タイトル:キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series『優しい国』
放送局:AT-Xほか
放送期間:2017年10月6日~12月22日
アニメーション制作:Lerche
キャスト:キノ:悠木 碧/エルメス:斉藤壮馬/シズ:梅原裕一郎/陸:松田健一郎/ティー:佐倉綾音/師匠:Lynn/相棒:興津和幸 ほか
視聴したVOD:dアニメストア(2017年12月18日時点では無制限で見放題)
これまで出会った旅人は口々に「あんな国に近づくのも嫌だ。」「早くなくなってしまえ。」と言った評判の悪い国があります。
キノはみんなが「ひどい国だった。」と言うから、はたしてどれほどひどい国なのか気になりました。
そしてその国を訪れるのですが、評判とは違って国民たちはキノを温かく出迎えるのです。
さらに国を案内する係として、一人の女の子が立候補しました。
その女の子の名前は「さくら」。
キノはさくらの案内で、穏やかな国の中で楽しい3日間を過ごします。
そして3日目に、キノは真実を知るのです。
キノを温かく出迎えた国が、何故ひどい国と言われていたのでしょう?
そしてその国の真実とはいったい、どのようなものなのでしょうか?
エピソードランキング1位の「優しい国」。
涙なくして見ることはできません。
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あらすじ
【評判が悪い国?】
山道を走りながら、キノはエルメスにこれから向かう国のことを話しはじめた。
どうやらその国は、旅人にとても評判が悪い国だそうだ。
「なくなってしまえばいい。」とまで言われる国に向かう必要はないのではないかと、エルメスは止めるが、キノはそんな国だからこそ興味がわいたのだ。
「景色は綺麗じゃん。」高台から見える景色に、エルメスが言った。
「あぁ。でも住んでいる人はどうだか、ここからはわからない。」
「だね。じゃあ行こう。とっても思い出深い、一生忘れられない国になるかもよ!」
「だといいね。」
キノはエルメスを走らせ、旅人に評判が悪い国へと入国する。
【歓迎する国民たち】
城門を警備する兵士たちは、眉を寄せ迷惑そうにキノに滞在期間を訪ねる。
「3日間。つまり、明後日までいられたらと思ってますが…。」
キノが3日間の滞在を告げると、兵士たちは一様にほっとしたような笑みを浮かべる。
そして特に持ち物検査も行わず、キノを歓迎する言葉を述べて城門を開けたのだ。
旅人から聞いていた話と違う様子に、エルメスは「国を間違えたのでは?」と心配するが、キノは間違えていないという。
城門を抜けると国の人々が集まっていて、キノを皆が歓迎していた。「別の国だ。絶対別の国にきた。」
「そんなことはない…たぶん。」
エルメスの言葉を聞いたキノは、ムッとしながらエルメスに反論するが、旅人達の話と違う歓迎ムードに少し自信を無くしてしまっていた。
とにかくキノは国民たちに歓迎に対するお礼を言って、値段があまり高くなく、シャワー付きで、モトラドを1台止めることが出来るホテルがある場所を質問する。
すると国民たちは、次々にオススメのホテルを紹介しようと口を開く。
「うちがそうだよ!!」
そんな時、一人の女の子が声を上げ、キノの前に進み出る。
「こんにちわ、旅人さん。私さくらっていいます。」さくらの両親はホテルを経営しているそうだ。
キノはそのホテルに向かうことに決め、さくらに案内をお願いする。
【名前】
ホテルまでの道のりを歩く途中、キノはすれ違う国民すべてに歓迎されていた。
「ねぇキノさん。キノってお名前、短くて響きが良くて、とっても素敵ですね!」
「ありがとう。僕も昔そう思ったよ。」
さくらの言葉に、キノは不思議な返答をする。
「昔?今は?」
「今もそう思ってる。良い名前だって。でもさくらって名前も響きが良いね。どんな意味?」
「お花の名前。春に咲く、ピンクの綺麗な花。」
さくらは少し顔を赤らめながら、自分の名前の意味をキノに話す。
「でも友達からは、『オクラー』とか『ねくらー』とかからかわれるんですよ。やんなっちゃう。」
ふくれっ面になるさくらに対し、キノは何か思い当たる節がある様子だ。
