『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series 第1話』のあらすじ・ネタバレ・感想~美しい映像でスタートしたキノの世界観は原作通り美しい~ | VODの殿堂

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『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series 第1話』のあらすじ・ネタバレ・感想~美しい映像でスタートしたキノの世界観は原作通り美しい~

   
 

タイトル:キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series『人を殺すことができる国』
放送局:AT-Xほか
放送期間:2017年10月6日~12月22日
アニメーション制作:Lerche
キャスト:キノ:悠木 碧/エルメス:斉藤壮馬/シズ:梅原裕一郎/陸:松田健一郎/ティー:佐倉綾音/師匠:Lynn/相棒:興津和幸 ほか
視聴したVOD:dアニメストア(2017年11月30日時点では無制限で見放題)

電撃文庫から発売中のライトノベル「キノの旅-the Beautiful World-」
2003年にアニメ化、そして2005年、2009年と劇場版を経て、再びアニメ化しました。
まずキノの旅とはどのようなお話か。
旅人のキノが、様々なルールがある国に3日間だけ立ち寄り、旅を続ける。
これがキノの旅の主軸で、どこからでも読み始めることができる小説だと私は考えます。
もちろん時折、旅の中で出会った人達の話も入るのですが、基本的には時系列はバラバラで、読者が「こういうことなのかな?」と考える余韻がある作品です。
リメイクともなる今回のアニメ化では、この余韻がどこまで再現されるのか、とても楽しみです。
1話は原作第1巻にも収録されている「人を殺すことができる国」からスタートします。

『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』配信先一覧
動画配信サービス 配信状況 見放題 配信先
U-NEXT 視聴ページ
hulu
dTV
Amazonプライム・ビデオ 視聴ページ
※配信状況は2020年3月26日(木)時点のものです。
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あらすじ

【森の中で・b -Lost in the Forest・b-】

消えかけの焚火を挟んで、声が聞こえる。

「なんとなくだけれどね。」「なんとなくだけれど?」

聞き返す声に旅人キノは「自分がどうしようもなく愚かで、ものすごく汚い人間ではないか、そう感じる時がある」と答えます。
そして「でもそんなときは必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかがすべてが美しく、素敵なもののように感じるんだ。」と続ける。

「それらをもっともっと知りたくて、そのために旅をしているような気がする。」

辛いことや悲しいことがあっても、楽しいから旅を続ける。
たとえ人を殺めることになっても、それを続けたいと思っている。

「それに、止めるのはいつだってできる。だから続けようと思う。」

納得したかい?と問いかけるキノに対して、「正直よくわからないや。」とモトラドのエルメス。
そしてキノは「明日は早いから」と言って眠りにつく。

【旅人】

晴れ渡る空の下、キノはエルメスに跨り旅をする。
エルメスはキノに次の国はまだ?と催促をする。
キノはそれに対して「もう少しだよ」と答えつつ、湖の傍に馬と旅人がいることに気が付く。
不機嫌そうな顔をして寝転がる旅人の前に、エルメスを止める。
互いに挨拶をした二人。
「この先にある国の人かい?」という旅人に、「いいえ、その国に向かっている途中です。」とキノ。
旅人もそこへ向かう途中だったようで、キノに荷物を半分持つように頼むが、キノとエルメスはそれはできないと断ります。
少し旅人はムッとしましたが、すぐにこれから行く国の話になります。
キノは「詳しくは知りませんが、とても紳士的な国だと聞いていますよ。」と答えると、旅人は腹を抱えて笑います。
そして愉快そうに笑いながら「あの国はな、人を殺してもいい国なんだ。」と旅人は言いました。

【人を殺してもいい国?】

エルメスは旅人に「はい?」と不思議そうに声を上げます。
旅人は得意げにキノとエルメスに話します。
「法律で殺人が禁止されていないんだ。なぜか盗みの方はだめだけどな。」と。
旅人は、自分が生まれた国は治安が良く、人を殴っただけで白い眼で見られるような国だったので、国を出て、殺人が許された国に住むためにやってきたのだった。
さらにその国には「レーゲル」なる人物がいると話す。
レーゲルは過去他の国で、テロリスト兼強盗団の当主として有名な連続殺人者で、一度掴まったが処刑される前に脱走し、人を殺してもいい国にいるはずだと言います。
キノはエルメスに跨り、まだ自慢話をしようとする旅人の話を打ち切る。
旅人は再度にもう一度荷物を持ってくれと頼みますが、キノは「自分の旅荷物は自分で持ってください。」と言って走り出す。
それを見送る旅人は、その後ろ姿を見て不敵に笑うのでした。

