猫の王は残された猫と共に、その者に襲い掛かり、すべてを食らいつくしたのである。
「崇敬を受ける代わりに、いくつもの命を使って、永久に澱みを縫い止めるのが、代々の猫の王の役目です。」
辿りついた泉の真ん中にある浮島。
猫の言葉に従って、じっと目を凝らしてみると何かドロドロしたものがあふれ出しそうになっていることはわかった。「あれは穢れ。浄化されない魂の澱みです。最近になって、あの澱みが出てこようとしてるのです。猫であろうが人であろうが、関係なく妄執によって命を奪おうとするもの。」
モリィは、自分が死んでもいいから、あれが出てくることだけは防ぎたい。
子供のように愛している女の子がいる町に、あの澱みが解き放たれるわけにはいかないのだ。
「己の子を守らない母がいるでしょうか?少なくとも私には、考えられない事ですわ。」
モリィの言葉に、チセの脳裏に微笑みを浮かべる母の姿が浮かんで消えた。
【泉の中】
急にチセの腕が掴まれた。
先ほどウルタールの街ですれ違った赤いパーカーの人物だ。
目くらましのような強い光が起こったあと、チセはなぜか湖の上にいた。
「悪く思わないでくれ。」そう言って赤いパーカーの人物は、チセを湖の中に突き落とし、再び強い光が起こったあと姿を消してしまった。
暗い湖の沈んでいくチセに、何者かが手を伸ばし、チセの脳裏に過去の出来事が蘇った。
ベットで編み物をする女性ミナの横には白い猫がいた。
そこのマシューという名の男が帰ってきて、ミナに小さな花を手渡した。
「今町の方に、流しの魔術師が来ているらしいんだ。いい薬でもないか、少し話を聞いてくるよ。」
マシューは体が弱いミナのために、いい薬がないか、ずっと探しているようだった。
再び出かけていくマシューを見送るミナは、ベッドに横たわりながら猫に言葉をかける。
「本当に…猫みたいに命が9つあればよかったのに。」泉の中で意識を取り戻したチセは、澱みの中に佇むミナを見つけた。
「これは私の罪。あの人がくれる愛の上に胡坐をかいてしまった罰。」
ミナの周りには、澱みが纏わりついている。
「私のせいで、この人は…こんなにも醜いもの成り果ててしまった。」
澱みの正体は、ミナの夫マシューだった。
澱みの核になってしまったミナを、マシューは決して離そうとはしない。
ミナはチセの頬に手を伸ばして微笑んでいる。
「お願い…この人を…私を…。」
「待って…私はまだ何も…っ。」
【覚悟】
エリアスの声に反応するチセ。
どうやら泉の中から救い出されたらしい。
チセの服を乾かしながら、事態の報告を受けるエリアスは、「誰かさんが僕らの邪魔をしているみたいだ。」と言いながらチセに手を伸ばす。
「ゆっくり休ませてあげたい所だけどチセ。君にやってもらいたい事ができた。」
エリアスは泉の澱みを見つめながら、チセに澱みを浄化してほしいと頼んできた。
再び封印することもできるそうだが、それでは問題を先延ばしにするだけで、何の解決にもならない。
そのため、エリアスはチセに浄化の魔法を使うように言ったのだ。
チセの脳裏に、ミナが言った最後の言葉が蘇る。
(もしできなかったら、幻滅されるだろうか…。)
まだちゃんと魔法を使ったことがないチセに不安が募るが、覚悟を決めてエリアスに向き直った。
「エリアスができるって言うのなら…やります。」
猫の王は、できうる限りの人払いを約束。
決行は夜に決まった。
その様子を、あの赤いパーカーの人物と、コートの男が見ていた。
【世界を愛する】
夜になり、チセとエリアスは再び泉の前に立った。
「本来なら自分の呪文と杖が必要なんだけれど、今回は仕方ない…。」
白い装束を着たチセの手には、葉のついた木の枝が握られていた。
そしてエリアスの肩には、風の妖精エアリアルの姿がある。
エリアスとしては、先日の一件もあるので、エアリアルに頼るのは嫌だったそうだが、今回の件に関してはエアリアルの力が適していたそうだ。
「そう言えば…なんでエリアスじゃなくて私なんですか?」
魔法を使ったことがないチセよりも、エリアスの方が適任ではないかとチセは思っていた。
しかし本性が影であるエリアスは、浄化魔法などは相性が悪くて苦手らしい。
そのためまだ魔法を習っていないけれど、浄化魔法と相性がよさそうなチセが決行することになったのである。
「大丈夫だよチセ。君は、心の中で思い描くだけでいい。春先の強い風で、冷たい冬の全てが吹き飛ばされていくように、あれが消える事を願えばいい。そうすればエアリエルが導いてくれる。」「はい…。」
チセはスッとエリアスを見つめる。
「チセ。世界を愛するんだ。君のいる世界は、君の味方じゃなかったかもしれない。でも敵ではない。君の鍵はもう銀の錠に差し込まれている。後は開けるだけさ。」