「どうしたのキノ?」
キノの変化を敏感に感じ取ったエルメスが声をかける。
「なんでもない。…説明できるようなものじゃないよ。」
【パースエイダー・スミス】
ホテルに到着したキノは、さくらに両親を紹介される。
さくらの両親は、ホテル周辺の観光案内人も兼任しているそうだ。
さくらに案内された部屋は、1階のドアが広い部屋だった。
部屋もとても広く、キノはとても満足するのだが、改めて前評判との違いに驚きを隠せない様子だ。
「キノさん、私にこの国を案内させて下さい。」
さくらの申し出に、キノは感謝の言葉を述べ、案内をお願いする。
「この道をまっすぐ??」
「はい!南通りのパースエイダー・スミスは腕がいいと評判なんです!」
キノはエルメスの後ろにさくらを乗せて、パースエイダーショップに出掛ける。
パースエイダー・スミスに到着すると、キノはリボルバー式のパースエイダー・カノンを店主に手渡す。
カノンを受け取った店主は、じっくりと状態を観察。「あー…わかった。だいぶガタがあるようだから、フレームから見てみる。必要ならパーツを換えるし、1日ぐらい掛かる。」
店主の言葉を聞いたキノは、明日来ることを伝えてパースエイダー・スミスを後にする。
「驚いたよ。ほんとに驚いた。」
「長生きはするものだなぁ。」
カノンを大切に握り、店主は1人呟いた。
【この国の歴史】
さくらの案内でやってきたのは、公園だった。
公園では子供たちに国の歴史を教えるための劇が行われていた。
劇は途中だったが、旅人のキノのためにもう一度最初からやり直すことになった。
キノは流石に申し訳ないと、断ろうとするが、観劇していた人々が同意したことで劇は最初から行われることに決まった。
「…ありがとうございます。」
想像以上の歓迎ぶりに、キノは思わず顔を赤らめてお礼を告げた。
実はこの国の人々は、もともと遠くの国で迫害された人々が長い放浪の果てに築いた国だった。
放浪の旅の中迷い込んだ森は、一見とても恐ろしい森に見えましたが、森の恵みも豊かで、動物たちもいること、なにより自分たちを嫌うものがいないことから、永住する場所に決めたのだった。
「それから数え切れないほどの時が流れ…そしてね、私が今ここにいるの。その流れの先頭にいるの。」劇が終わったあと、キノはバーベキューに参加していた。
肉を焼くキノに、さくらは「キノさん、料理上手なんですね!」と尊敬のまなざしを向ける。
周囲にいた人々も、キノの手際の良さに感嘆の声を上げていた。
「キノ、焼くだけだからね!味付け禁止だよ!」
ただ1台、エルメスだけはキノに注意を促している。
その時1人の女性がキノに近づいて、キノの服が汚れてしまわないように、可愛らしいエプロンを差し出した。
「ありがとうございます。」
「とってもお似合いです。キノさん!」さくらの褒め言葉と可愛らしいデザインのエプロンに、キノは頬を赤らめていた。
「なんか楽しそうじゃん。」
そんな様子を見ていたエルメスは、ひっそりと呟いた。
【森の人】
翌朝、朝の鍛錬を終えたキノは、エルメスを起こしてカノンを受け取るため、パースエイダー・スミスを訪れる。
カノンの具合を確認したキノは、初めてカノンを手に入れた時以上の仕上がりに驚きの声を上げる。
キノは代金を尋ねるが、店主は代金は必要ないと告げ、その代わりと言わんばかりにキノにある質問をする。
「昔、自分の教え子には【師匠】と呼ばせている、凄腕のパースエイダー使いがいた。旅人で、あちこちの国でトラブルに首を突っ込んでは睨まれたり、感謝されたりした。…大分前の話だ。その人のこと…知らないかな?」
キノは少しだけ間を置いて、「いいえ、知りません。」と答える。
その答えを聞いた店主は、フッと笑みを浮かべて「わかった。」と言葉を返した。
それから、店主は木箱を取りだし、キノの前に置いた。
「誕生当時は【森の人】と呼ばれた。コイツを旅人さんに使って欲しい。」
「コイツは昔…私が旅をしていた時、何度も身を守ってくれた。でももう何十年も使っていない…私は年を取ったし、旅にも出ない。」
「コイツはまだまだ使える。私と一緒に朽ち果てさせるのは惜しい。昔みたいに、コイツに旅をさせてやりたいんだ。受け取ってくれるね?」