【入国前】

夕刻、キノとエルメスは件の国に到着する。
エルメスは「中はすごいことになってるかもよ?」と少しからかい口調で言います。
そしてキノに「カノンの準備は?」と聞く。
キノは「大丈夫。」とホルスターに下がったカノン、大口径のリボルバーを軽くたたきます。
「じゃあ森の人は?」
「問題ない」と今度は森の人と呼ばれる小口径の自動式拳銃を撫でます。
「じゃあ心の準備は?」
「取りあえずできた。」

【入国】

関所で審査を受ける。
「そのモトラドも中に持ち込みますか?」という問いに、「お願いします」と答えるキノ。

「この国が『法的に殺人を禁止していない』ことは、ご存じですか?市民、旅人関係なく、この国の中にいる人はどんな理由で、誰を殺しても罪にはなりません。理解しますか?」

「はい。」と答えるキノに、役人は最後の念押しとして「それでも本当に入国しますか?」と聞きます。
キノは静かに頷くと、門が開かれた。

【穏やかな光景】

入国したキノの眼下には、穏やかな顔をして笑う市民の姿が。
街は整備され、平和そうな光景が広がっていた。
宿屋に来たキノは、窓の外を見ながら「不思議な国だな」とつぶやきます。
どこからどう見ても、治安がいい国。
キノはどこか腑に落ちない顔をしたまま、カノンを手に持ち眠りにつくのであった。

【早朝】

キノは軽い柔軟をしてから、森の人を何度も何度も構える。
それから銃の整備をして、眠るエルメスを起こし、国の探索にでかける。
国の中をあちこち見て回るキノ。
どこを見ても平和そうな国だった。
しかしとある商店で買い物をしていると、「旅人さんにはサービスだ」と言う優しそうな店主の背後にはライフルがあった。
キノは「強盗対策か?」と問いかけると、強盗なんて入った事がないという店主。
そして「これは、人を殺すためさ。」と微笑みながら言ったのだ。
エルメスは「ふーん、いつ?」と問いかける。
店主は「いつのことやらねぇ。わかっているけれど、わからないから、いつも置いてあるのさ。」と。

【クレープ?】

キノの前に出されるクレープ。
山盛りの生地に、クリームがたっぷりのせられた物。
「この国のオススメです。」という店員と、「何事も挑戦だ」と挑むキノ。
すべて平らげたキノは、ぐったりと椅子にもたれかかる。
味はどうやら美味しかったようだ。
そこに年老いたマダムと紳士が現れて、キノに声をかける。
キノに「ダンスをしてきた」と笑顔で話す、マダムのバッグの中にも銃が入っていた。
そこに紳士が「この国自慢の甘いものはいかがかな?」と声をかける。
しかし残念ながらキノはそれを平らげたばかり。
紳士は午前のお茶を一緒にとキノを誘いました。

【老紳士とのティータイム】

翌朝、キノは同じように訓練をする。
そして約束通り、老紳士と午前のお茶へ。
老紳士はキノがいつ出発するのかを問いかけると、キノは「今日、このあとすぐに」と返答します。
老紳士はキノに「どこまで行く」か問います。
キノもエルメスも、どこまで行くかわからない、と答えると、老紳士はキノに永住を薦めます。
曰く、キノのように「人を殺すことができる人」にはピッタリな国らしい。
キノは静かに首を振ると、老紳士は「そうか、少し残念だな」と答えます。

【人を殺してもいい国を目指した旅人】

老紳士とのティータイムが終わったキノは、エルメスに乗って旅立とうというところに、入国前に出会った旅人が現れます。
旅人はキノに「荷物を置いて行け。断ったら、今ここで殺すぞ。」とホルスターにある銃に手をかけようとします。
すぐ傍にいた街人たちは、特に騒ぐことはなく、ゆっくりとした動作で建物の中に入っていきます。
もちろん傍にいた老紳士もです。
入国をした旅人は、この国の住人になったようだ。
キノは旅人の姿をみて「らしくないですね。」と言う。
返事を求める旅人を無視して、キノは周囲を見渡すと建物の中、影から、この国の人がジッとキノと旅人を見つめていた。
「お断りします。」と言ったキノは、エルメスにこっそり「悪いけどしばらく頼む。」と言い、エルメスも「わかった。後でちゃんと穴塞いでね。」と返す。
銃を向ける旅人とエルメスの影に隠れるキノ。
旅人は「すぐにぶっ殺してやるからよぉ。」と言って、引き金を引こうと指をかける。

【人を殺すことができる国】

一本の矢が男の腕を貫いた。
男は銃を落とし、痛みに悶絶する。
「誰だ!!」と矢が放たれた方向を見ると、優しそうな顔をしたふくよかな女性が、ボーガンを旅人に向けていた。
そしてゾロゾロと、優しい笑みを浮かべた住民たちが、各々武器を持って旅人の前に立ちふさがる。
動揺する旅人は、足元に落ちた銃を拾おうとするが、銃はあの商店の店主のライフルによって弾かれてしまう。
武器を持った住民たちは、顔色も変えず旅人に近づいていく。
キノとお茶をした老紳士が語る。