突風が吹いて、チセのフードが飛ばされた。
エリアスがフードを直しながら、「知人の受け売りだけどね。」と言葉を発する。
「エリアスは…ここを愛してますか?」
チセの問いかけに、エリアスは少し間を開けてから、「そうだね。」と是とも否とも取れない言葉をこぼした。
そして灯りを持ったチセは、水面を進んでいく。シャラン、シャランとチセが足に付けた鈴が鳴る。
(もしできなかったら、幻滅されるだろうか…でも…。)
『この人を…私を…殺して。』
脳裏にミナの言葉が蘇る。
(あんなに静かな声で、なぜあの人はあんなことを言ったんだろう。なぜ…あの二人はあんなになってしまったんだろう…。)
チセが澱みの前に立った。
澱みの大きさに動揺するチセを、エアリアルが励ます。
「消す…しか…ないのかな…。」
【魔術師】
その時、チセの首元にナイフがあてられる。
昼間の赤いパーカーの人物に、背後から襲われたのだ。
「動かないでくれると助かる。」
「昼間の…っ、エアリエル!!」
エアリエルはコートの男に掴まって、苦しそうにうめき声をあげていた。
「すまないね。それには利用価値があるのでね。消されると困るんだ。」
「道理で嗅ぎ慣れない匂いだったわけだ、レンフレッド。」
「お前が俺の名前を憶えていたとはな。随分目をかけているみたいだな。やはり彼女が大事な実験体だからか?【裂き喰らう城(ピルム・ムーリアリス)】」
レンフレッドと呼ばれた男は、エリアスの知り合いだった。
チセはレンフレッドが言った【実験体】という言葉に反応する。
「チセ!こいつらの言うことなんて聞いちゃダメ…っ、あぁっ!!」
エアリエルがチセに声をかけるが、レンフレッドに強く握られて叫び声を上げる。
レンフレッドは、隣人が苦手な鉄の糸で編まれた手袋を装着していたのだ。
「エアリエル!!魔法使いがなんでそんなことを!!」
「魔法使い…?勘違いをしているようだが、私は魔術師でね。可哀そうに…妖精にまで騙されているのか。」
チセの言葉を聞いたレンフレッドは、とても同情的な声を出す。
「騙してなんかいない。僕らは嘘を好まない。」
「そうだな。お前達は真実を黙するだけだ。そうやって憐れな子供を己の好奇心のためだけに首輪でつないで利用しようとしている。」
赤いパーカーの人物に拘束されたまま、チセは茫然と二人を見つめる。
「彼女に伝えたらどうだ?【夜の愛し仔(スレイ・ベガ)】の末路を。遠からず訪れる、その死を。」
「死ぬ…?私が…?」
感想
第4話で登場したウルタールといえば、クトゥルフ神話を思い浮かべる人はとても多いのではないでしょうか?
魔法使いの嫁の作者は、神話やファンタジーに関する知識がとても豊富で、隣人と呼ばれる妖精たちの設定にも元ネタがあり、かなり作りこまれています。
アニメもその原作をしっかり研究しているので、さらに魔法使いの嫁を楽しめるのです。
そして魔法使いの嫁の台詞は、とても厳しくて、難しいけれど、美しいと思いませんか?
澱みに向かうチセに向かって、エリアスは「世界を愛するんだ。」と言いました。
その時の言葉は、チセにとって非常に厳しい言葉でしたが、それでも私は美しい言葉だと思います。
猫の国を訪れたチセは、エリアスに言われて澱みを浄化することになりましたが、魔術師たちの邪魔が入りました。
赤いパーカーの人物、名前をアリスというのですが、原作以上に少年っぽく描かれていましたね。
リンデルの時も思いましたが、アニメになるとみんな凛々しくなるのかもしれません。
エリアスと旧知の仲であるレンフレッドには、澱みを浄化されては困る理由があるのですが、そこは来週知ることができます。
それ以上に気になるのは、チセが死ぬということではないでしょうか?
夜の愛し仔(スレイ・ベガ)】が貴重だと言われる理由は、ここにあります。
もともと【夜の愛し仔(スレイ・ベガ)】として生まれる人間が少ないのに、【夜の愛し仔(スレイ・ベガ)】の特性のせいで彼らは非常に短命だったのです。
ただでさえ人間不信のチセが、いい人だと思っていたエリアスにまで嘘をつかれていたと考えてしまったら、どうなってしまうのか気になりませんか?
その答えは次回明らかになるのですが、原作を読んでいたとき、ある意味でチセは狂っているけど、エリアスにはお似合いのお嫁さんなのかもしれないと思いました。
次回はいよいよ澱みの浄化に取り掛かるのですが、原作でも美しいと感じたシーンを、アニメではどのように表現するのか楽しみです。

小学生と幼児のママ。常に娘のコスネタを模索中。育児のストレスはアニメ鑑賞と妄想でリカバリー中。今のブームは型月&刀剣乱舞。
この記事へのコメントはありません。