店主の真剣な眼差しを受けたキノは、「わかりました。使わせてもらいます。」と森の人を譲り受けることを承諾。
キノの言葉を聞いた店主は、ニッと口角をあげて立ち上がる。
「よっしゃ!そうこなくっちゃな!ついてこい、まずは試し撃ちだ!クセを教えてやる。ホルスターもグリップも、弄ってやらないとな!さあ!」店主は子供のように目を輝かせ、キノに森の人を譲ったのだ。
【さくらの夢】
森の人を受け取ったキノを待っていたさくらは、最後にもう一カ所案内したい場所があると言って、見晴のいい高台へキノとエルメスを案内する。
そこはいつかお客さんが来たら、案内しようと、さくらが考えていた場所だった。
「キノさんたちが最初です!」
屈託のない笑顔を浮かべるさくら。
さくらは将来、両親の後を継いで、立派なホテルの支配人と観光案内になりたいそうだ。
「なれるさ。いや、もうすでに立派な案内人だよ。この2日間、僕はとっても楽しかった。」
「上に同じ。こんな素敵な国には、こんな素敵なガイドさんが似合うね。」
1人と1台の褒め言葉に、さくらは嬉しそうに「ありがとう。」と感謝の言葉を言う。
「私、もっともっといろいろなことを知って、もっともっと素敵な案内人になりたいんです。私の生まれたこの国に、もっともっと大勢の旅人さんが訪れて。」
「その人が一生、忘れられないような素敵な思い出を、たくさんたくさん作って帰って行くんです。そのお手伝いが出来るなんて素敵でしょ?」
「あぁ…とっても素晴らしい仕事だ。」
ホテルに帰ったキノに、「旅をしていて嫌な事とか、辛い事はあります?」と問いかけるさくら。
キノは正直に「ある。」と答え、「それでも続けるだろうね。」と返答する。
「それは、キノさんがするべきことだと思っているからですか?」
キノはゆっくりと首を横に振った。
「僕がやりたいことだと思っているからさ。」
そこにさくらの両親がやってきて、「キノのように旅に出てもいい。」と告げる。
しかしさくらは少し考える。
「ううん、私はどこにも行かないよ。ここで勉強して、ここで一番の案内人になる。それが私の夢だもん!」満面の笑みを浮かべるさくらに、両親は「そう…。それもいいわね。」と穏やかな笑みを浮かべていた。
【木の種】
さくらの案内で、キノは結婚式に立ち会った。
年若い二人に、エルメスが「ずいぶん早く結婚するんだね。」と言葉をこぼす。
さくら曰く、とても珍しいことのようで、通常であれば20歳を超えてから結婚するのが普通だった。
「なにをしてるの?」
新郎新婦が小さな女の子から籠を受け取っている姿を見たエルメスが、さくらに質問する。
この国の風習で、新郎新婦が欲しい子供の数だけ入れた木の種を、小さな袋に入れて投げるという。
「その種を持って、明日の朝を迎えた人が次に、次に幸せな花嫁になれるって言い伝えがあるんです。」
ワクワクしているのか、体を揺らすさくらに、キノも木の実をゲットするために協力することに。
「5人子どもが欲しい。」と宣言した新郎新婦は、小さな袋を一斉に空へ投げる。
さくらは一生懸命飛び跳ねるが、残念ながら袋を手に入れることはできなかった。
落ち込むさくらのもとに、小さな袋をもったキノがやってくる。
その中には、木の種が入っていた。
「昔から運だけは良いんだ。」
キノは木の種を、さくらにプレゼントする。
【出国】
結婚式の会場を後にしたキノの前に、城門の兵士が現れる。
「キノさん、エルメスさん。そろそろ出国の準備をお願いします。」
兵士の言葉に、キノは少し考えてから、「その、もう1日2日滞在出来ませんか?」と滞在の延長を希望する。
キノの言葉にエルメスは驚愕するが、残念ながら「ルールですから…。」と延長は認められず、キノとエルメスはすぐに国を発たなくてはいけなくなってしまった。
出国するキノを城門の外まで、大勢の国民たちが見送りに来ていた。
「西へ行って野宿なら、尾根の辺りが良いでしょう。そこより手前は落石の危険もありますから。」
さくらの父がキノに告げると、兵士も「必ず尾根まで登ってから休まれた方が良い。」と念押しする。
そしてさくらの母が、キノに紙袋を2つ手渡した。
「小さい方は今晩中に。大きい方は、明日の朝にでもお食べ下さい。」
「ありがとうございます。」
キノはしっかり紙袋を受け取って、見送りに来た人々を見つめる。