「この国ではね、人を殺すという行為は、許されていないのだよ。」

旅人は人が殺せる国だから来たと、反論します。
老紳士は「だから私たちはここにいるんだよ。」と答え、周りの住人も同調します。
旅人はわけが分からない、と叫びます。

「この国ではね、人を殺したもの、人を殺そうとしたもの、人を殺そうとするもの、は、皆に殺されてしまうことになっている。つまり禁止されていないということは、許されているということではないのだよ。」

旅人は老紳士に対して「お前何様のつもりだよ!!」と叫びます。
老紳士は「ただの一市民、レーゲルという名の老人さ。」と言って、杖に仕込まれた剣を旅人に突き刺した。
そして住民は祈りをささげる。
「仲間が死ぬというのは、いつだって辛いものだ」と。

エルメスに跨ったキノを、老紳士レーゲルはにこやかな笑顔で「気を付けてね」とキノを見送る。
キノは老紳士の奥、旅人の遺体を運ぶ住人と、血の跡をかたづける住民を見つめた。

【旅人】

湖のほとりで馬を休ませる旅人がいた。
不機嫌そうな顔をして寝転がる旅人の前に、エルメスを止める。
互いに挨拶をした二人。
「あんた、この先にある国の人かい?」と聞く旅人に、キノは先ほど出国してきたと答える。
旅人はキノに「あの国は安全で過ごしやすい国だって聞いて、わざわざやってきた。それは本当か?」と問います。
「間違いないです。」と答えるキノに、ホッとした様子の旅人。
キノはどれほどかは人によると続けると、旅人はとてもひどい国からやってきたと答える。
もう誰も殺したくはないと言う旅人に、「それだったら、きっとあの国は気にいると思いますよ。」とキノ。
そして再びエルメスに跨り、旅立とうとするキノを呼び止める旅人。
しかし結局旅人は質問を止め、そのままキノを見送ります。

「はたして本当なのか。あの国ではクレープを山にして出すって。」

【3日間】

エルメスはキノに「一つの国には3日ってなんで?」と不思議そうに問いかけます。
キノは微笑みながら「昔あった旅人が言っていた。それくらいがちょうどいいんだってさ。」

【森の中で・a -Lost in the Forest・a-】

焚火がゴウゴウと燃える中、エルメスはキノに声をかけた。
エルメスはモトラドは走ることが幸せで、旅に出ると走り続けることができるから楽しいと語ります。
ではキノは?

「どうしてキノは旅をしてるのかなって?」

「そうだな…なんとなく、だけれどね。」

感想

鳥肌が立ちました。
原作は今から17年前に発売された『キノの旅 -the Beautiful World-』
ライトノベルブームを牽引してきたとも言われる作品で、当時学生だった私は表紙絵を描く黒星紅白先生にホイホイされて読み始めました。
2003年版のアニメももちろん視聴しているのですが、私は空気感がこちらの方が好きですね。
何と言ってもアニメ開始直後に始まった、唐突なキノの語りです。
キノの旅では時系列がバラバラで描かれるのがデフォであり、1話でも時系列でいえば「森の中で・a -Lost in the Forest・a-」が先にあって、「森の中で・b -Lost in the Forest・b-」に繋がるわけです。
今でこそこの手法があらゆる作品で見られるわけですが、当時は本当にこの演出が斬新でキノの旅ファンが多かったのですよ。もちろん今も愛読者は多いのですが(笑)
原作は1巻の中で様々な国を回ります。
その中でメインというか、一番力を入れている話というものがあって、「人を殺せる国」はその話に該当します。
衝撃的なタイトルですよね。
でもとっても素敵な話で、キノの旅の中でも印象深い話だったので、1話がこの話ですごくうれしかったです。
物語の主人公、キノはクールで物事をとても客観的に見ることができる人です。
そのためアニメも、とても静かに物語が進行します。
人を殺したいために住民になった旅人が叫ぶシーンですら、とても静かな印象を得ます。
この原作特有の空気感を、アニメでそのまま演出できているのは、とてもすごいことだと思います。
今後キノは様々な国を旅して、様々な旅人や国のルールに出会います。
嫌なこと、悲しい事もたくさんあるのがキノの旅ですが、タイトルにもあるように「世界は美しい」と感じられる何かがきっとあります。
今後どのようなストーリーがチョイスされるのか、とっても期待です。
さて次回は「コロシアム」。
キノの旅は予告映像がないので、どのような展開になるかまったくわかりません。
が、キノの旅史上、最もイケメン男子「シズ」が登場します!!
キノとシズの出会い。
そしてコロシアムというタイトル!!
ここから導きだされるテーマは、殺戮。
次回を楽しみに待ちましょう~♪

 

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