美しく気品があり落ち着いた佇まいを持つ宮沢りえさん。
太陽のように明るく快活で真っ白だった美少女が、美しさはそのままに人生の酸いも甘いも経験して大人の魅力を重ねた本格派女優となりました。
一時はアメリカに移住し芸能活動を休止するなどの紆余曲折を経て、落ち着いた大人の演技で見事女優として返り咲いた宮沢さん。
瞬く間にスターダムに駆け上がり、ドラマティックで劇的な実人生を歩んですばらしい女優となった宮沢りえさんについて見ていきましょう。
宮沢りえの略歴
11歳でモデルデビューし、雑誌の表紙やCMで活躍し始めます。
14歳のときに「三井のリハウス」のCMで初代リハウスガール白鳥麗子役を務めて注目を集め、トップアイドルへ。
宮沢さんのメディアへの登場は、かわいらしいルックスはもちろん、オーラやキラキラした存在感が衝撃的なものでした!
そんな宮沢りえさんの芸歴を見ていきましょう。
・1988年:映画『ぼくらの七日間戦争』で映画初主演で女優デビューをし、日本アカデミー賞 新人賞を受賞する
・1991年:篠山紀信さん撮影の写真集『Santa Fe』で人気絶頂期のヌードを披露し、155万部の大ヒットを記録する
・2001年:香港映画『華の愛~遊園驚夢』で第23回モスクワ国際映画祭 主演女優賞を受賞する
・2003年:映画『たそがれ清兵衛』で第26回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞、第45回ブルーリボン賞 助演女優賞他、多くの賞を受賞する
・2014年:映画『紙の月』で7年ぶりの映画主演を務め、第38回日本アカデミー賞 主演女優賞、第27回東京国際映画祭 最優秀女優賞を受賞する
10代のアイドル時代には歌手としてNHK『紅白歌合戦』に出場したり、とんねるずのバラエティ番組に出演し、不動の人気を獲得します。
人気絶頂期の中で、17歳のときには「ふんどしカレンダー」、18歳のときには「ヘアヌード写真集」を出し、世間に衝撃を走らせました。
19歳のときには国民的スターだった貴花田関との婚約発表で、”世紀のカップル誕生”と大騒ぎになりますが、2ヶ月後には婚約解消となりさらに大きな話題となります。
角界からの反対、りえママの反対、大人の事情、若い2人の見切り発車…当時のワイドショーでも大騒ぎとなりましたが、未だに”世紀の婚約発表”の謎は謎のまま…。
それが原因なのか拒食症や男性とのうわさにより世間やマスコミからバッシングを受け、激やせした宮沢さんは、メディアでの露出が少なくなり芸能活動が休止状態に。
激やせ騒動が落ち着いたころ芸能活動を再開した宮沢さんは、女優業に専念し始めます。
映画『たそがれ清兵衛』での落ち着いた演技が評価されると、徐々に女優としての幅を広げ、数々の映画に出演してさまざまな賞を受賞し始めます。
華々しいデビューからヘアヌード写真集、婚約会見、破局、有名人とのスキャンダル、結婚、出産、母親の死…波乱万丈な経験が本格派女優としての宮沢りえを作り上げたのかもしれません。
2019年公開の映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』では妖艶で貞淑な太宰治の妻を演じ、第43回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞を受賞し、一流女優であることを知らしめましたね。
今や日本を代表する実力派女優の一人となった宮沢さんの今後の作品が楽しみです。
代表的な出演作品
若いころは元気でかわいらしい役柄が多かった宮沢さんですが、2000年以降30歳を目前にしっとりとした大人の女性を多く演じるようになりました。
そんな彼女の代表的な出演作品について、ご紹介します。
ぼくらの七日間戦争(1988)
宗田理のベストセラー小説を映画化した作品であり、宮沢さんの女優デビュー作であり初主演作です。
厳しい規律が敷かれた中学校で、自由を求めて11人の少年少女が廃工場に立てこもり、教師や親などの大人たちに戦争を挑む青春ストーリー。
力で抑え込もうとする大人たちに、彼らがさまざまな罠を仕掛け立ち向かっていく場面が見どころで、原作にはない戦車が登場するシーンは話題になりました。
宮沢さんは、人望があり統率力がある学級委員の中山ひとみを演じています。
しっかりしているけれど、おてんばで早熟な面も感じさせるキャラクターは、宮沢さんにぴったりでした。
当時デビューしたてで演技の経験もなかった宮沢さんは、クランクイン前の合宿が苦痛で仕方なかったそう。
撮影に入り、多くのスタッフがエネルギッシュに映画作りに取り組んでいる姿を目の当たりにして、徐々に演技に対する想いが変わったという宮沢さん。
演技の原点であり、ブレイクのきっかけとなった本作。
中学生キャストがキラキラしていて青春そのもの。
その中でひときわ強い輝きを放つ宮沢さんの若さはじける初々しい姿を堪能することができますよ。
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たそがれ清兵衛(2002)
藤沢周平さんの短編時代小説を『男はつらいよ』の山田洋次監督が構想に10年以上かけて映画化した作品です。
妻を亡くし幼い娘2人と母親のためにたそがれ時には家路につく井口清兵衛が、世継ぎ問題に起因するお家騒動に巻き込まれる幕末の物語。
貧しいながらも守るべき者たちとつつましやかに暮らしていく様子を描いています。
男やもめの下級武士である清兵衛を真田広之さん、清兵衛と想いを通わす出戻りの幼馴染の朋江を宮沢さんが演じています。
日常の動作全てが自然に見えるように縫い物やたすきをかける仕草などを、体に染み入るまで練習したという宮沢さん。
容姿端麗で奥ゆかしく学もある朋江を、自然に違和感なく好演しています。
幕末の家屋や城内の様子、下級武士の暮らしぶりの時代考証に基づくセットや映像は秀逸で、主演の真田さんや宮沢さんの演技が引き立ちます。