「皆さんにも感謝します。こんなに親切にされて、楽しかった国は初めてです。」
キノの言葉を聞いた国民たちは、嬉しそうに顔をほころばせる。
さくらはスッと歩み出て、「キノさんにエルメスさん。ご滞在本当にありがとうございました。」と頭を下げる。
「ありがとう。とても素敵な思い出が出来た。」
キノもお礼を言って、さくらと握手を交わす。
そしてエルメスに跨り、「ではまたいつか。」と声をかける。
「またいつか!」
国民たちは手を振って、キノを見送った。
再び旅に出たキノに、エルメスは3日以上の滞在を望んだことをめずらしがっていた。
「あぁ…自分でも十分驚いてるよ。」
「いい国だったね。」
「とても楽しかった。」
「噂と全然違ったね。なんでだろ?」
あれほどいい国だったのに、なぜ悪い噂が流れたのか、エルメスが疑問に感じる。
「さあね。最初の内は気にしてたけど、途中からもうどうでも良くなったよ。」
キノの表情はとても晴れやかだった。
【終わり】
野宿をしていたキノが飛び起きる。
「なにか…嫌な感じがする。なんかこう…砂をかじるような感触があるんだ。」
キノはカノンを構えてあたりを警戒する。
「特になにもないよー?気にし過ぎじゃないの?」
エルメスがそう言った途端、大きな地鳴りが発生し、キノの目の前にそびえる山が真っ赤に染まる。
「なんだ…なんだあれ!?」
すごい勢いでなだれ落ちる赤い物に、キノは困惑していると、エルメスが静かに答えを述べる。
「記憶が正しければ、パイロクラスティック・フロウだよ。火山灰とか軽石とかが高温で吹き出して、山肌を高速で流れ下る現象だよ。家財道具ってヤツさ。」
「火砕流ってやつか…。」
「そうそれ!」
火砕流の流れた先には、先ほどまで滞在していた国がある。
「今から僕があそこに行って…なにか出来ることあるか?」
「ないよ。」
エルメスは軽い口調で、しかしハッキリと真実を告げた。
「火砕流は摂氏1000度近い。人なんてあっという間さ。あれじゃ全員死んでる。逃げる暇もないよ。だからキノに出来ることもない。行っても死ぬだけだよ。」
翌朝、キノは国だった場所を眺めていた。
そして「はぁ…」と息を吐きだして、ゆっくり立ち上がる。
「食べたら…出発しよう。」
キノは昨日さくらの母に渡された紙袋を開くと、そこには食糧と共に、キノ宛ての手紙が入っていた。
【手紙】
「キノさんへ、エルメスさんへ…。」
手紙の続きには、あの国の真実が語られていた。
1カ月ほど前、大規模な火砕流が襲うことが判明していたのだった。
国民は国を捨てず、国と共にあることを選択し、運命を呪うことなく充実した毎日を送っていたそうだ。
ただ、これまで外からくる旅人に対して、不遜な態度を取っていたことで、『失礼な民』として記憶に残ることを悔いた国民たちは、旅人たちに『素敵な民だった』と記憶に残してほしいと強く願うようになった。
そのため火砕流が発生するまで3日となった時に訪れたキノを、国民たちは大歓迎したのである。
「追伸…この事実を知らされているのは、大人だけです。さくらは何も知りません。私たちはあなたに、無理矢理にでもあの子をお預けしようと思いました。でも、昨晩あの子は私たちの跡を継ぐと言ってくれました。それがあの子の夢なのだとしたら、あの子は私たちが連れて行きます。」
手紙には、そう綴られていた。
【エゴ】
「なるほど…それでか。納得した。」
キノが旅人から聞いた話は真実で、キノが歓迎されたことも真実だった。
エルメスが一人納得していると、キノが「エルメス…」と小さく名を呼んだ。
「今、僕が何を考えているのか…当ててみようか。」
「どうぞ。」
エルメスは優しい声で続きを促す。
「僕は、こう思っている。さくらちゃんが、無理矢理にでも【お預け】されなくて、助かったと、ホッとしている。」
「だろうね。」
キノは茫然自失のまま、言葉を紡いだ。
「エゴだよ…これはエゴだ。」
「そうかもね。でももうどうしようもない。どの道、二人乗りで旅は無理さ。」
キノが手紙を紙袋しまい、小さな袋を取り出した。
その中には、もう一通手紙が残されていた。
それはさくらから、キノに宛てた手紙だった。
エルメスに促されるまま、キノは再び手紙を読み上げる。
「キノさんへ。これは私がもっていても仕方がありません。あなたのです。お気を付けて。私達のことを、忘れないで。さくら。」
「あぁ…っ」
袋に入った小さな木の種を握りしめたキノは、今にも泣きだしそうな、声にならない声を上げた。
【優しい国】
「うん、似合うよ。」
キノは森の人を装着し、エルメスに跨った。
「良い国だったね。」
エルメスが言葉をかける。
「あぁ、楽しかった、とても。文句の言いようもないさ。」
キノはもう一度、国があった方へ振り返る。
「行こうか。」
「そうだね。」
キノとエルメスは、優しい国を旅立った。
感想
キノの旅エピソードランキングで、第1位に輝いたお話です。
原作では2巻に収録されているのですが、初めて原作を読んだ時、私はボロボロと号泣してしまった記憶があります。
優しい国はすごく複雑な話なので、単純な感想が言いにくいです。
キノの旅の中でも、優しい国は誰の視点にたっても複雑な胸中になるお話で、原作を読んだ時も、今回アニメを視たあとも、胸がいっぱいになって感想を語るのが難しいのです。
優しい国はエゴの固まりだったと思います。
キノが最後に「エゴだよ。」と呟きますが、優しい国の大人たちは子供たちには危険を話すことなく、死を選びます。
アニメではカットされていますが、12歳以上は火砕流によって国が滅亡することを知っています。
そしてさくらは、火砕流が襲う翌日に12歳の誕生日を迎えるはずだったのです。
さくらは国が滅亡することを知らないのですが、大人が考えているよりも、子供って色々悟ってしまうものです。
もしかすると、さくらも国の終わりを知っていたのかもしれません。
当時さくらの視点に立って、優しい国を読んだ時は、本当に悲しくて悲しくて涙が止まらなかったものです。
さらにこの国の大人は、自分たちがいたことを忘れてほしくないから、これまでの行いを改め、優しい国の思い出という名のエゴを旅人に押し付けるのです。
最初優しい国を訪れたとき、城門の兵士は迷惑そうな顔をしていましたが、「3日間の滞在」という言葉に、とてもホッとした表情を浮かべていました。
やっと訪れた旅人で、国が亡びる日の前に出国することが、本当に嬉しかったのでしょう。
そしてキノは、国が滅んだ姿を見なければいけなかったさくらを、「預けられなくてよかった。」と呟きます。
キノは「エゴ」だと言いましたが、それは誰に向けた言葉だったのでしょうね。
もしかすると、大人に振り回される子どもの姿に、何かを思い出したのかもしれません。
そして森の人をキノに預けた人物。
明確にそうだと言われていませんが、あの老人はきっと相棒が年老いた姿でしょう。
第3話で、キノが通行料として森の人を要求されたことはありましたが、相棒であると思われる人物から託され、優しい国の思い出が詰まった森の人を、通行料として手放すことは絶対にできないということがわかりましたね。
相棒の生死は不明ですが、原作の中で「いつ死ぬのか知った状態で死にたい。」という願望がある描写が描かれていますから、もしかすると火砕流に巻き込まれて死ぬことを受け入れたかもしれません。
ただキノと出会ったことで、師匠のことを知ったので、優しい国を脱出している可能性も否定できないため、今後の原作に期待したいです。
次回は「大人の国」です。
大人の国は、キノが旅人になるきっかけとなる話です。
上記に「何かを思い出したのかもしれません。」と書きましたが、それは大人の国と密接な関係があります。
「優しい国」から「大人の国」という放送に、制作陣の視聴者を泣かせようという意図が見えますね。
最後に、今作のキノの旅は、アニメ化第2作品となります。
第1作では、主人公キノを女優の前田愛さんが演じていました。
第1作でも「優しい国」はアニメ化されているのですが、その時のさくら役が、今回キノを演じている悠木碧さんのデビューになります。
dアニメストアでは、第1作も視聴することができるのですが、見比べてみると時の流れをありありと感じてしまいました。

小学生と幼児のママ。常に娘のコスネタを模索中。育児のストレスはアニメ鑑賞と妄想でリカバリー中。今のブームは型月&刀剣乱舞。
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