丁寧に繊細に作り込まれた本作は、宮沢さんの代表作と言っても過言ではないでしょう。
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紙の月(2014)
直木賞作家である角田光代さんのベストセラー小説を映画化した作品です。
バブルがはじけて間もない1994年を舞台に、巨額の横領に手を染め年下の大学生との不倫に興じる主婦が堕ちていく様子を描いた物語。
宮沢さんは、仕事ができ周囲からも信頼されている銀行員の梅澤梨花を演じています。
序盤はスターのオーラを消して場に溶け込むような平凡な女性を地味に演じている宮沢さん、さすがです。
しかし彼女は、そんな生活から解放されたいと心の奥底では思っていて、ついにはじけちゃったという展開になるのだから、平凡な主婦ではないですね(汗)
その地味で平凡な毎日と夫との関係に不満を持っている生活から解き放たれて輝き出す瞬間の宮沢さんの演技が印象的です。
男にのめり込んだ主婦が横領したという簡単な話ではなく、満たされない日々のやるせなさを横領というスリリングな行動で埋め合わせする悲しい女の話。
歯車がうまくかみ合わないと誰もが起こり得る身近にある落とし穴。
宮沢さんのリアリティある演技が、他人事ではないと感じさせる作品です。
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グーグーだって猫である(2014)
大島弓子さんの自伝的エッセー漫画を犬童一心監督がオリジナルの脚本のもとWOWWOWでドラマ化した作品です。
”グーグー”を始めとする猫たちと漫画家である主人公の日常や彼女を取り巻く人間模様を描いたハートウォーミングな物語。
宮沢さんは、少女漫画家で”グーグー”の飼い主になる小島麻子を演じています。
本作は不思議な空気感とシュールさが独特で、淡々とまったりゆったり時間が流れる中、登場する猫たちがひたすらかわいい。
誰にでも起こり得る日常のお話なので、全体的にほんわかしていて癒されるドラマになっています。
好きなものに巡り合い人生をまっとうするってステキなことなんだなぁと感じました。
漫画が原作の実写化には賛否両論ありますが、本作は本作でいい味出しているなぁと筆者は思いましたよ。
宮沢さんの自然で穏やかな演技と緩やかな映像美がマッチして、心がポッと温かくなる作品です。
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湯を沸かすほどの熱い愛(2016)
本作がデビュー作となる中野量太監督のオリジナル脚本を映画化し、国内の賞レースで多くの賞を受賞した作品です。
宮沢さんも第40回日本アカデミー賞 最優秀主演女優賞の他、多くの主演女優賞を受賞しました。
余命宣告を受けた母親である双葉が全てを受け入れ、自分の人生が終わるまでにやっておきたい4つのことを実行していく物語。
宮沢さんは主人公の双葉を演じているのですが、脚本を読んだときに他の女優さんが演じたら嫉妬するだろうなと思い出演を快諾したそうです。
末期ガンで徐々にやせ衰える姿を演じるために、一旦太ってから頬がこけるほど痩せるという役者魂を見せてくれた宮沢さん。
本作では実生活でも母親である宮沢さんが、母の強さと愛情をこれでもかというくらい表現しています。
死にゆく母親の湯を沸かすほどの熱い愛を嫌というほど感じられる作品で、筆者は最初から最後まで号泣でした。
衝撃のラストも納得する展開に、「人の死」と「家族の絆」を考えずにはいられません。
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その他の出演作品
宮沢りえさんが出演している作品を集めました。
見放題配信している動画配信サービスをまとめて紹介します。
・釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇(2001)
U-NEXT、Hulu
・ぶるうかなりや(2005)
U-NEXT、Hulu、Amazonプライムビデオ
・オリヲン座からの招待状(2007)
U-NEXT、Hulu
・江~姫たちの戦国~(2011)
U-NEXT(有料作品ですが、31日間無料トライアルでもらえるポイントによって視聴可能)
・LEADERS~リーダーズ~(2014)
Hulu
・魔女の宅急便(2014)
dTV、Amazonプライムビデオ ※いずれも有料作品
・トイレのピエタ(2015)
U-NEXT、Hulu、dTV
・グーグーだって猫である2(2016)
U-NEXT、Hulu、Amazonプライムビデオ
映画で演じる宮沢りえさんの役は、物静かでありながら芯の強い女性が多い気がします。
現在では、監督や演出家に出演を指名されることが多いという宮沢さん。
彼女の魅力が作品作りに欠かせないからでしょう。
『たそがれ清兵衛』で女優としてのきっかけを掴んで以降の活躍は、目を見張るものがあります。
凛と背筋が伸びるような透明感と映画への情熱を持って、役を生き抜く宮沢さん。
彼女だから演じられる役をこれからも期待したいですね!
まとめ
トップアイドルだった衝撃的な美少女から、日本を代表する実力派女優に見事転身した宮沢さん。
スキャンダルに翻弄された人生を経験した彼女の表情には虚ろさと儚さが宿り、誰もが放っておけないような存在感を作り上げています。
トップ女優たる風格を持ち合わせながらも嫌味のない自然体な演技が、好感度が高い所以でしょう。
2018年にはV6の森田剛さんと再婚し、お子さんと共に仲良く暮らしているようですね。
私生活も女優業も充実している宮沢さんが、今後どんな役柄を演じるのか楽しみです。

ヨガインストラクターもしている連ドラ好きな2児のママです。観たいドラマは録画してCMとばして観るのがおすすめ!最近では、横浜流星くんのドラマにハマってます。
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